9 / 14
第一章
第8話 ニンジャ装束
しおりを挟む
「あ、あの……私の名前はラジェンダと言います。危ない所を助けていただいたうえに妹の怪我まで治していただいて……本当にありがとうございます!」
衝撃的なことが起こりすぎてあまり反応できなかったがようやく落ち着いたのか、ラジェンダと名乗った魔法使いの方が我に返ったように多少興奮しながら礼を言う。
「私はライベルク国の騎士リーディアです。姉ともども助けていただいたこの御恩は生涯忘れません」
どうやら姉妹と思ったのは合っていたようで、妹のリーディアは騎士らしく生真面目ともいえる態度で深々と頭を下げていた。
「……成り行きで助けただけだ、気にしないでくれ。あれを放置していては自分も危険だったからな」
そんな二人に対して耕助は顔をそむけるようにして倒れている巨熊へと視線を向ける。
耕助としては感謝されるとは思ったが、ここまで素直な感謝を向けられると少々罪悪感が湧いてくるのだ。
そもそも助けた目的が己の戦闘力がどれくらいなのか計るためだし、更に言うならばもし僅かでも危険を感じたら迷わず彼女たちを見捨てるつもりだった。
怪我を治した回復薬も効果を確認する人体実験と言ってもいいくらいだし、そもそも恩を売るために助けたようなものなのだ。
だと言うのにこうまで感謝されては、いたたまれなくなってしまう。
「そんな……本当に自分のことしか考えていないのなら、私達がエルダーグリズリーに食べられている間に逃げようとするはずです」
「そうです、謙遜なさらないでください。貴方がされたことは立派で誇っていただきたい」
二人から向けられる純粋な感謝に、自分のことを小市民だなと思うが良心が痛むとばかりに更に顔をそむける耕助。
「…………」
そして本当ならここは命の恩人という立場を利用して耕助から色々と聞きだすべき場面だが、何を話していいのか解らなくなってしまう。
(考えてみればゲーム外で人と話すなんてここ数年ほとんどなかったよなあ)
ほとんど引きこもり同然で、現実世界では買い出しの際に店員と一言二言する会話が一日一回あるかないかだった。
バルナルド相手の場合従うしかないという状況だったのである意味楽だったのだが、出来るなら主導権を握りたいという状況のこの場だと、耕助の対人スキルの低さが浮き彫りになってしまう。
唯一解ったことはあの熊の名前がエルダーグリズリーだったということぐらいだ。
二人の顔が見れなくなっている耕助だが、そんなぶっきらぼうとも言える態度を照れているのか奥ゆかしいとでも感じたのか、姉妹は顔を合わせて軽く笑い合う。少なくとも好意はましたようだった。
「よろしければ名前を教えていただけませんか?」
ひとしきり感謝を伝えた後ラジェンダが問いかけると、耕助は少し考えて名乗る。
「……ライバ」
柏木耕助と名乗ろうかとも思ったが、この格好では少し抵抗があり口に出たのはその名前だった。
「ライバさんですね、本当にありがとうございます。このご恩は一生忘れません」
ラジェンダが改めてお礼を言うが、ただ姉に比べ妹のリーディアはもちろん感謝を全面に押し出してきているが、同時に何か探るような視線を向けていると耕助は感じていた。
「ライバ殿……少しお聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「……答えられることなら」
ためらいがちなリーディアの問いかけに耕助は曖昧に返事をする。
「ライバ殿はこのような場所で何をされていたのですか?」
「ただの通行人だ。この先のルトリーザに向かう最中のな……この道をまっすぐ行けばいいのだろう?」
「ええそうですが……ルトリーザにですか……」
ここでリーディアの顔が曇り、ラジェンダも何かに気づいたようにはっとなる。
「問題でもあるのか?」
「いえ、何と言いますかその……その恰好では少々……」
非常に言いにくそうに、リーディアが耕助の頭からつま先まで見て何とも言えない困ったような顔になる。
そのことかと耕助は気づく。バルナルドの反応でも薄々解っていたことだが、このニンジャ装束はどうもこの世界ではかなり奇異に見える様だ。
「この格好はやはり異様か?」
