73 / 325
第2章
第68話 ケモズ共和国攻略編 アルウネアの襲撃
しおりを挟む
ルレの剣の柄に填められた光石が光った。
豹人の攻撃を普通の人間が腕力で耐えられるのなんて3秒が限界だ。
しかし、ルレの剣の光で豹人の狂戦士化が徐々に収まってきた。
よし、よく分からんがいい傾向だぞ。
豹人は凶暴なフォルムを解き、通常時の姿に戻った。
戻った途端、荒い呼吸でその場に膝を付いた。
「……ルレか。助かった、ありがとう」
力を使いすぎてくらくらする。
「いえ、当然のことです。それよりオスカー様、大丈夫ですか?」
「ああ、力を使いすぎただけだ。……今のはなんだ? なんで元に戻ったんだ」
豹人に目を移す。やっぱりよく見るとかわいい。
ショートカットに大きな目。そして思ったよりも猫耳が破壊力抜群だ。
ボーイッシュで活発なスポーツ女子って感じ。
「ケモズ共和国の〝十牙〟か?」
「……そ、そうだ」
息が荒く起き上がれないようだ。危険はないと判断して俺たちは剣を収めた。
「なぜ俺たちを襲う?」
「ごめん。アレやると衝動が抑えられないんだ」
ルレ隊の兵士たちが倒れた【王の左手】たちを介抱する。
3人とも意識は戻り、ひとまず安心した。
ユウリナもあの程度じゃ壊れないと思うが、放電したからかまだ再起動しない。
耳を寄せるとボディの内部からシュィィィィンと小さく駆動音が聞こえた。
うん、コイツはほっときゃいつか目覚めるだろ。
「……なあ、その剣、どこで?」
この顔面レベルで口調は少年……いい!
「借りものだ。僕のじゃない」
「……それは【巨狼のシュペロン】が鍛えた剣だ」
「……伝説の魔剣使いか」
「もうだいぶ前に亡くなりましたよね」
「たしか余生は刀鍛冶として生きたと書いてあったな」
「……【ブロッキス】」
「ん?」
「その剣の名だよ」
「魔剣か?」
「いや魔剣じゃない。その石は獣人の狂戦士化を抑える効果があるんだ。
シュペロンも獣人だったからな。
それより……あの人たち、死んでないよな?」
「安心しろ。大丈夫だ」
「ていうかお前誰だ?」
「……そっちから名乗れ」
猫耳少女は少しムっとした。
「……ベミーだ。豹人族戦士団長で、ケモズ共和国〝十牙〟の一人だ」
「俺はオスカー・キトゥルセン。キトゥルセン王国の王子だよ」
「ッッ!! 嘘だろ……。なんでこんなところに」
「おたくの王から救援要請があったんだ。他の〝十牙〟はどこに……」
その時通路の奥に魔力を感じた。すぐに千里眼で確認する。
「どうしました?」
そこにいたのはこちらの標的、アルウネアの親玉だった。
「来るぞ!」
まさか【腐王】自ら来るとは。
クロエたちはまだ頭を抱えて横になっている。
その時、何かが脇を通り抜けた。白い影がいくつも飛んでくる。
「ぐえ!」
「うわっ! なんだ?」
兵士たちに当たったようだ。
もう一度千里眼で見てみると、アルウネアがこちらに何か吐き出している。
俺たちの迎撃態勢が整う前に、離れた場所から白い砲弾を放ってきたのだ。
ベチャ! ベチャ! と次々兵士に当たっていく。
「ぐあ!」
「うぐ!」
白い砲弾は粘着質の糸で出来ていた。当たった兵士は壁に貼り付けになっている。
俺は通路の暗闇に向かって火球を連続で放った。
しかし、自動小銃の如く、敵は糸の砲弾を撃ってくる。
直撃しなくても触れた部分がとりもちみたいにくっついてしまうため、
短時間で多くの友軍が行動不能に陥った。
「あ、やばい」
ルレは半身を白い糸の塊にうずめていた。
「うっ!」
横の兵士が直撃を喰らった。そのまま俺の方に倒れてきて、一緒に呑まれる。
片足が糸に埋もれてしまった。
「くそ! うわ、きも……」
凄い吸着性でまったく身動きが取れない。
【王の左手】の三人も既に白いベチャベチャに捕獲されていた。
……ん? なんだ?
