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第五章 大陸戦争編
第225話 ビスチェ共和国戦線編 進撃の魔戦力たち
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ジョルテシア軍補給基地
深夜、突然詰め所や穀舎など数ヵ所に火が上がった。
ここは前線に補給物資を送る重要な拠点だ。
ジョルテシアの有翼人兵たちは飛び起き、
慌てて武器を取るが、敵はどこにもいなかった。
空が白み始めた頃、そこかしこで死体が発見される。
殺されていたのは指揮官や部隊長ら十数名に及んだ。
ビスチェ共和国内、山間の小さな戦線
ここでは南ブリムス軍と北ブリムス軍が衝突していた。
それぞれ500名規模の部隊が、
森の中で一進一退の攻防を繰り返している。
しかし、北ブリムス軍には狼人族の小隊がいて、
徐々に彼らが戦況を塗り替えていた。
「この戦場も手を加えておくか……」
樹の上から殺し合いを眺めていたレオンギルトは、
その場から姿を消した。
しばらくして戦場に狼人族兵の雨が降る。
悲鳴が空から聞こえてきて、
気が付くと地面に派手な衝突音を響かせ、
血肉の花火を咲かせる。
ドシャッ!ドシャッ!と鈍い音が森中に響く。
ものの数分で北ブリムス軍の要である、
狼人兵たちは無力化され、
反対に何が起きたのか把握した南ブリムス軍は、
歓声と共に士気が爆上がる。
「俺たちには【千夜の騎士団】がついている!!」
「うおおおっっ!!」
戦況は一気にひっくり返り、
北ブリムス軍は敗走した。
「はぁはぁ……、
少し力を使いすぎたか。
だが、俺の目の前にいる敵は全員消してやる」
不敵に微笑むとレオンギルトはその場から一瞬で姿を消した。
南ブリムス連合のとある国にある、
岩山に移動したレオンギルトは、
巨大な岩に手を当てた。
「今日はこれで最後だな……」
深呼吸をして息を整え、
一気に魔素を掌に練り込んだ。
辺りの空間が振動し、
巨大な岩とレオンギルトはその場から瞬時に消えた。
ジョルテシア連邦内、とある北ブリムス軍の砦
この砦にはタシャウス軍のリンゼイ将軍が駐在していた。
連合軍5000人の指揮を執る大物である。
連日入ってくる各戦線の戦況を鑑みながら、
兵員の振り分けと物資の補給、
軍師たちと作戦を練っていたリンゼイ将軍は、
つかの間の休憩で久しぶりに外に出た。
今日は天気が悪い、そう思った時、違和感を感じた。
近くの山肌には日差しが差しているのに、
砦には影が差している。
そこでリンゼイ将軍の思考は途切れた。
砦は巨大な岩によって破壊され、
多くの将兵が下敷きになった。
「はぁはぁ……さすがにしんどいな、これは」
レオンギルトは巨大な岩の上で大の字に寝転んだ。
下では敵兵が騒いでいる。
上位の標的はミーズリーなど、
この戦域にいるキトゥルセン勢の首だが、
有翼人兵ががっちりガードしているので難しい。
俺はただ瞬間移動できるだけで、
剣術や体術は一般の兵と同等だ。
むやみに能力を見せると、
対策を立てられる可能性が上がってしまうだろう。
まぐれで敵の刃が腹に刺さる危険もある。
仕事は慎重に。
自分の実力は把握している。
『レ……ギルト、カフカ……じゃ』
『ああ。なんだ?』
カフカスから通信が入った。
雑音が多い。声が途切れ途切れだ。
『そこ…最前線ゆえ通信……態が悪い。
団長……の指令を伝……る。
リリーナ・カ……ス・ゾディアックを、
最優先の標的……しろ』
リリーナの目の前には魔獣がいた。
視界には『魔獣 ワルツ』と表示されている。
人間が三人背中に乗れるような大型ネコ科タイプの魔獣だ。
三本ある尻尾が別の生き物みたいに動き、
小麦色の逆立った毛は矢を通さない。
悪魔のような赤い目と鋭い牙による威嚇に、
兵士たちも迂闊に手が出せない状況だ。
おまけに魔獣の後ろには敵軍が控えている。
魔獣ワルツはとんでもない反射神経で、
前列の兵を前足で吹っ飛ばすと、
ひらりと後方にジャンプし、カッと目を光らせた。
途端、十名ほどの兵士が目をひん剥き、
牙と爪が生え、姿を変えたかと思うと、
周りの兵士を襲い、殺し始めた。
それはまるで暴走した獣人族のようだった。
「リリーナ様!!
