17 / 34
第17話 プレゼン(4)電話
しおりを挟む
橋本たちが退席したあと、残った川口と早苗ら四人は息をついた。
「お疲れさまでした」
川口が笑顔を見せる。
「橋本のあの感触だと大丈夫だと思います。正式にご回答できるのは月曜の重役会議での承認を得てからですが、その後は事務的に社内稟議書を回せば発注できます」
「本日は本当にありがとうございました」
「こちらこそありがとうございました」
互いに頭を下げ合い、川口に一階まで送ってもらった早苗たちは、ビルを後にした。
途端、もわっとした空気に包まれる。ビルの中は効き過ぎるくらい冷房の効いていたのもあって、課長の眼鏡が白く曇った。
ビルが見えなくなったところで、四人ともジャケットを脱ぐ。男性三人はネクタイを緩めた。こんな季節にいつまでも着ていられない。
空は今にも雨が降りそうだったが、駅まではもってくれた。折り畳みの傘は持っているものの、降られないことに越したことはない。
部長と課長はまた別の打ち合わせがあるということで、改札を抜けたところで別れた。もう終業時間間近だというのに、偉い人は大変だ。
早苗たちはまた二人だけで電車に乗ることになった。
運行トラブルはもう解消したらしく、電車の中はすいていた。空いている席の方が多い。あともう少しすれば帰宅ラッシュが始まるだろう。
「疲れた」
ぐったりと座席に座る。
足を投げ出してしまいたい気分だったが、さすがに電車内でそれはできない。背中を丸くするだけで留めておいた。
「お疲れさまでした」
「桜木くんもお疲れ。フォローありがとう」
「いいえ。お役に立てたなら良かったです」
「ほんと助かったよ。頭真っ白になっちゃって危なかった」
「俺、頼りになりましたか?」
桜木が横からのぞき込むようにして聞いてくる。
「なったなった。めっちゃなった」
提案までの検討会といい、資料作りといい、今日のプレゼンといい、桜木には助けられてばかりだ。
「奥田さんよりも頼りになります?」
「奥田さん?」
どうしてここで奥田が出てくるのだろうか。
「比較なんてできないよ。奥田さんはチームメンバーだもん」
同じプロジェクトを担当しているとはいえ、桜木は営業部隊で、早苗の下についている奥田とは違う。
「奥田さんは私の右腕みたいな感じ」
「俺だって先輩の右腕になりたかったのに……」
「え? 何?」
桜木が顔を伏せて落とした呟きは、早苗には聞こえなかった。
「先輩、今日はもう上がっちゃいませんか?」
「直帰ってこと?」
「はい」
「まあ……できなくはないけど……」
頭の中で今日の予定を思い浮かべる。
定時後の打ち合わせは入っていなかったはずだし、ここの所の業務はすべて今日の日のためのもので、それを越えた今、急ぎの作業も特にない。
もしシステムトラブル等の緊急の用件があれば、すでにメールの一本でも入っているだろう。便りのないのはいい便りだ。
奥田に直帰する旨の連絡さえしてしまえば問題ないだろう。オフィスに残っているメンバーも、今日は早く帰るのではないだろうか。
「俺んち来ますよね?」
「あ……うん。そっか。今日金曜日……。でも、セット持ってきてないし……」
お泊まりセットはオフィスのロッカーの中だ。というか、今日が金曜日であり、桜木の家に行く日なのだという意識がなかった。別に約束しているわけでもない。
「買えばいいじゃないですか」
「それは、そうだけど……」
「俺、今日頑張りましたよね? 先輩からご褒美があってもいいと思いませんか」
確かに頑張ってくれたし、フォローは助かった。手を握ってくれたこともありがたかった。あれで緊張が解けたのだ。
疲れてはいたが、桜木が性欲処理がしたいというのであれば付き合おう、と思った。
「まあ、買い物してもいいなら」
「じゃあ、乗り換えの時に買いに行きましょう」
よしっ、と桜木は片手を握りしめてガッツポーズをした。
「じゃあ、奥田さんに連絡しちゃうね」
早苗はスマホを取り出した。