もがいていたら急に眠気が襲ってきた。
周りを見ると大半の兵士たちが意識を失っている。
「しまった……」
この糸に強力な催眠効果があると気付いた時には、既に眠りに落ちていた。
豹人の攻撃を普通の人間が腕力で耐えられるのなんて3秒が限界だ。
しかし、ルレの剣の光で豹人の狂戦士化が徐々に収まってきた。
よし、よく分からんがいい傾向だぞ。
豹人は凶暴なフォルムを解き、通常時の姿に戻った。
戻った途端、荒い呼吸でその場に膝を付いた。
「……ルレか。助かった、ありがとう」
力を使いすぎてくらくらする。
「いえ、当然のことです。それよりオスカー様、大丈夫ですか?」
「ああ、力を使いすぎただけだ。……今のはなんだ? なんで元に戻ったんだ」
豹人に目を移す。やっぱりよく見るとかわいい。
ショートカットに大きな目。そして思ったよりも猫耳が破壊力抜群だ。
ボーイッシュで活発なスポーツ女子って感じ。
「ケモズ共和国の〝十牙〟か?」
「……そ、そうだ」
息が荒く起き上がれないようだ。危険はないと判断して俺たちは剣を収めた。
「なぜ俺たちを襲う?」
「ごめん。アレやると衝動が抑えられないんだ」
ルレ隊の兵士たちが倒れた【王の左手】たちを介抱する。
3人とも意識は戻り、ひとまず安心した。
ユウリナもあの程度じゃ壊れないと思うが、放電したからかまだ再起動しない。
耳を寄せるとボディの内部からシュィィィィンと小さく駆動音が聞こえた。
うん、コイツはほっときゃいつか目覚めるだろ。
「……なあ、その剣、どこで?」
この顔面レベルで口調は少年……いい!
「借りものだ。僕のじゃない」
「……それは【巨狼のシュペロン】が鍛えた剣だ」
「……伝説の魔剣使いか」
「もうだいぶ前に亡くなりましたよね」
「たしか余生は刀鍛冶として生きたと書いてあったな」
「……【ブロッキス】」
「ん?」
「その剣の名だよ」
「魔剣か?」
「いや魔剣じゃない。その石は獣人の狂戦士化を抑える効果があるんだ。
シュペロンも獣人だったからな。
それより……あの人たち、死んでないよな?」
「安心しろ。大丈夫だ」
「ていうかお前誰だ?」
「……そっちから名乗れ」
猫耳少女は少しムっとした。
「……ベミーだ。豹人族戦士団長で、ケモズ共和国〝十牙〟の一人だ」
「俺はオスカー・キトゥルセン。キトゥルセン王国の王子だよ」
「ッッ!! 嘘だろ……。なんでこんなところに」
「おたくの王から救援要請があったんだ。他の〝十牙〟はどこに……」
その時通路の奥に魔力を感じた。すぐに千里眼で確認する。
「どうしました?」
そこにいたのはこちらの標的、アルウネアの親玉だった。
「来るぞ!」
まさか【腐王】自ら来るとは。
クロエたちはまだ頭を抱えて横になっている。
その時、何かが脇を通り抜けた。白い影がいくつも飛んでくる。
「ぐえ!」
「うわっ! なんだ?」
兵士たちに当たったようだ。
もう一度千里眼で見てみると、アルウネアがこちらに何か吐き出している。
俺たちの迎撃態勢が整う前に、離れた場所から白い砲弾を放ってきたのだ。
ベチャ! ベチャ! と次々兵士に当たっていく。
「ぐあ!」
「うぐ!」
白い砲弾は粘着質の糸で出来ていた。当たった兵士は壁に貼り付けになっている。
俺は通路の暗闇に向かって火球を連続で放った。
しかし、自動小銃の如く、敵は糸の砲弾を撃ってくる。
直撃しなくても触れた部分がとりもちみたいにくっついてしまうため、
短時間で多くの友軍が行動不能に陥った。
「あ、やばい」
ルレは半身を白い糸の塊にうずめていた。
「うっ!」
横の兵士が直撃を喰らった。そのまま俺の方に倒れてきて、一緒に呑まれる。
片足が糸に埋もれてしまった。
「くそ! うわ、きも……」
凄い吸着性でまったく身動きが取れない。
【王の左手】の三人も既に白いベチャベチャに捕獲されていた。
……ん? なんだ?
もがいていたら急に眠気が襲ってきた。
周りを見ると大半の兵士たちが意識を失っている。
「しまった……」
この糸に強力な催眠効果があると気付いた時には、既に眠りに落ちていた。
1
あなたにおすすめの小説
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる