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三章 メグリ
六十二話 メグリ
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水面下の様な歪んだ視界の向こうに、4人の人影が見える。手前はパパ、そしてママと、その後ろにいるのはおじいちゃんでその横は村長。
険しい顔をした4人を見て私はたじろぎ、手のひらに置かれたポーチをぎゅっと握った。
パパが「誰かを助けたい時、生きたいと願う時、これを使うんだ」と言い、私の手のひらを両手で包んだ。
何が何だか分からないまま私はゆっくりと頷いた。
目を開けると薄暗い部屋の中に横たわっていた。頭に鈍痛を感じながら、柔らかい床に手をついて起き上がった。
「ぐふぅっ」
「ひぇっ!」
柔らかい床に手をついた途端下から声が聞こえた。
びっくりして飛び退き、床に触る。
あれ、これ人だ…?この凹凸はクルトさんかな?
「クルトさん大丈夫です?」
「クルトじゃないわよ…」
「クロメさん!?」
「い、意外と豊満な身体持ってて…」
「あいたた…意外って何よ元々そこそこあるわ」
「2人とも打ち所が悪かったみたいね、気を失ってたみたい」
「ですね…うう、頭痛い…」
「大丈夫?治せるから頭こっちに向けて」
「はい、でも暗くてクロメさんの位置がわからないです」
「ああ大丈夫、私が後ろ行くよ」
「…もしかしてクロメさん見えるんですか?」
「何が?」
「暗い所でも」
「ええ、もちろん」
「はえ~、すごいですね」
「でも見えない方がいいかもよ?見たくないものを嫌に見えちゃうし」
クロメさんの声が少し震えた。何かに怯えているようで、クロメさんの声の方へ振り向いた。
「え?見たくないものですか?」
「うん。メグリちゃんにも見えるかも…ね。私もこう落ち着いてる様だけど本当は叫びたいくらい怖いんだから…」
「…こ、ここにいるんですか」
「かも…一瞬見えただけで目を逸らしちゃった」
「お、お化けっ!?!?!?いやいやいやいや怖いですよ見えませんし!」
「ひっっ!! …メグリちゃん、後ろを向いて目を閉じて…」
「ど、どうしたんですか…」
「目の端に見えたんだけど…近付いてきてるかも」
「ひいいいそんなの言わないでくださいよ怖いです!!」
「と、とりあえず出口探したいけど」
「目を上げたくない…」
2人は向かい合って互いの肩を掴みながら、手探りで壁の方へ向かう。
クロメさんの肩は震えていて、怖いのを必死に我慢しているのが分かる。
「あっ、壁あったわよ」
「ほ、ほんとだ…後はドアか何か…」
ーーーーーとんっ
「うういいいいやあああああああぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!…………っ」
「ど、どうしたんですかクロメさん!!えっちょっ重い!!何が」
クロメさんが急に悲鳴を上げ、そして急にこちらに倒れ込んできた。
「……き、気を失って…」
「ってちょお!!!おお起きてくださいよクロメさん!!!1人にしないでええ!!」
クロメさんの肩を掴んで前後にぐんぐんと振る。力の抜けた身体は呻き声を上げるだけで動かない。
「おっ…おきろおおおお!!!」
『……』
「ひいぃっっ!!」
「うわあああぁぁ!!!!」
耳元で低い囁き声が聞こえた。それと同時にクロメの手を引っ張って引き摺りながら壁を這い、木の感触があった所で力一杯前に押すと、バキッと音がして外側から光が入ってきた。
険しい顔をした4人を見て私はたじろぎ、手のひらに置かれたポーチをぎゅっと握った。
パパが「誰かを助けたい時、生きたいと願う時、これを使うんだ」と言い、私の手のひらを両手で包んだ。
何が何だか分からないまま私はゆっくりと頷いた。
目を開けると薄暗い部屋の中に横たわっていた。頭に鈍痛を感じながら、柔らかい床に手をついて起き上がった。
「ぐふぅっ」
「ひぇっ!」
柔らかい床に手をついた途端下から声が聞こえた。
びっくりして飛び退き、床に触る。
あれ、これ人だ…?この凹凸はクルトさんかな?
「クルトさん大丈夫です?」
「クルトじゃないわよ…」
「クロメさん!?」
「い、意外と豊満な身体持ってて…」
「あいたた…意外って何よ元々そこそこあるわ」
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「ですね…うう、頭痛い…」
「大丈夫?治せるから頭こっちに向けて」
「はい、でも暗くてクロメさんの位置がわからないです」
「ああ大丈夫、私が後ろ行くよ」
「…もしかしてクロメさん見えるんですか?」
「何が?」
「暗い所でも」
「ええ、もちろん」
「はえ~、すごいですね」
「でも見えない方がいいかもよ?見たくないものを嫌に見えちゃうし」
クロメさんの声が少し震えた。何かに怯えているようで、クロメさんの声の方へ振り向いた。
「え?見たくないものですか?」
「うん。メグリちゃんにも見えるかも…ね。私もこう落ち着いてる様だけど本当は叫びたいくらい怖いんだから…」
「…こ、ここにいるんですか」
「かも…一瞬見えただけで目を逸らしちゃった」
「お、お化けっ!?!?!?いやいやいやいや怖いですよ見えませんし!」
「ひっっ!! …メグリちゃん、後ろを向いて目を閉じて…」
「ど、どうしたんですか…」
「目の端に見えたんだけど…近付いてきてるかも」
「ひいいいそんなの言わないでくださいよ怖いです!!」
「と、とりあえず出口探したいけど」
「目を上げたくない…」
2人は向かい合って互いの肩を掴みながら、手探りで壁の方へ向かう。
クロメさんの肩は震えていて、怖いのを必死に我慢しているのが分かる。
「あっ、壁あったわよ」
「ほ、ほんとだ…後はドアか何か…」
ーーーーーとんっ
「うういいいいやあああああああぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!…………っ」
「ど、どうしたんですかクロメさん!!えっちょっ重い!!何が」
クロメさんが急に悲鳴を上げ、そして急にこちらに倒れ込んできた。
「……き、気を失って…」
「ってちょお!!!おお起きてくださいよクロメさん!!!1人にしないでええ!!」
クロメさんの肩を掴んで前後にぐんぐんと振る。力の抜けた身体は呻き声を上げるだけで動かない。
「おっ…おきろおおおお!!!」
『……』
「ひいぃっっ!!」
「うわあああぁぁ!!!!」
耳元で低い囁き声が聞こえた。それと同時にクロメの手を引っ張って引き摺りながら壁を這い、木の感触があった所で力一杯前に押すと、バキッと音がして外側から光が入ってきた。
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