【北の果てのキトゥルセン】 ~辺境の王子に転生したので、まったり暮らそうと思ったのに、どんどん国が大きくなっていく件について~

次元謄一

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第4話 スキル【千里眼】3

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(ナイトビジョン)

これは軍隊がよく使ってる暗視ゴーグルそのまんまだ。

僅かな光を増幅させて暗闇でもよく見える装置。

(ナイトビジョン)を使えば星の出ていない夜の森でも

視界はグリーンに光り、迷うことはない。


(サーモ)

こちらは熱源を見ることの出来る能力。

温度が低ければ青く、高ければ黄色や赤になる。

茂みに潜んだ危険な生物もこの能力なら事前に回避できる。


(マジック)

この能力は魔物や魔人、魔樹、魔石のエネルギーを見ることが出来る。

だが俺が今まで暮らしていた南のコマザ村周辺で、

この能力が発動することは少なかった。

数えるほどの回数、上空を飛ぶ魔物を見たのと、

この辺りでは王都ノーストリリアの城内にある魔剣くらいだ。

視界に入ると魔力を帯びている部分が様々な色に光る。

これは(ズーム)(ナイトビジョン)(サーモ)使用中に自動で発動する。


(ナイトビジョン)と(サーモ)の切り替えは他と同じく、脳内でスワイプ。

例えるならYa〇oo!の「すべて」から「ニュース」「話題」への操作と同じだ。

ああ、懐かしい。久々にスマホ触りたい。


(リプレイ)

これはしばらくの間、能力と気が付かなかった。

単純に自分の記憶だと思っていたからだ。

いやに鮮明だなぁ、4Kいや8Kくらいの解像度ではっきり脳内再生されるなぁ

俺記憶力すげーいいじゃん!

なんて呑気に考えていたけど、3回再生されると、4回目には

ガクっと解像度が落ちて、「情景が目に浮かぶ」レベルになってしまう。

三回までは高画質映像、四回目からはただの記憶という具合だ。

だからサユちゃんの可憐な姿も視聴制限があって、

え、これ金払えば永遠に保存出来るとかないの? とか独り言ぶつぶつ

呟いて「くそう! くっそおおっ!」っておむつ姿で地団駄踏んで、

施設長の奥さんに変な目で見られたりした。

……懐かしいなあ。


【千里眼】の能力はこの6つだ。だが生活するうえでは(ズーム)(シースルー)

(ナイトビジョン)の3つくらいしか使わなかった。

学校があれば(リプレイ)も活用できただろうが、

そんなものはなかった。なぜなら食べていくのに精いっぱいの国だから。

5歳から畑で野菜育てて、草むらで土兎捕まえて、川や池で魚釣って、

洗濯して、服や靴や家具なんか直して、水汲み、芋の芽取り、牛の搾乳、

鶏の世話、そんな毎日だった。この世界では学校なんて王都の貴族の子供しか行けない。

それだって、こんな貧しい国じゃ王都と言えどもたかが知れてるだろう。

まして俺は親のいない施設育ち。二十人くらいの子供たちと、

ただ生きるために生活していただけだった。この世界では、まじで底辺だ。

けど俺はそんな自給自足スローライフを楽しんでいた。ちょっと寒いけどね。

前世で、地方の小さなリゾートホテルで支配人兼料理長していた時、

近所には都会から移住して半自給自足している人たちがいて、

やってみたいなぁと、うらやましく思ったものだ。

それとやっぱりこの能力があったし、前世の知識も持ってるし、

未来に対して不安はみじんも無かった。

俺はこの与えられたスキルを駆使して、沢山のビジネスをする予定だった。

「え、聞きたい? しょうがないなあ」

「御用でしょうか、オスカー様」

……どうやら俺は思っている事が口に出てしまうようだ。
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