「いえそんな……ただ個性的と言いますか、風変りと言いますか、独特言いますか……」
何とか取り繕うとしているラジェンダだが、だんだん尻つぼみとなり首を横に振る。
「ごめんなさい、はっきり言うわ……恩人に対してこんなことは言いたくないけどその恰好は変ね」
「私は騎士で国内警備に携わっています。失礼かもしれないが……治安を預かる者としてその恰好で門をくぐる許可を出すのは難しいかと……」
嘘はつけないとばかりに姉妹揃って申し訳なさそうな顔をしている。
「そう……か」
耕助は完全に二人に背を向けてしまう。
このニンジャ装束、ゲーム内では気に入っていただけにこうまではっきりと言われるのはちょっとつらかったのだ。
(いや、これはこの世界の人が慣れていないだけで、絶対に美的感覚が変な訳じゃない)
そう自分に言い聞かせる耕助だった。
「そしてこれも非常に言いにくいことではあるのですが……」
「リディ、あなた……」
「姉さん、恩人だからこそ隠し事したくないのです……正直に申し上げましょう、私たちがここに来たある任務の為です」
責めるようなラジェンダだが、リーディアはこれは言わなければと覚悟を決めたようだ。
リーディアの説明によるとここはルトリーザから伸びている街道の一つで、隣にあったとある小国へと続く道なのだが戦争に巻き込まれ十数年前に滅んだため、通行量は減りあまり使われることは無くなっていた。
その数少ない利用者からここ数か月、近くに集落すらない街道の途中だというのにこの付近で不審人物を見かけるようになったという報告が来るようになった。
ただ盗賊というわけでもなく直接的な被害があったわけではないので、偶然か何かの間違いと放置されてきたが、依然として不審人物の報告は無くならなかった。
「だから調査の為に私と姉が来たのですが、突然エルダーグリズリーに襲われました。騎乗してきた馬も驚いて逃げてしまったために戦わざるを得なくなったところをライバ殿に助けられた……というのが私達の事情です」
リーディアの説明に先ほどからの探る視線を、そういうことだったのかと納得する耕助。
当然ながらこの場所どころか昨日この世界に来たばかりの耕助には無関係だ。しかし不審者の目撃情報がある場所で出会い、更にこんな格好だ。命の恩人ということでなければ問答無用で捕縛対象だろう。
(なるほど、俺への眼が厳しいはずだ。元々不審者を探しに来てるのだから命の恩人でも疑ってかかるのは当然か)
完全な濡れ衣で間の悪いことだとも思うがしかたないことだった。
「それは俺ではない。ここには今来たばかりなんだが……と言っても信じるのは難しいか」
「ええ、私としてもその言葉を信じたい……ですけど」
リーディアは意を決したように耕助の眼を見て問いかける。
「ライバ殿、あなたはどういった人で何者なのですか? その尋常ならざる強さ、とてもではないがただ者とは思えません」
「それこそただの通りすがりなんだが……俺が何者か、と聞かれてもな」
神によってこの世界に召喚された異世界人ですと本当のことを言っても信じてもらえないだろう。
そしてここで適当な嘘をついて誤魔化すのはこの世界の常識がない耕助ではすぐにボロが出るだろうし、リーディアの真面目そうな性格から追及の手が緩む事無さそうだとも解る。
「……すまないが詳細は答えられない。俺にも事情があってな」
結局話せないということになり、当然ながらリーディアもそれで納得するはずもなかった。
「ライバ殿……では私は職務上あなたを連行しなければならない」
苦渋の顔のリーディアだがそれに慌てるのは姉の方だった。
「リディ! あなたライバさんに向って何てことを!」
「姉さん、私だって命の恩人にこんなことは言いたくない。だがこのような異装で正体不明の人物を国内警備をする者としては放っておく訳にはいかないんだ!」
「確かにライバさんは怪しいわ! でもまったく見ず知らずの私たちを助けてくれた良い人なのは間違いないじゃない!」
「それは重々解っている。しかし助けてくれたからと言って不審人物を見逃すのは公私混同で……」
(正体不明だったり怪しかったり不審だというのは自分でも認めるところだが、あまり連呼しないでほしい……)