あの兵達はど、どうなさいますか!?」
「殺せ」
リリーナはやや奥の方から、
冷静に魔獣との戦闘を観察していた。
「……なるほど。
一人殺されると新たに一人増えるのだな。
操れる人数には限りがあるのか……」
長い黒髪が風に泳ぐ。
眼帯の女王は口元に笑みを浮かべ、
魔剣メロウウォッチを抜いた。
「死人兵を出せ」
鉄仮面をつけた巨体が前列に出てきた。
どす黒い両手には斧が装備されている。
「おい、動くぞ」
「はっ!」
リリーナは護衛達にそう言うと、
前線に向かう。
操られた兵を三人いっぺんに斧でバラバラにした死人兵は、
魔獣ワルツに操られずに一気に距離を詰める。
狂暴化しない死人兵にワルツは威嚇の牙を向ける。
『エイブ、今だ』
リリーナの合図に、後列から大型弩の鉄矢が飛んでくる。
ワルツの後ろ脚に刺さり、注意が逸れた所に、
死人兵の斧が顔に入った。
そこで魔獣ワルツ周辺の空間が止まる。
顔から飛び散った血が空中にばら撒かれ浮遊している。
反対側に回ったリリーナが魔剣を発動したのだ。
「お前、気に入ったぞ」
リリーナはワルツの心臓を魔剣メロウウォッチで刺した。
ワルツの両目から光が消えたのを確認してから能力を解く。
同時にリリーナの兵たちが、
魔獣を倒されて動揺している敵軍に襲い掛かる。
リリーナは死人兵を呼び、
小刀で胸を刺した。
刺し傷に手首を入れ、埋め込まれていた黒霊石を取り出す。
「おい、黒霊石をこの魔獣に移植しろ」
死人兵はまるで電池の切れたおもちゃのようにその場に倒れた。
部下に黒霊石を渡したところで、
傍らに来たエイブ将軍から、
もうすぐミーズリー軍が合流する予定だと聞かされた。
「ふむ。合流したら本格的に侵攻を開始するぞ」
リリーナは死人兵の血に濡れた指をぺろりと舐め、
魔剣メロウウォッチを鞘に納めた。
深夜、突然詰め所や穀舎など数ヵ所に火が上がった。
ここは前線に補給物資を送る重要な拠点だ。
ジョルテシアの有翼人兵たちは飛び起き、
慌てて武器を取るが、敵はどこにもいなかった。
空が白み始めた頃、そこかしこで死体が発見される。
殺されていたのは指揮官や部隊長ら十数名に及んだ。
ビスチェ共和国内、山間の小さな戦線
ここでは南ブリムス軍と北ブリムス軍が衝突していた。
それぞれ500名規模の部隊が、
森の中で一進一退の攻防を繰り返している。
しかし、北ブリムス軍には狼人族の小隊がいて、
徐々に彼らが戦況を塗り替えていた。
「この戦場も手を加えておくか……」
樹の上から殺し合いを眺めていたレオンギルトは、
その場から姿を消した。
しばらくして戦場に狼人族兵の雨が降る。
悲鳴が空から聞こえてきて、
気が付くと地面に派手な衝突音を響かせ、
血肉の花火を咲かせる。
ドシャッ!ドシャッ!と鈍い音が森中に響く。
ものの数分で北ブリムス軍の要である、
狼人兵たちは無力化され、
反対に何が起きたのか把握した南ブリムス軍は、
歓声と共に士気が爆上がる。
「俺たちには【千夜の騎士団】がついている!!」
「うおおおっっ!!」
戦況は一気にひっくり返り、
北ブリムス軍は敗走した。
「はぁはぁ……、
少し力を使いすぎたか。
だが、俺の目の前にいる敵は全員消してやる」
不敵に微笑むとレオンギルトはその場から一瞬で姿を消した。
南ブリムス連合のとある国にある、
岩山に移動したレオンギルトは、
巨大な岩に手を当てた。
「今日はこれで最後だな……」
深呼吸をして息を整え、
一気に魔素を掌に練り込んだ。
辺りの空間が振動し、
巨大な岩とレオンギルトはその場から瞬時に消えた。
ジョルテシア連邦内、とある北ブリムス軍の砦
この砦にはタシャウス軍のリンゼイ将軍が駐在していた。
連合軍5000人の指揮を執る大物である。
連日入ってくる各戦線の戦況を鑑みながら、
