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一章 魔王城へ

十八話 第二の街と先生

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【十八話】

「ボッーとしてきましたしなんかムズムズします…。風邪でしょうか?」

「薬の効果だ」

「でも寝られそうにないですよー?」

「とりあえず横になってみれば?」

もうそろそろ効果は出始める筈だが、こいつの様子は初めと大して変わっていない。
本当に媚薬なのかも分からないし、ただの栄養剤ってのも考えられる。

「っっ!?」

急にメグリがビクッと身体を震わせる。
耳までさっきより赤くなり、机に突っぷして肩を震わせている。

「メグリさん大丈夫、ですか…?」

「……ちょっと…」

「はい?」

「どこか個室に連れてってくれませんか……っ」

「わかりました。だ、大丈夫です?」

「大丈夫…ですかね…?」

そう言ってメグリは俺を見る。
こんなに効果って急に現れるものなのか。

「何だ?」

「いえ、何でも…」

クルトはメグリを抱えて部屋を出ていった。
メグリの飲んだ瓶の側面を確認すると、「効果増強剤」、そしてよく分からない物質の名前が書いてあった。値段は6万クレジット、これは高級品だと勘違いするだろうな。


「これって治すことはできるのか?」

「効果を消すことはできるかもしれません、少し待っていてください」

クルトは棚から同じような瓶を取り出して机に置いた。

「これです、これを飲めば治るはずなのですが…」

「副作用でもあるのか?」

「いえ、さっきメグリさんに『絶対に入ってこないで下さい』と言われまして…」

「大丈夫だろ、飲ませるだけだし」


席を立ってメグリの部屋へと向かう。
…布団は捲らないようにしておこう。

「メグリ? いるか?」

「ちょっとぉ! 入るなって言ったはずなのですが!」

「別に見に来たわけじゃない。薬があるらしいから持ってきた」

「薬ですか? どうして」

「念のため」

媚薬だと言うと、変に意識してプラシーボ効果が出てしまうのも困る。

「取りに来いよ」

「持って来てくださいよ」

「入るなって言ったのお前だろ?」

「一応もう入ってますからね?」

「んで、取りにこないの」

「…仕方ないですね」

メグリは布団を剥がして、内股で近寄ってくる。
寝間着はビッショリと汗をかいていて、顔は赤かった。

「どんだけ汗かいてんだよ」

「なんか暑いし…むずむずするんです」

「なにしてたんだ?」

「我慢してました。この薬、本当に大丈夫なんですか?」

「害はない。害はな」

「でも…」

「今何をしたらそれが治まると思う? それをすれば治るかもな」

「自慰ですか?」

「さあな」

やっぱり媚薬じゃないか。
メグリが薬を受け取ったところで部屋を出てクルトのもとへ向かう。

「どうでした?」

「媚薬だった。この薬どこで買ったんだ」

「歩いてたら声をかけられて、いい薬だと言うので買ったのです」

「これからはそういう奴から買うなよ。家に来て販売しに来た奴もな」

クルトの将来が心配だ。
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