そんな耕助の内心に構わず眼の前で始まった姉妹喧嘩に更にいたたまれなくなる。
恐怖には耐性が出来たようだが、このような場に居られるほどに耕助のメンタルは強くなかった。
「すまないがこれ以上姉妹喧嘩をさせるわけにもいかないな……ここは原因である私が去るべきか」
そんな言い訳をして耕助は背後に跳躍すると、背の高い樹の枝にふわりと降り立つ。
「ライバ殿!」
「ただこれだけは言っておく、自分で言うのもなんだが俺は悪人のつもりはない。無関係の人間を傷つけたりするような真似はしないからそこだけは安心してくれ」
そう言い残すと耕助は枝から枝へと跳び渡りあっという間に姿を消し、追っても無駄だと解っているのだろう、姉妹はそれを見送るしかなかった。
樹々の中に入って姿を隠した耕助だが、すぐに大きく迂回して二人に気づかれないように戻ってミケを回収する。
「お疲れであったな主よ。どうやら戦闘の方に関しては収穫があったようだな」
「まあな……」
「そして情報収集に関しては失敗したと……やはりその恰好が問題か?」
「このニンジャ姿、そこまで受けが悪いかな?」
「吾輩は慣れているが……根本的に顔を隠しているというのも問題なのでは?」
顔の下半分を隠し人相が解らないというのは確かに怪しいと言える。
「これはニンジャとして譲れない部分なんだが……顔を隠してないなんてニンジャではないだろ」
くだらない拘りかもしれないが、耕助にとっては大事な美意識でもあった。
「まあそこら辺は好きに葛藤してくれ。それよりもせっかく道に出たのだから行こうではないか、この世界の都市を早くみてみたい」
「……格好いいと思うんだけどなあ……」
あまり興味がないとばかりに切り捨てるミケに対し、耕助の力ない呟きだった。
衝撃的なことが起こりすぎてあまり反応できなかったがようやく落ち着いたのか、ラジェンダと名乗った魔法使いの方が我に返ったように多少興奮しながら礼を言う。
「私はライベルク国の騎士リーディアです。姉ともども助けていただいたこの御恩は生涯忘れません」
どうやら姉妹と思ったのは合っていたようで、妹のリーディアは騎士らしく生真面目ともいえる態度で深々と頭を下げていた。
「……成り行きで助けただけだ、気にしないでくれ。あれを放置していては自分も危険だったからな」
そんな二人に対して耕助は顔をそむけるようにして倒れている巨熊へと視線を向ける。
耕助としては感謝されるとは思ったが、ここまで素直な感謝を向けられると少々罪悪感が湧いてくるのだ。
そもそも助けた目的が己の戦闘力がどれくらいなのか計るためだし、更に言うならばもし僅かでも危険を感じたら迷わず彼女たちを見捨てるつもりだった。
怪我を治した回復薬も効果を確認する人体実験と言ってもいいくらいだし、そもそも恩を売るために助けたようなものなのだ。
だと言うのにこうまで感謝されては、いたたまれなくなってしまう。
「そんな……本当に自分のことしか考えていないのなら、私達がエルダーグリズリーに食べられている間に逃げようとするはずです」
「そうです、謙遜なさらないでください。貴方がされたことは立派で誇っていただきたい」
二人から向けられる純粋な感謝に、自分のことを小市民だなと思うが良心が痛むとばかりに更に顔をそむける耕助。
「…………」
そして本当ならここは命の恩人という立場を利用して耕助から色々と聞きだすべき場面だが、何を話していいのか解らなくなってしまう。
(考えてみればゲーム外で人と話すなんてここ数年ほとんどなかったよなあ)
ほとんど引きこもり同然で、現実世界では買い出しの際に店員と一言二言する会話が一日一回あるかないかだった。
バルナルド相手の場合従うしかないという状況だったのである意味楽だったのだが、出来るなら主導権を握りたいという状況のこの場だと、耕助の対人スキルの低さが浮き彫りになってしまう。
唯一解ったことはあの熊の名前がエルダーグリズリーだったということぐらいだ。
二人の顔が見れなくなっている耕助だが、そんなぶっきらぼうとも言える態度を照れているのか奥ゆかしいとでも感じたのか、姉妹は顔を合わせて軽く笑い合う。少なくとも好意はましたようだった。
「よろしければ名前を教えていただけませんか?」
