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第2章
第91話 イース公国攻略編 第四、第五試合
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第四試合
ミーズリーvsキャディッシュ
第四試合は剣での試合だった。
長身の女騎士がリングに上がる。
身長は190位だろうか。
キャディッシュよりでかい。
手足が長く美しい。まるでモデルのような体躯だ。
「ミーズリーは将軍の中でも一番人気です。
容姿だけではなく実力も伴っていると聞きますな。
正義感が強く実直な性格のようで全軍の指揮を任されているようです」
メモをめくりながらユーキンが言う。
ダフ屋かよ。……いやごめん、情報ありがとう。
「ほう。イースのバルバレスだな」
ミーズリーは大剣、キャディッシュは細身の剣を2本選んだようだ。
剣にはたっぷり黄色の塗料が塗られている。
試合が始まってすぐ、
キャディッシュは翼を羽ばたかせ1mほどの高さに飛んだ。
試合のルールで有翼人は思いっきり飛ぶのを禁止されている。
しかしリングの四隅に建てられた装飾の塔より下なら
多少飛んでもいいことになっている。
塔の高さは3mくらいだ。
観客は有翼人の戦うところを見れるとあって一際歓声が上がった。
動いたのはキャディッシュだ。
一気に間合いを詰め、素早く二本の剣を打ちこむ。
しかし、上下左右から乱れ飛ぶ剣劇をミーズリーは一本の大剣で器用に防ぐ。
木剣の打ち合う音がカンカンと響いた。
普段はチャラついたいい加減な奴だけど、
あれでもキャディッシュはウルエスト最強の戦士【三翼】の一角。
単純な剣術だけで言えば同じ【三翼】のルガクト、ガルダより上だろう。
腐王を一人で抑えることも出来る実力を持つ天才剣士だ。
そのキャディッシュの剣を、ミーズリーは涼しい顔で難なく捌いている。
イースの女将軍……相当な使い手だ。
形勢は一発で逆転した。
ミーズリーの一太刀でキャディッシュが吹っ飛ばされたのだ。
キャディッシュの剣は一本が折れ、足に黄色の塗料がついていた。
もう一発食らったら終わりだ。
今度はミーズリーが攻める。
本来攻撃力のある大剣は大降りになる分、振った後にスキが生まれる。
しかし、ミーズリーの場合それがなかった。
剣を振った後、華麗なステップを踏み、
自らの体の位置をずらすという高等テクニックで、
相手のカウンターを防いでいた。
剣が当たる度に吹っ飛びそうになるキャディッシュは防戦一方だ。
このままじゃやられると思ったのか、キャディッシュは一旦後ろへ飛び、
助走をつけて回転しながらミーズリーへと突っ込んだ。
どうやら必殺技らしい。
確かに常人なら躱せないだろう。
二人が交差した後、ミーズリーの足に黄色い塗料が付いていた。
やるじゃんキャディッシュ、と思ったが、
振り向いたキャディッシュの腹にも黄色い塗料が付いていた。
「第四試合、勝者ミーズリー・グランツ!!」
試合後、キャディッシュとミーズリーが裏方で何やら話し込んでいた。
するとミーズリーは急に顔を赤くしてその場から駆け出してしまった。
キャディッシュ……お前はほんとに手当たり次第だな。
第五試合
アーシュvsルレ
俺の中で一番気になる試合。
勝敗云々よりアーシュがやりきれるのか、正直心配だ。
腕はいいらしいが、
大会参加者で一番身体が小さく、力も無いだろう。
本人はこの大会で結果を出して
【王の左手】に復帰したいと考えているらしい。
昨晩マイマがそんなようなこと言っていた。
文句なしの結果であれば、
俺も出来るだけアーシュの希望を叶えてやりたいが……心配は拭えない。
試合が始まった。
両者構えたまましばらく動きはない。
驚いたのはルレはもちろん、
アーシュも武人としての禍々しいオーラを放っていたことだ。