兵員の振り分けと物資の補給、
軍師たちと作戦を練っていたリンゼイ将軍は、
つかの間の休憩で久しぶりに外に出た。
今日は天気が悪い、そう思った時、違和感を感じた。
近くの山肌には日差しが差しているのに、
砦には影が差している。
そこでリンゼイ将軍の思考は途切れた。
砦は巨大な岩によって破壊され、
多くの将兵が下敷きになった。
「はぁはぁ……さすがにしんどいな、これは」
レオンギルトは巨大な岩の上で大の字に寝転んだ。
下では敵兵が騒いでいる。
上位の標的はミーズリーなど、
この戦域にいるキトゥルセン勢の首だが、
有翼人兵ががっちりガードしているので難しい。
俺はただ瞬間移動できるだけで、
剣術や体術は一般の兵と同等だ。
むやみに能力を見せると、
対策を立てられる可能性が上がってしまうだろう。
まぐれで敵の刃が腹に刺さる危険もある。
仕事は慎重に。
自分の実力は把握している。
『レ……ギルト、カフカ……じゃ』
『ああ。なんだ?』
カフカスから通信が入った。
雑音が多い。声が途切れ途切れだ。
『そこ…最前線ゆえ通信……態が悪い。
団長……の指令を伝……る。
リリーナ・カ……ス・ゾディアックを、
最優先の標的……しろ』
リリーナの目の前には魔獣がいた。
視界には『魔獣 ワルツ』と表示されている。
人間が三人背中に乗れるような大型ネコ科タイプの魔獣だ。
三本ある尻尾が別の生き物みたいに動き、
小麦色の逆立った毛は矢を通さない。
悪魔のような赤い目と鋭い牙による威嚇に、
兵士たちも迂闊に手が出せない状況だ。
おまけに魔獣の後ろには敵軍が控えている。
魔獣ワルツはとんでもない反射神経で、
前列の兵を前足で吹っ飛ばすと、
ひらりと後方にジャンプし、カッと目を光らせた。
途端、十名ほどの兵士が目をひん剥き、
牙と爪が生え、姿を変えたかと思うと、
周りの兵士を襲い、殺し始めた。
それはまるで暴走した獣人族のようだった。
「リリーナ様!!
あの兵達はど、どうなさいますか!?」
「殺せ」
リリーナはやや奥の方から、
冷静に魔獣との戦闘を観察していた。
「……なるほど。
一人殺されると新たに一人増えるのだな。
操れる人数には限りがあるのか……」
長い黒髪が風に泳ぐ。
眼帯の女王は口元に笑みを浮かべ、
魔剣メロウウォッチを抜いた。
「死人兵を出せ」
鉄仮面をつけた巨体が前列に出てきた。
どす黒い両手には斧が装備されている。
「おい、動くぞ」
「はっ!」
リリーナは護衛達にそう言うと、
前線に向かう。
操られた兵を三人いっぺんに斧でバラバラにした死人兵は、
魔獣ワルツに操られずに一気に距離を詰める。
狂暴化しない死人兵にワルツは威嚇の牙を向ける。
『エイブ、今だ』
リリーナの合図に、後列から大型弩の鉄矢が飛んでくる。
ワルツの後ろ脚に刺さり、注意が逸れた所に、
死人兵の斧が顔に入った。
そこで魔獣ワルツ周辺の空間が止まる。
顔から飛び散った血が空中にばら撒かれ浮遊している。
反対側に回ったリリーナが魔剣を発動したのだ。
「お前、気に入ったぞ」
リリーナはワルツの心臓を魔剣メロウウォッチで刺した。
ワルツの両目から光が消えたのを確認してから能力を解く。
同時にリリーナの兵たちが、
魔獣を倒されて動揺している敵軍に襲い掛かる。
リリーナは死人兵を呼び、
小刀で胸を刺した。
刺し傷に手首を入れ、埋め込まれていた黒霊石を取り出す。
「おい、黒霊石をこの魔獣に移植しろ」
死人兵はまるで電池の切れたおもちゃのようにその場に倒れた。
部下に黒霊石を渡したところで、
傍らに来たエイブ将軍から、
もうすぐミーズリー軍が合流する予定だと聞かされた。
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