ひとしきり感謝を伝えた後ラジェンダが問いかけると、耕助は少し考えて名乗る。
「……ライバ」
柏木耕助と名乗ろうかとも思ったが、この格好では少し抵抗があり口に出たのはその名前だった。
「ライバさんですね、本当にありがとうございます。このご恩は一生忘れません」
ラジェンダが改めてお礼を言うが、ただ姉に比べ妹のリーディアはもちろん感謝を全面に押し出してきているが、同時に何か探るような視線を向けていると耕助は感じていた。
「ライバ殿……少しお聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「……答えられることなら」
ためらいがちなリーディアの問いかけに耕助は曖昧に返事をする。
「ライバ殿はこのような場所で何をされていたのですか?」
「ただの通行人だ。この先のルトリーザに向かう最中のな……この道をまっすぐ行けばいいのだろう?」
「ええそうですが……ルトリーザにですか……」
ここでリーディアの顔が曇り、ラジェンダも何かに気づいたようにはっとなる。
「問題でもあるのか?」
「いえ、何と言いますかその……その恰好では少々……」
非常に言いにくそうに、リーディアが耕助の頭からつま先まで見て何とも言えない困ったような顔になる。
そのことかと耕助は気づく。バルナルドの反応でも薄々解っていたことだが、このニンジャ装束はどうもこの世界ではかなり奇異に見える様だ。
「この格好はやはり異様か?」
「いえそんな……ただ個性的と言いますか、風変りと言いますか、独特言いますか……」
何とか取り繕うとしているラジェンダだが、だんだん尻つぼみとなり首を横に振る。
「ごめんなさい、はっきり言うわ……恩人に対してこんなことは言いたくないけどその恰好は変ね」
「私は騎士で国内警備に携わっています。失礼かもしれないが……治安を預かる者としてその恰好で門をくぐる許可を出すのは難しいかと……」
嘘はつけないとばかりに姉妹揃って申し訳なさそうな顔をしている。
「そう……か」
耕助は完全に二人に背を向けてしまう。
このニンジャ装束、ゲーム内では気に入っていただけにこうまではっきりと言われるのはちょっとつらかったのだ。
(いや、これはこの世界の人が慣れていないだけで、絶対に美的感覚が変な訳じゃない)
そう自分に言い聞かせる耕助だった。
「そしてこれも非常に言いにくいことではあるのですが……」
「リディ、あなた……」
「姉さん、恩人だからこそ隠し事したくないのです……正直に申し上げましょう、私たちがここに来たある任務の為です」
責めるようなラジェンダだが、リーディアはこれは言わなければと覚悟を決めたようだ。
リーディアの説明によるとここはルトリーザから伸びている街道の一つで、隣にあったとある小国へと続く道なのだが戦争に巻き込まれ十数年前に滅んだため、通行量は減りあまり使われることは無くなっていた。
その数少ない利用者からここ数か月、近くに集落すらない街道の途中だというのにこの付近で不審人物を見かけるようになったという報告が来るようになった。
ただ盗賊というわけでもなく直接的な被害があったわけではないので、偶然か何かの間違いと放置されてきたが、依然として不審人物の報告は無くならなかった。
「だから調査の為に私と姉が来たのですが、突然エルダーグリズリーに襲われました。騎乗してきた馬も驚いて逃げてしまったために戦わざるを得なくなったところをライバ殿に助けられた……というのが私達の事情です」
リーディアの説明に先ほどからの探る視線を、そういうことだったのかと納得する耕助。
当然ながらこの場所どころか昨日この世界に来たばかりの耕助には無関係だ。しかし不審者の目撃情報がある場所で出会い、更にこんな格好だ。命の恩人ということでなければ問答無用で捕縛対象だろう。
(なるほど、俺への眼が厳しいはずだ。元々不審者を探しに来てるのだから命の恩人でも疑ってかかるのは当然か)
完全な濡れ衣で間の悪いことだとも思うがしかたないことだった。
「それは俺ではない。ここには今来たばかりなんだが……と言っても信じるのは難しいか」
「ええ、私としてもその言葉を信じたい……ですけど」
