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一章 魔王城へ
六話 コドン村にて
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少しの金と念の為の食料を袋に詰めて役所にあるベッドの横に座る。
魔王城まではとても1日では行けないので、途中にある村や町に泊まりながら進む事にした。
一人分の食事なら面倒なクエストをこなさなくても手に入る様だし、のんびり進もうと思う。
【六話】
時計はないが多分夜遅く。
コンコン、と部屋をノックする音が聞こえた。
「誰だ?」
「メグリです」
ガチャっとドアが開かれ、寝間着姿のメグリが入ってきた。手を前で組み、もじもじしている。
「暗いですね、明かり付けないんですか?」
「こっちの方が落ち着くんだよ」
「それで何の用だ」
「ええと、あの…」
「夜這いは感心しないな」
「違いますよ…。その、ごめんなさいと伝えに来たんです。この間はちゃんと謝れてなくて」
「…別に、もうどうでもいい」
殺そうとしたにしろ俺は死んでいないし、こうして掘り返される方が面倒だ。
「よくよく考えれば最初からあなたにお願いすれば良かった。わざわざ私がやらなくても良かったんですよね」
「そうだな」
「…だから、その…ごめんなさい」
「だからもういいって、面倒だ」
「用はそれだけか?」
「はい…っとそのつもりだったんですけど」
「もう一つお願いがあるんです」
「なんだ?」
メグリが息を吸い込む。何を言おうとしているのかは大体分かった。
昨日の金髪のオッサンが言っていた事を思い出す。
「フラグが立っているんだ」
この「フラグ」とは仲間になるというフラグか恋愛フラグか。生憎恋愛に興味はないので仲間フラグのはずである。
メグリが決意をした表情をした。
「お金、貸してください!」
「は?」
「剣探しに殆どお金が使っちゃって今一文無しなんです!食事も今日の分で尽きました!」
「だから貸せと」
「はい、その剣があればクエストなんて楽なはずです! 少しでも…食べられる分だけでも分けて下さい!」
これは…遠まわしに「付いて行かせて」と言っているのだろうか。やはり仲間になるというフラグは立っていたのか?
しかしその答えは決まっている。
「嫌だ」
「そこをなんとか!」
頭を下げ、顔の前で手を合わせるメグリ。
「役に立ちますからぁ…」
「何の役に立つんだ。俺の金を削るのが俺のためか? 悪いが断らせてもらう」
「一応学園首席ですよ、頭良いです」
「微妙」
「1500メートル7.50です」
「それ遅いからな?」
「三秒時を戻せます」
「でもそれしか使えないじゃんか」
「…で、でも囮くらいなら」
「囮ねぇ…」
まあ、俺の武器は遠距離(本来は近距離)だし囮はいたほうがいいかもしれない。楽になるんならそれに越した事はないか?
「じゃあ、連れてくがもし使えなかったら切る」
「…ホントですか?」
「使えなかったら切るからな」
「良かった…です…」
そう言って床に座り込んだ。
「やっと安心して眠れる…」
「ここで寝るな」
魔王城まではとても1日では行けないので、途中にある村や町に泊まりながら進む事にした。
一人分の食事なら面倒なクエストをこなさなくても手に入る様だし、のんびり進もうと思う。
【六話】
時計はないが多分夜遅く。
コンコン、と部屋をノックする音が聞こえた。
「誰だ?」
「メグリです」
ガチャっとドアが開かれ、寝間着姿のメグリが入ってきた。手を前で組み、もじもじしている。
「暗いですね、明かり付けないんですか?」
「こっちの方が落ち着くんだよ」
「それで何の用だ」
「ええと、あの…」
「夜這いは感心しないな」
「違いますよ…。その、ごめんなさいと伝えに来たんです。この間はちゃんと謝れてなくて」
「…別に、もうどうでもいい」
殺そうとしたにしろ俺は死んでいないし、こうして掘り返される方が面倒だ。
「よくよく考えれば最初からあなたにお願いすれば良かった。わざわざ私がやらなくても良かったんですよね」
「そうだな」
「…だから、その…ごめんなさい」
「だからもういいって、面倒だ」
「用はそれだけか?」
「はい…っとそのつもりだったんですけど」
「もう一つお願いがあるんです」
「なんだ?」
メグリが息を吸い込む。何を言おうとしているのかは大体分かった。
昨日の金髪のオッサンが言っていた事を思い出す。
「フラグが立っているんだ」
この「フラグ」とは仲間になるというフラグか恋愛フラグか。生憎恋愛に興味はないので仲間フラグのはずである。
メグリが決意をした表情をした。
「お金、貸してください!」
「は?」
「剣探しに殆どお金が使っちゃって今一文無しなんです!食事も今日の分で尽きました!」
「だから貸せと」
「はい、その剣があればクエストなんて楽なはずです! 少しでも…食べられる分だけでも分けて下さい!」
これは…遠まわしに「付いて行かせて」と言っているのだろうか。やはり仲間になるというフラグは立っていたのか?
しかしその答えは決まっている。
「嫌だ」
「そこをなんとか!」
頭を下げ、顔の前で手を合わせるメグリ。
「役に立ちますからぁ…」
「何の役に立つんだ。俺の金を削るのが俺のためか? 悪いが断らせてもらう」
「一応学園首席ですよ、頭良いです」
「微妙」
「1500メートル7.50です」
「それ遅いからな?」
「三秒時を戻せます」
「でもそれしか使えないじゃんか」
「…で、でも囮くらいなら」
「囮ねぇ…」
まあ、俺の武器は遠距離(本来は近距離)だし囮はいたほうがいいかもしれない。楽になるんならそれに越した事はないか?
「じゃあ、連れてくがもし使えなかったら切る」
「…ホントですか?」
「使えなかったら切るからな」
「良かった…です…」
そう言って床に座り込んだ。
「やっと安心して眠れる…」
「ここで寝るな」
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