15 / 325
第15話 円卓会議、商会発足
しおりを挟む
「この国の問題点は大体わかった」
円卓会議の席にはラムレス、バルバレス、ギル、モルトが座り、
山積みの議題について話し合っていた。
「とにかくイース公国への支払いは予定通り行う。なので王都の道路補修は延期だ。
それと魔物討伐の遠征部隊は村の空き家に宿泊出来るようにすればいい。
食料はこちらが持っていくが、寝床だけ用意してくれと手紙を送っておいて」
「確かにそれなら経費削減ですな。馬車が減る」
バルバレスが唸るとギルもすぐにぶつぶつと計算を始めた。
「しかし、このままだとやはり税収を上げる他ないのではないでしょうか?」
ため息交じりにラムレスは決算書を撫でた。
「だめだ。最悪の手段だよ、それは。俺はゆっくりと税率を下げたいんだから」
「現状の数字を見るととてもそんなことは……」
「税に頼り切っているから駄目なんだ。金がないなら自分たちで作ればいい」
ギル以外は理解していない表情で固まってしまった。
「なるほど、オスカー様の考えている事が分かりました。王家直属の商会を作るのですね」
さすがギルだ。金の事になると頭の回転と目の輝きが一段階上がる。
「そうだ。この前言った通りの場所で銀が大量に出ただろ?
その売り上げを立ち上げ資金にする。
まずは何より食料問題。南の国境付近にて農地の拡大を行う。
小麦とトウモロコシ、それに芋、油菜の生産量を上げよう」
ラムレスは慌ててペンを走らせた。
「次に畜産だが……森の近くや山間部の農家は害獣に悩まされていると聞いた。
白鹿と牙猪だな? バルバレス、軍の中でこれらの捕獲隊を組織しろ」
「はっ! ……駆除ではなく捕獲ですか?」
「捕獲して飼育する。鶏と兎もだ。食用と、革製品の加工場も作る」
「牙猪はまだしも、白鹿は肉が硬くてあまり流通しないのではないのですか?」
モルトは食にうるさいと評判だ。
「いや、鹿肉は低温調理で柔らかく料理出来るんだ。調理方法を広めれば、
味は悪くないし、良質な肉が大量に確保できる。一度時間を見つけて俺が調理しよう。
でだ、これらの飼育場を、ノーストリリア外縁の森に作ろうと思うが……
あの森はなぜ残してあるんだ? 何か歴史や宗教上の理由があれば考え直すが」
「古くは敵から街と城を守る目的で保護されていたようですが……全て引っこ抜くのでなければ
特に問題ないかと」
ラムレスの説明にみんな頷いた。
「しかし、計画は分かりましたが、人は集まれど、それだけの人件費を用意できませんぞ」
それな。ちゃんと考えてあるんだ、ラムレス君。
「始めは300人いる囚人を使おうと思う。檻に入れてるだけじゃ罰にはならないだろ?
木を切って、建物を建てて、道を作って、無償労働で罪を償ってもらう。
利益が出てきたら、各村から人員を募集しよう」
「……なるほど。それならば可能ですな。流石です、早速準備致しましょう」
ラムレスは下あごをぷるんと揺らし、ギルは楽しそうに計算し始めた。
それから俺は事前に作っておいた鉱脈地図をラムレスに渡した。
暇な時に【千里眼】で地下を探っておいたのだ。
キトゥルセン王国全土、約百ヵ所の掘削ポイント。
「この丸がついてる場所を優先的に掘ってくれ。珪石と石灰石が大量に眠ってる。
これでガラスをじゃんじゃん生産する」
「おお、ガラスは高く売れますぞ!」
ギルのテンションが高い。びっくりする。
「この地図も……いや、もう何も聞きません。
オスカー様は不思議なお方ですな。
まるでこの国を救うために生まれてきたかのように思います。
ここは北の辺境なので今は見向きもされてませんが、
大陸ではいくつもの国が覇権争いをしております。
遅かれ早かれここまで戦火は伸びて来ることでしょう……
しかし、オスカー様がいてくれれば百人力!
民も安心しましょうぞ」
ラムレスの言葉に「その通りです」とバルバレスは頷いた。
「そう言ってくれてうれしいよ。みんなでこの国を良くしていこう」
ギルもモルトも希望に満ちた目だった。
なんだなんだ、いい感じだ。やっと一つにまとまり始めたぞ。
「オスカー様、商会を作るのであれば、名前を考えなければいけませんぞ」
ギルは前のめりで聞いてきた。ちょっと引く。
「ああ、もう決めてある。名前は……ジェリー商会だ」
「ああ! オスカー様! 何という慈悲深く、愛に溢れる方なんでしょうか!
