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12 - 二学年 三学期 冬 -
01
しおりを挟む三学期が始まりました。
3年生は一気に受験ムードで、それと並行して大倉への告白頻度が上がり始めた。
毎年ほんと、大変だよな…しかも来月は…いや、考えたくない。
どうせ今年もすげー数のチョコを貰うんだ、大倉は。
そういや、この前姉ちゃんから久しぶりに連絡が来た。
年末帰れなかったから、来週帰って来るって。
陽介さん(姉ちゃんの旦那さん)もやっと休みが取れたらしく、一緒に来るらしい。
久しぶりに会えるからちょっとうれしい。
「え?彩子さん帰って来るの?」
「うん。来週帰って来るって」
「えー!久しぶりじゃん!」
「うん」
姉ちゃんは俺の8つ上で、子供が2人いる。
陽介さんとは高校の頃から付き合ってて、いまだにラブラブだ。
そう。俺、まだ高校生なのに叔父さんなんだ。しかも中学の時に叔父さんになったんだ。
まぁ、甥っ子も姪っ子も可愛いからいいんだけどね!
「彩子さん?」
「あ、大倉は会ったことないか」
「うん?」
「俺の姉ちゃん」
「え?!航ってお姉さん居ったの?!」
「うん」
「そうなんや…一人っ子かと思ってた」
「まぁ、8つも離れてるからなぁ」
俺が10歳の時にはもう家出てたしな。
その後、大学やら子育てやらで帰ってこなかったし。
去年2人目が産まれて、またさらに忙しそうだったし。
「…大倉、会う?」
「え?」
「姉ちゃんに」
「え、ええの?」
「うん。と言うか姉ちゃんが会いたがってる」
「…なんで?」
「母さんが話してるみたいでさ、大倉のこと」
「そうなん?」
「うん」
俺が中学の頃、姉ちゃんはすでに家にはいなかったけど、俺の事情は知ってる。
だから、母さんと同じ理由で、大倉に会いたいらしい。
姉ちゃん曰く「航ちゃんがお世話になってる子だもん!会わないと!」って。
ウチは、昔共働きしてたから、母さんがいない時は姉ちゃんが面倒見てくれてて、だから姉ちゃんは俺の第二の母的存在なんだ。
それに、俺も姉ちゃんに大倉のこと紹介したいし…うん。
「来週空けといて」
「うん。空ける。何がなんでも空ける」
「おう」
因みに、大倉と付き合ってることは、姉ちゃんには言ってない。
言いたくないわけじゃなくて、どう伝えたらいいのか悩んでる。
姉ちゃんも偏見はないと思うけど、確実に驚くだろうしそれに恥ずかしい。
父さんと母さんにも結局伝えてはいないし(めちゃくちゃバレてるけど!)。
まぁ…もしかしたら、母さんからすでに伝わってるかも知れないけど。
「てかさ、亜希子さんと明人さんって歳幾つなん?」
「46?とかじゃないかな?」
「…見えへんな」
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