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04 - 一学年 二学期 冬 クリスマス篇 -
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「はい、お茶」
「あ、ごめん…ありがと」
「うん」
あの後、少し離れてるフードコートに来て、ちょっとだけ放心状態になった。
佐倉に出会った事へのちょっとしたパニックと、大倉のカッコ良さにやられて、上手に処理出来なくて、放心するとか。俺こそダサすぎる。
「大丈夫?」
「ぁ、…うん。大丈夫」
俺の隣に腰掛けて、心配そうに顔を覗かれる。
お願い、今顔見ないで。絶対に真っ赤だから。
「あいつって」
「あー…うん。いじめてた、奴」
「そっか」
「…なんか、ごめんな?」
「え?」
「巻き込んじゃって…」
「…いや。俺もごめん」
「え?」
「…付き合うてる、とか言うてもうて」
「っぁ、いや…うん…全然」
それは、うん。俺は全然いいんだけど。
大倉は、それで良かったんだろうか。そっちの方が心配だよ。
俺は別に…ホモとか言われても別に、気にしない、し。
正直、大倉の事が好きって気付いた時に、そうなのかな…とか思ってたりした。
周りが、彼女の話してても、何とも思ってなかったし。何だったら女の子に恋する、とかなかったし。
いや、だからって男を好きになった事もなかったんだけど。
「ね、相澤」
「え、うん?」
「その…航って、呼んでも、ええ?」
「っ、あ、う、うん。いいよ」
「んふ。良かった」
「っ、」
あー…やばいって、ほんと。今、その笑顔はダメだって。
さらに好きの気持ちが膨れあがっちゃうって。
その後は、何事もなかったように、ウィンドウショッピングを再開した。
佐倉に出会って嫌な気持ちになったけど、大倉と過ごしたおかげで、気持ちは落ち着いた。
楽しかったし、さらに大倉への気持ちが膨らんで増えて、どうしようもなくなった。
そんな、クリスマスだった。
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