【北の果てのキトゥルセン】 ~辺境の王子に転生したので、まったり暮らそうと思ったのに、どんどん国が大きくなっていく件について~

次元謄一

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第35話 ノストラ王国攻略編 氷と炎

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魔女は氷の津波に乗って襲ってくる。

フラレウムの炎は分厚い氷で防がれ、防戦一方だ。

一瞬でも気を抜いたらあっという間に凍らされてしまう。

足元は解けた雪と氷で水浸し、ぬかるんで動きづらい。

俺の足では避け切れない時が多く、

戦闘モードのユウリナに助けて貰ってばかりだった。

魔女はらちが明かないと判断したのか、攻撃の手を変えてきた。

掌に吹雪を発生させ、雪を固めて弾丸のように発射してきた。

ボッという音と共に、近くの氷塊に穴が開く。

「これはヤバい、ユウリナ、一旦逃げろ!」

言った傍からユウリナの足に当たり、外装がへこんだ。

「フム、タクサンクラウトヤバイヤツネ」

耳元でジュン!と弾が掠める。危ねえ……。

当たったら脳みそぶちまけるレベルだ。

カンッカンッとユウリナの外装に当たる音が聞こえてくる。

俺を守るように立ち塞がってるから動くに動けないのだろう。

くそ! どうすればいい?

何とかフラレウムの炎で氷の弾丸を防げないか。

必死に考えていたら無意識に力を入れていたらしい。

地面に刺したフラレウムの刀身が赤く熱され、周囲に熱波が広がった。

「うおっ! なんだこりゃ……」

炎は出ていない。

しかし、地面の苔がじりじりと灰になるくらいの熱気が俺の周りに漂っている。

俺とユウリナを中心に、雪が円形状に溶けた。

魔女の放つ氷の弾丸も、熱波の影響圏に入った途端、瞬時に溶解して、威力が半減した。

ユウリナの外装もへこまない。

これはいいぞ。

魔女は氷の弾丸を放つのを止めた。

腕と髪を氷で武装して、接近戦に持ち込んできた。

肉弾戦だ。

熱波はそのままに、鞭のように攻撃してくる氷の髪と、

氷の鋭い爪をフラレウムで受ける。

刀身で攻撃を防ぐと一瞬だけ凍るがすぐに蒸発した。

ユウリナは3本の腕で武術のように攻撃を防いでいるが徐々に白い霜で覆われてきている。

「オスカー、ワタシゴトホノオデコウゲキシテ」

「大丈夫なのか?」

「ケッコウタエラレルカラアンシンシナサイ」

「……分かった」

少し後ろに下がり、フラレウムの中火をユウリナの背中越しにお見舞いした。

魔女の腕や身体が溶けたが、瞬時にまた氷で再武装される。

終わりがないぞ、これ。

ユウリナのボディが赤く熱されてしまった。大丈夫か?

しかし、魔女の氷の爪ががユウリナの身体に当たっても瞬時に溶けて蒸気となり、

あまりダメージを追わないことに気付いた。

一つの案が浮かんだ。だが一か八かだ。

「ユウリナ、限界まで耐えろ!」

俺はフラレウムを強火にしてユウリナごと魔女を攻撃した。

もうほとんど体力が残っていないが、全て使い切る覚悟だ。

ユウリナは炎の中で耐えている。

「オスカーノサクセンワカッタワ」

俺の体力が切れる頃には、ユウリナは熱で真っ赤になっていた。

「はぁはぁ……あとは任せたぞ」

「リョウカイ」

ユウリナの周りは凄まじい熱で空気が揺らめいている。

雪が当たるたび白い蒸気があがった。

ユウリナは魔女に襲い掛かった。

魔女の氷の壁は半分溶けている。今が攻め時だった。

氷の槍が飛んでくるもユウリナは難なくかわす。

魔女は氷の壁を構築し直したが、ユウリナはそのまま突っ込んで、

自らの身体で氷を溶かしながら壁に穴をあけた。

そのまま迫りくる髪の鞭や振り下ろされる鋭い爪、氷の弾丸を身体で受け溶かし、

ついに魔女の懐に入り込んだ。

そしてユウリナは魔女に抱き着いた。

ジュアアアアアアア! とものすごい蒸気と共に、魔女の悲鳴が響き渡る。

悲鳴は何人もの声が重なったような、人のものではなかった。

「オスカー、モシカシタラコレガサイゴカモ。ウンガヨケレバメザメル。

イチオウイットクワ、ミツケテクレテアリガトウ」

「え?」

ユウリナは身体から雷が落ちたかと思うほどの電撃を出し、魔女を倒した。

ユウリナもまた活動を停止した。

まじかよ。

俺は熱で倒せると思ったのに……出来ないと分かって自分の全エネルギーを使ったっていうのか?

よたよたとおぼつかない足でユウリナの元へ行く。

動かないユウリナはブリキの人形みたいだった。

切羽詰まっていたので深くは考えなかった。まさか命を懸けるなんて。

運が良ければってことは自己修復機能に全てをかけるという事だ。

吹雪が少し弱まった。遠くでカカラルが鳴いている。

少し離れた所に魔女が倒れていた。

しかし近づいてみるとそれは魔女ではなく女の子だった。

ショートカットで年齢は20歳くらい。

まだ、生きている。全裸だ。

この娘が魔女の正体?

ウーム……かわいいぞ。
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