リーディアは意を決したように耕助の眼を見て問いかける。
「ライバ殿、あなたはどういった人で何者なのですか? その尋常ならざる強さ、とてもではないがただ者とは思えません」
「それこそただの通りすがりなんだが……俺が何者か、と聞かれてもな」
神によってこの世界に召喚された異世界人ですと本当のことを言っても信じてもらえないだろう。
そしてここで適当な嘘をついて誤魔化すのはこの世界の常識がない耕助ではすぐにボロが出るだろうし、リーディアの真面目そうな性格から追及の手が緩む事無さそうだとも解る。
「……すまないが詳細は答えられない。俺にも事情があってな」
結局話せないということになり、当然ながらリーディアもそれで納得するはずもなかった。
「ライバ殿……では私は職務上あなたを連行しなければならない」
苦渋の顔のリーディアだがそれに慌てるのは姉の方だった。
「リディ! あなたライバさんに向って何てことを!」
「姉さん、私だって命の恩人にこんなことは言いたくない。だがこのような異装で正体不明の人物を国内警備をする者としては放っておく訳にはいかないんだ!」
「確かにライバさんは怪しいわ! でもまったく見ず知らずの私たちを助けてくれた良い人なのは間違いないじゃない!」
「それは重々解っている。しかし助けてくれたからと言って不審人物を見逃すのは公私混同で……」
(正体不明だったり怪しかったり不審だというのは自分でも認めるところだが、あまり連呼しないでほしい……)
そんな耕助の内心に構わず眼の前で始まった姉妹喧嘩に更にいたたまれなくなる。
恐怖には耐性が出来たようだが、このような場に居られるほどに耕助のメンタルは強くなかった。
「すまないがこれ以上姉妹喧嘩をさせるわけにもいかないな……ここは原因である私が去るべきか」
そんな言い訳をして耕助は背後に跳躍すると、背の高い樹の枝にふわりと降り立つ。
「ライバ殿!」
「ただこれだけは言っておく、自分で言うのもなんだが俺は悪人のつもりはない。無関係の人間を傷つけたりするような真似はしないからそこだけは安心してくれ」
そう言い残すと耕助は枝から枝へと跳び渡りあっという間に姿を消し、追っても無駄だと解っているのだろう、姉妹はそれを見送るしかなかった。
樹々の中に入って姿を隠した耕助だが、すぐに大きく迂回して二人に気づかれないように戻ってミケを回収する。
「お疲れであったな主よ。どうやら戦闘の方に関しては収穫があったようだな」
「まあな……」
「そして情報収集に関しては失敗したと……やはりその恰好が問題か?」
「このニンジャ姿、そこまで受けが悪いかな?」
「吾輩は慣れているが……根本的に顔を隠しているというのも問題なのでは?」
顔の下半分を隠し人相が解らないというのは確かに怪しいと言える。
「これはニンジャとして譲れない部分なんだが……顔を隠してないなんてニンジャではないだろ」
くだらない拘りかもしれないが、耕助にとっては大事な美意識でもあった。
「まあそこら辺は好きに葛藤してくれ。それよりもせっかく道に出たのだから行こうではないか、この世界の都市を早くみてみたい」
「……格好いいと思うんだけどなあ……」
あまり興味がないとばかりに切り捨てるミケに対し、耕助の力ない呟きだった。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。
目覚めると彼は真っ白な空間にいた。
動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。
神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。
龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。
六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。
神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。
気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる