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03 - END -
しおりを挟む※宏紀サイド
パーティーで竜介が頑張ってるその頃、宏紀は竜介に頼まれて竜介の家にいた。
「帰ってきたらぎゅってしたい。ちゅってしたい。だから家にいて。今日は泊まってって!」と泣きそうな顔で頼まれてしまったら断れるはずもなく。朝から竜介の家にいた。
パーティーは夕方からなのだが、色々と打ち合わせとかあるらしく、朝早くから竜介は実家に行っている。
竜介がいない間に、掃除、洗濯、買い物を済ませて、竜介が帰ってくるタイミングにご飯が作れるように下ごしらえをしていた。
(あ、りゅうからだ)
下ごしらえを終わらせて、少しゆっくり過ごしていたら、竜介から「今タクシーの中。すぐ帰る」と連絡が来た。それに「お疲れ様。家で待ってるからな」と返事をして、ほくそ笑む。
普段、あまり竜介に対して好きだとか言わないが、これでも心の底から愛しているのだ。
竜介の兄の代わりだとしても、今日は大仕事を終えて帰ってくる。
いっぱい竜介の好きなことをさせてあげようと思っている。
◇◆◇
宏紀が竜介のことを好きになったのは、生まれた時から一緒にいるからと言うわけではなく、物心ついた頃に、竜介に手をぎゅっと握られた時に、その手が暖かくて優しくて、ずっと握っていたいと、離したくないと思ったからだ。
それから、竜介の笑顔にもやられた。
にこって笑う顔や、くしゃっとさせて笑う顔、尻尾と耳が見えるくらいに嬉しそうにする笑顔、どれも宏紀にしか見せない顔だ。
顔だけで好きになったのかと言われたらそうではないのだが、やはり人間、顔は見てしまう。そして好きだなぁと思う相手だと尚更だ。
そんな人の笑顔は、宏紀の心を鷲掴みにするには容易くて、この笑顔を守ってやりたいと思ったのだ。
「ただいまぁー!!」
「おかえ、ぐぇっ…」
「はー…ひろーひろーひろーひろー」
「りゅ、ちょ…くるしいっ、」
ガチャリ、と鍵の開く音がして、玄関に向かったら、竜介が抱きついてきた。
それはもう猪の如く猪突猛進で、潰れたカエルみたいな声が出るほどの勢いで。
「ちょ、りゅう!」
「ぁぐっ!」
「痛いっての」
「ごめん…ただいま」
「うん。おかえり。お疲れ様」
「うん…ひろ、ひろ…」
「うん。がんばったね」
「うん…ちゅーして」
「ふはっ。はいはい」
ちゅっと、可愛らしい音を立ててキスをすると、竜介は顔を蕩けさせ、嬉しそうに微笑んだ。
それを見た宏紀は、あー好きだなぁと、改めて思う。
軽くぎゅっとしてあげた後、一緒にリビングに向かう。
「今日ご飯なに?」
「から揚げ」
「やった!!」
「がんばったりゅうへのご褒美」
「へへっ。ありがと、ひろ!愛してるよ!」
「ふはっ。俺も愛してるよ」
結局この2人は相思相愛で、離れることなんか一切考えてなく、これからもずっと一緒にいると確信している。
きっとこれから、なにがあってもどんなことが起こっても、離れることは絶対にない。
それほど2人は心でも身体でも魂ででも繋がっているのだ。
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