まるで手負いの獣が放つ、死地の気迫を感じた。
こんなアーシュ初めて見たな……きっと毎日努力してたんだろう。
それを思うとおじさん泣きそう……ってそんな場合ではない。
両者が動き、打ち合いを始めた。
それはまるでカンフー映画を見ているようだった。
アーシュは決められた型を演じるように、
息もつかせぬ間で拳と蹴りを繰り出す。
ルレはそれを何とか防いでいるといった形だ。
しかしルレも格闘の型が出来ているので、
心得があるように見える。
なんとも綺麗な戦いだった。
やがてアーシュがルレの手を捩じり、首に腕を絡ませた。
この時ばかりは細い腕が脅威になる。
そのままチョークスリーパーを決めたアーシュが
あっけなく勝つと思われた。
しかしルレは後頭部をアーシュの顔面に叩きつけ、腕を外した。
アーシュの鼻が血に染まる。
ほぼ互角の攻防が第2ラウンドまで続いた。
終わり際、アーシュの喉突きが決まり、ルレが僅かに屈んだ。
そこへすかさず膝を顔面に入れてルレがダウン。
第3ラウンドに入ってアーシュは段々ギアが上がってきたようだ。
動きにキレが乗り、バルバレス達も思わず唸るほどの戦いぶりを見せた。
こりゃアーシュは完全にゾーンに入ったな。恐怖心がマヒした状態だ。
ルレは防御に徹しながらも隙をついて見事な左アッパーでダウンを奪った。
勢いに任せて防御をおろそかにしたのはやはり若さか。
試合終了間際、
アーシュはゲームのような空中回し蹴りでルレを地面に叩きつけた。
ダウンを奪ったがルレは立ち上がった。
ルレも最後のラッシュで攻勢に出る。
アーシュはガードをしているがふっ飛ばされ気味だ。
試合終了のゴングが鳴った。
素晴らしい試合に観客はスタンディングオベーションだ。
判定は審判ルガクトの手に委ねられる。
「第五試合、勝者……アーシュ・シリアム!!」
まぁそうだろうな。納得の判定だ。
いやしかし、ググルカ族の本気ヤバイな。
【王の左手】より暗殺者向きじゃないの?
全身血だらけの二人はリング中央で握手し、
ルレがアーシュの手を取って頭上に掲げた。
割れんばかりの拍手が会場を包んだ。
ミーズリーvsキャディッシュ
第四試合は剣での試合だった。
長身の女騎士がリングに上がる。
身長は190位だろうか。
キャディッシュよりでかい。
手足が長く美しい。まるでモデルのような体躯だ。
「ミーズリーは将軍の中でも一番人気です。
容姿だけではなく実力も伴っていると聞きますな。
正義感が強く実直な性格のようで全軍の指揮を任されているようです」
メモをめくりながらユーキンが言う。
ダフ屋かよ。……いやごめん、情報ありがとう。
「ほう。イースのバルバレスだな」
ミーズリーは大剣、キャディッシュは細身の剣を2本選んだようだ。
剣にはたっぷり黄色の塗料が塗られている。
試合が始まってすぐ、
キャディッシュは翼を羽ばたかせ1mほどの高さに飛んだ。
試合のルールで有翼人は思いっきり飛ぶのを禁止されている。
しかしリングの四隅に建てられた装飾の塔より下なら
多少飛んでもいいことになっている。
塔の高さは3mくらいだ。
観客は有翼人の戦うところを見れるとあって一際歓声が上がった。
動いたのはキャディッシュだ。
一気に間合いを詰め、素早く二本の剣を打ちこむ。
しかし、上下左右から乱れ飛ぶ剣劇をミーズリーは一本の大剣で器用に防ぐ。
木剣の打ち合う音がカンカンと響いた。
普段はチャラついたいい加減な奴だけど、
あれでもキャディッシュはウルエスト最強の戦士【三翼】の一角。
単純な剣術だけで言えば同じ【三翼】のルガクト、ガルダより上だろう。
腐王を一人で抑えることも出来る実力を持つ天才剣士だ。
そのキャディッシュの剣を、ミーズリーは涼しい顔で難なく捌いている。
イースの女将軍……相当な使い手だ。
形勢は一発で逆転した。
ミーズリーの一太刀でキャディッシュが吹っ飛ばされたのだ。