亡きお父上の名前を付けられるとは……もうこれは絶対繁盛致しますぞ!」
ラムレスは号泣した。バルバレスもうるっときている。
モルトは優しい笑みを浮かべ、ギルは目を瞑り頷いていた。
ごめんな、みんな。
この命名は完全に計算さ(テヘペロ
……でも泣くほどとは思わなかったな。
ちょっと胸が痛い。
円卓会議の席にはラムレス、バルバレス、ギル、モルトが座り、
山積みの議題について話し合っていた。
「とにかくイース公国への支払いは予定通り行う。なので王都の道路補修は延期だ。
それと魔物討伐の遠征部隊は村の空き家に宿泊出来るようにすればいい。
食料はこちらが持っていくが、寝床だけ用意してくれと手紙を送っておいて」
「確かにそれなら経費削減ですな。馬車が減る」
バルバレスが唸るとギルもすぐにぶつぶつと計算を始めた。
「しかし、このままだとやはり税収を上げる他ないのではないでしょうか?」
ため息交じりにラムレスは決算書を撫でた。
「だめだ。最悪の手段だよ、それは。俺はゆっくりと税率を下げたいんだから」
「現状の数字を見るととてもそんなことは……」
「税に頼り切っているから駄目なんだ。金がないなら自分たちで作ればいい」
ギル以外は理解していない表情で固まってしまった。
「なるほど、オスカー様の考えている事が分かりました。王家直属の商会を作るのですね」
さすがギルだ。金の事になると頭の回転と目の輝きが一段階上がる。
「そうだ。この前言った通りの場所で銀が大量に出ただろ?
その売り上げを立ち上げ資金にする。
まずは何より食料問題。南の国境付近にて農地の拡大を行う。
小麦とトウモロコシ、それに芋、油菜の生産量を上げよう」
ラムレスは慌ててペンを走らせた。
「次に畜産だが……森の近くや山間部の農家は害獣に悩まされていると聞いた。
白鹿と牙猪だな? バルバレス、軍の中でこれらの捕獲隊を組織しろ」
「はっ! ……駆除ではなく捕獲ですか?」
「捕獲して飼育する。鶏と兎もだ。食用と、革製品の加工場も作る」
「牙猪はまだしも、白鹿は肉が硬くてあまり流通しないのではないのですか?」
モルトは食にうるさいと評判だ。
「いや、鹿肉は低温調理で柔らかく料理出来るんだ。調理方法を広めれば、
味は悪くないし、良質な肉が大量に確保できる。一度時間を見つけて俺が調理しよう。
でだ、これらの飼育場を、ノーストリリア外縁の森に作ろうと思うが……
あの森はなぜ残してあるんだ? 何か歴史や宗教上の理由があれば考え直すが」
「古くは敵から街と城を守る目的で保護されていたようですが……全て引っこ抜くのでなければ
特に問題ないかと」
ラムレスの説明にみんな頷いた。
「しかし、計画は分かりましたが、人は集まれど、それだけの人件費を用意できませんぞ」
それな。ちゃんと考えてあるんだ、ラムレス君。
「始めは300人いる囚人を使おうと思う。檻に入れてるだけじゃ罰にはならないだろ?
木を切って、建物を建てて、道を作って、無償労働で罪を償ってもらう。
利益が出てきたら、各村から人員を募集しよう」
「……なるほど。それならば可能ですな。流石です、早速準備致しましょう」
ラムレスは下あごをぷるんと揺らし、ギルは楽しそうに計算し始めた。
それから俺は事前に作っておいた鉱脈地図をラムレスに渡した。
暇な時に【千里眼】で地下を探っておいたのだ。
キトゥルセン王国全土、約百ヵ所の掘削ポイント。
「この丸がついてる場所を優先的に掘ってくれ。珪石と石灰石が大量に眠ってる。
これでガラスをじゃんじゃん生産する」
「おお、ガラスは高く売れますぞ!」
ギルのテンションが高い。びっくりする。
「この地図も……いや、もう何も聞きません。
オスカー様は不思議なお方ですな。
まるでこの国を救うために生まれてきたかのように思います。
ここは北の辺境なので今は見向きもされてませんが、
大陸ではいくつもの国が覇権争いをしております。
遅かれ早かれここまで戦火は伸びて来ることでしょう……
しかし、オスカー様がいてくれれば百人力!
民も安心しましょうぞ」
ラムレスの言葉に「その通りです」とバルバレスは頷いた。
「そう言ってくれてうれしいよ。みんなでこの国を良くしていこう」
ギルもモルトも希望に満ちた目だった。
なんだなんだ、いい感じだ。やっと一つにまとまり始めたぞ。
「オスカー様、商会を作るのであれば、名前を考えなければいけませんぞ」
ギルは前のめりで聞いてきた。ちょっと引く。
「ああ、もう決めてある。名前は……ジェリー商会だ」
「ああ! オスカー様! 何という慈悲深く、愛に溢れる方なんでしょうか!
亡きお父上の名前を付けられるとは……もうこれは絶対繁盛致しますぞ!」
ラムレスは号泣した。バルバレスもうるっときている。
モルトは優しい笑みを浮かべ、ギルは目を瞑り頷いていた。
ごめんな、みんな。
この命名は完全に計算さ(テヘペロ
……でも泣くほどとは思わなかったな。
ちょっと胸が痛い。
1
あなたにおすすめの小説
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
暗殺者の少女、四大精霊に懐かれる。〜異世界に渡ったので、流浪の旅人になります〜
赤海 梓
ファンタジー
「…ここは、どこ?」
…私、そうだ。そういえば…
「貴女、ここで何をしておる」
「わっ」
シュバッ
「…!?」
しまった、つい癖で回り込んで首に手刀を当ててしまった。
「あっ、ごめんなさい、敵意は無くて…その…」
急いで手を離す。
私が手刀をかけた相手は老人で、人…であはるが、人じゃない…?
「ふははは! よかろう、気に入ったぞ!」
「…え?」
これは暗殺者として頂点を飾る暗殺者が転生し、四大精霊に好かれ、冒険者として日銭を稼ぎ、時に人を守り、時に殺め、時に世界をも救う…。そんな物語である…!
転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる