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第一章
11話 旅立ち:オキツネ村
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鏡の中へと入った三人の目に映ったのは、木々や川などの豊かな自然と、開けた場所に建てられた一軒の小屋であった。
特徴的なのは空で、ドームのように湾曲しており、それが地面まで続いている為、端は行き止まりとなっている。
外のように見えて、実のところは閉鎖的な空間であった。
突然、異質な空間に連れ込まれた玖音とクレアは、キョロキョロと周りを見回す。
「ここは……?」
「シェルターミラーっていうアーティファクトの中。避難所みたいなところよ」
「アーティファクトまで持っておるのか。とんでもないの」
「他にも沢山あるわよ。戦いの時も使ってたし」
凛はそう言って、小屋の横に設置されていた倉庫を開けると、中から数多のアーティファクトが現れる。
回収したアーティファクトは瑞希と分配したが、二人とも使わない物は、倉庫代わりとして、ここで保管していた。
「化け物か……」
常識外れの光景に、流石の玖音も唖然とする。
一般的には、たった一つのアーティファクトを手に入れることでさえ困難を極める為、これだけの量を集めたというのは、常識的に有り得ないことだった。
「失礼ね。他のアーティファクトの話は置いておくとして、荒事になりそうな時は、ここに居れば安全だわ。私も寝泊りに使ってるし、言うならば持ち運べる家みたいなものだから、長旅でも快適に過ごせるわよ。これなら、ついてこれそうじゃない?」
凛はクレアに向けて安全性を説明し、旅に同行できるか改めて尋ねた。
「……迷惑にはなりませんか?」
「全然。やることは戦いだけじゃなくて、ここの管理もあるからね。家事要員って訳じゃないけど、来てくれると私も助かるわ」
「でしたら是非、よろしくお願いします」
元々、村で肩身の狭い思いをしていたクレアは、守り神である玖音も同行することもあって、二つ返事で旅の同行をオッケーした。
「よっしゃー! 二人ゲット!!」
玖音に続き、クレアも旅の仲間になり、凛は思わずガッツポーズをした。
「?」
「こほん、何でもないわ。それじゃあ早速、旅に出発しましょうか」
オキツネ村は壮大な騒ぎになっていた。
山が突然大火事となったと思ったら、大雨。
逃げ戻って来た村長の話から、九尾の狐の怒りを買ったのだと考え、村人達は顔面蒼白の大騒ぎをしていた。
「九尾様がお怒りじゃあああ」
「お許しくだされええええ」
山に向かって拝む老人達。
「生贄だ! 九尾様の怒りを鎮めるには、沢山の生贄を捧げて、我々の誠意を見せるしかない!」
村長は九尾の狐の怒りを鎮めるべく、新たに生贄の用意を行っていた。
最早、形振り構っていられず、人手不足になることはお構いなしに選定して行く。
そんなことをしていると、村長の背後から声がかかる。
「またそんな無意味なことやろうとしてるの?」
村長が振り向くと、そこに居たのは凛だった。
「り、凛様。生きていらっしゃったのですね。あれから、どうなったのです?」
「話をつけてきたわ」
凛はそう言い、顔を横に向ける。
その先には獣の姿となった玖音とクレアが居た。
村長はギョッとし、他の村人達も驚いて、辺りは騒然となる。
「引っ越すから、もう生贄はいらないって。というか、そもそも要求してないのに、勝手に生贄なんて寄越して、迷惑だって言ってたわよ」
村長達は半ば呆然としながら凛の話を聞く。
どうやって意思疎通したのか彼らには分からなかったが、凛が代弁する様子を見守るように大人しくしている九尾の狐の姿を見ては、疑うことなどできなかった。
「じゃ、私はあの子達と一緒に行くから。しっかりと反省するように」
それだけ言うと、凛は九尾の狐達と共に、村を去って行った。
特徴的なのは空で、ドームのように湾曲しており、それが地面まで続いている為、端は行き止まりとなっている。
外のように見えて、実のところは閉鎖的な空間であった。
突然、異質な空間に連れ込まれた玖音とクレアは、キョロキョロと周りを見回す。
「ここは……?」
「シェルターミラーっていうアーティファクトの中。避難所みたいなところよ」
「アーティファクトまで持っておるのか。とんでもないの」
「他にも沢山あるわよ。戦いの時も使ってたし」
凛はそう言って、小屋の横に設置されていた倉庫を開けると、中から数多のアーティファクトが現れる。
回収したアーティファクトは瑞希と分配したが、二人とも使わない物は、倉庫代わりとして、ここで保管していた。
「化け物か……」
常識外れの光景に、流石の玖音も唖然とする。
一般的には、たった一つのアーティファクトを手に入れることでさえ困難を極める為、これだけの量を集めたというのは、常識的に有り得ないことだった。
「失礼ね。他のアーティファクトの話は置いておくとして、荒事になりそうな時は、ここに居れば安全だわ。私も寝泊りに使ってるし、言うならば持ち運べる家みたいなものだから、長旅でも快適に過ごせるわよ。これなら、ついてこれそうじゃない?」
凛はクレアに向けて安全性を説明し、旅に同行できるか改めて尋ねた。
「……迷惑にはなりませんか?」
「全然。やることは戦いだけじゃなくて、ここの管理もあるからね。家事要員って訳じゃないけど、来てくれると私も助かるわ」
「でしたら是非、よろしくお願いします」
元々、村で肩身の狭い思いをしていたクレアは、守り神である玖音も同行することもあって、二つ返事で旅の同行をオッケーした。
「よっしゃー! 二人ゲット!!」
玖音に続き、クレアも旅の仲間になり、凛は思わずガッツポーズをした。
「?」
「こほん、何でもないわ。それじゃあ早速、旅に出発しましょうか」
オキツネ村は壮大な騒ぎになっていた。
山が突然大火事となったと思ったら、大雨。
逃げ戻って来た村長の話から、九尾の狐の怒りを買ったのだと考え、村人達は顔面蒼白の大騒ぎをしていた。
「九尾様がお怒りじゃあああ」
「お許しくだされええええ」
山に向かって拝む老人達。
「生贄だ! 九尾様の怒りを鎮めるには、沢山の生贄を捧げて、我々の誠意を見せるしかない!」
村長は九尾の狐の怒りを鎮めるべく、新たに生贄の用意を行っていた。
最早、形振り構っていられず、人手不足になることはお構いなしに選定して行く。
そんなことをしていると、村長の背後から声がかかる。
「またそんな無意味なことやろうとしてるの?」
村長が振り向くと、そこに居たのは凛だった。
「り、凛様。生きていらっしゃったのですね。あれから、どうなったのです?」
「話をつけてきたわ」
凛はそう言い、顔を横に向ける。
その先には獣の姿となった玖音とクレアが居た。
村長はギョッとし、他の村人達も驚いて、辺りは騒然となる。
「引っ越すから、もう生贄はいらないって。というか、そもそも要求してないのに、勝手に生贄なんて寄越して、迷惑だって言ってたわよ」
村長達は半ば呆然としながら凛の話を聞く。
どうやって意思疎通したのか彼らには分からなかったが、凛が代弁する様子を見守るように大人しくしている九尾の狐の姿を見ては、疑うことなどできなかった。
「じゃ、私はあの子達と一緒に行くから。しっかりと反省するように」
それだけ言うと、凛は九尾の狐達と共に、村を去って行った。
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