キャディッシュの剣は一本が折れ、足に黄色の塗料がついていた。
もう一発食らったら終わりだ。
今度はミーズリーが攻める。
本来攻撃力のある大剣は大降りになる分、振った後にスキが生まれる。
しかし、ミーズリーの場合それがなかった。
剣を振った後、華麗なステップを踏み、
自らの体の位置をずらすという高等テクニックで、
相手のカウンターを防いでいた。
剣が当たる度に吹っ飛びそうになるキャディッシュは防戦一方だ。
このままじゃやられると思ったのか、キャディッシュは一旦後ろへ飛び、
助走をつけて回転しながらミーズリーへと突っ込んだ。
どうやら必殺技らしい。
確かに常人なら躱せないだろう。
二人が交差した後、ミーズリーの足に黄色い塗料が付いていた。
やるじゃんキャディッシュ、と思ったが、
振り向いたキャディッシュの腹にも黄色い塗料が付いていた。
「第四試合、勝者ミーズリー・グランツ!!」
試合後、キャディッシュとミーズリーが裏方で何やら話し込んでいた。
するとミーズリーは急に顔を赤くしてその場から駆け出してしまった。
キャディッシュ……お前はほんとに手当たり次第だな。
第五試合
アーシュvsルレ
俺の中で一番気になる試合。
勝敗云々よりアーシュがやりきれるのか、正直心配だ。
腕はいいらしいが、
大会参加者で一番身体が小さく、力も無いだろう。
本人はこの大会で結果を出して
【王の左手】に復帰したいと考えているらしい。
昨晩マイマがそんなようなこと言っていた。
文句なしの結果であれば、
俺も出来るだけアーシュの希望を叶えてやりたいが……心配は拭えない。
試合が始まった。
両者構えたまましばらく動きはない。
驚いたのはルレはもちろん、
アーシュも武人としての禍々しいオーラを放っていたことだ。
まるで手負いの獣が放つ、死地の気迫を感じた。
こんなアーシュ初めて見たな……きっと毎日努力してたんだろう。
それを思うとおじさん泣きそう……ってそんな場合ではない。
両者が動き、打ち合いを始めた。
それはまるでカンフー映画を見ているようだった。
アーシュは決められた型を演じるように、
息もつかせぬ間で拳と蹴りを繰り出す。
ルレはそれを何とか防いでいるといった形だ。
しかしルレも格闘の型が出来ているので、
心得があるように見える。
なんとも綺麗な戦いだった。
やがてアーシュがルレの手を捩じり、首に腕を絡ませた。
この時ばかりは細い腕が脅威になる。
そのままチョークスリーパーを決めたアーシュが
あっけなく勝つと思われた。
しかしルレは後頭部をアーシュの顔面に叩きつけ、腕を外した。
アーシュの鼻が血に染まる。
ほぼ互角の攻防が第2ラウンドまで続いた。
終わり際、アーシュの喉突きが決まり、ルレが僅かに屈んだ。
そこへすかさず膝を顔面に入れてルレがダウン。
第3ラウンドに入ってアーシュは段々ギアが上がってきたようだ。
動きにキレが乗り、バルバレス達も思わず唸るほどの戦いぶりを見せた。
こりゃアーシュは完全にゾーンに入ったな。恐怖心がマヒした状態だ。
ルレは防御に徹しながらも隙をついて見事な左アッパーでダウンを奪った。
勢いに任せて防御をおろそかにしたのはやはり若さか。
試合終了間際、
アーシュはゲームのような空中回し蹴りでルレを地面に叩きつけた。
ダウンを奪ったがルレは立ち上がった。
ルレも最後のラッシュで攻勢に出る。
アーシュはガードをしているがふっ飛ばされ気味だ。
試合終了のゴングが鳴った。
素晴らしい試合に観客はスタンディングオベーションだ。
判定は審判ルガクトの手に委ねられる。
「第五試合、勝者……アーシュ・シリアム!!」
まぁそうだろうな。納得の判定だ。
いやしかし、ググルカ族の本気ヤバイな。
【王の左手】より暗殺者向きじゃないの?
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