中2から高3まで性犯罪者に騙されたせいで壊れてしまったわたしの話

悪夢の始まり

街灯に照らされたわたしの影に、背後から長い髪の毛がユラユラと揺れている影が重なってきた。

カッターナイフを出し入れするときの音が聞こえる。

左の頬に冷たい汗がゆっくりと伝っているのがわかる。思わずケータイを強く握りしめた。

「あんたのことずっと親友だと思ってたのに…」

ゾッとするほど冷たいトーンの声がわたしの背中にまとわりついた。

けれどそれはわたしが心を許せる数少ない友達の声でもあった。

「いったいどうしたの詩織」

わたしは動揺を押し殺しながら、できる限りいつも通りの口調で口を開き、ゆっくりと後ろを振り向いた。