「チーム内の全員宛に連絡するんですよね?」
「そうだけど?」
「じゃあ、奥田さんに連絡する、って言わなくてもいいじゃないですか」
「それはそうだけど、私が不在の間にチームを見てくれてるのは奥田さんだから」
チームのメンバーはそれぞれ自分の担当する業務があるが、奥田はそれ以外に全体も見てくれている。サブリーダーというポストは置いていないが、実質そのようなものだった。
「……それも俺がやりたかった」
桜木が正面を向いて呟いた。
「買い物しに、いったん外に出ましょう」
乗り換えのために降りた駅で、桜木が提案してきた。早苗はそれに賛成する。
改札を出れば、出口の向こうでは雨が降っていたが、買い物は駅ビルの中でも十分足りる。下着を買うところは見られたくないから、適当に時間を潰していて欲しい、と伝えようとした。
「桜木くん、私買いに行ってくるから――」
「あ、ちょっと待ってもらえますか」
早苗の言葉をさえぎって、桜木はポケットからスマホを取り出した。表示を見て顔をしかめる。
仕事の電話だろうか。
急ぎの用なら今日は無しだな、と思った。
「すみません、ちょっと」
「うん」
桜木が早苗から離れて背を向ける。
「何」
ひどく不機嫌そうな声で桜木は電話に出た。
「……はぁ!?」
桜木の声が高くなった。相手の声は聞こえないが、桜木の声はよく聞こえてくる。
「今日!? てか今!? もうマンションの前って――」
マンションの前? 桜木の家の、ということだろうか。
「急に言われたって無理だって。いやこっちも――」
桜木はしばらく言い争いらしき物をした後、がっくりと肩を落として戻ってきた。
「すみません……急用ができてしまって。今日は無理になりました……」
「わかった」
「本当にすみません。金曜日なのに……」
「全然いいよ」
早苗は体の前で両手を振る。
「はぁ……」
桜木は手の甲を額にため息をついた。
「じゃあ、私、会社に戻るから。お疲れ」
「お疲れ様でした……」
手を軽く上げて桜木に別れの挨拶をすると、桜木は背を向けてとぼとぼと帰宅する方向の路線へと歩いて行った。
会社に向かう電車に揺られながら、早苗は先ほどの電話について考えていた。
桜木の家を知っている人物。
きっとセフレの一人なのだろう。
それも、予告なく突然訪問して桜木を振り回せる程の仲だ。
あの様子だと、恐らく桜木は、仕事が残っていたのだとしても、なんとかして帰宅したのだろう、と思う。
まさか、彼女ができたとか……?
そんな素振りも痕跡もなかったが、もしもそうだとしたら、今の関係は続けてはいけない。セフレというのも褒められたものではないが、浮気となればそれこそ問題だ。
でももしそうなら、桜木くんから何か言ってくるよね?
セフレが複数いたとしても、さすがに彼女ができれば関係を終わらせようとするのではないだろうか。
聞いた方がいいのかな?
早苗は少し考えたあと、桜木が言ってこない以上、相手は彼女はなくセフレなのだ、という結論に至り、わざわざ確かめることもない、と思った。
「お疲れさまでした」
川口が笑顔を見せる。
「橋本のあの感触だと大丈夫だと思います。正式にご回答できるのは月曜の重役会議での承認を得てからですが、その後は事務的に社内稟議書を回せば発注できます」
「本日は本当にありがとうございました」
「こちらこそありがとうございました」
互いに頭を下げ合い、川口に一階まで送ってもらった早苗たちは、ビルを後にした。
途端、もわっとした空気に包まれる。ビルの中は効き過ぎるくらい冷房の効いていたのもあって、課長の眼鏡が白く曇った。
ビルが見えなくなったところで、四人ともジャケットを脱ぐ。男性三人はネクタイを緩めた。こんな季節にいつまでも着ていられない。
空は今にも雨が降りそうだったが、駅まではもってくれた。折り畳みの傘は持っているものの、降られないことに越したことはない。
部長と課長はまた別の打ち合わせがあるということで、改札を抜けたところで別れた。もう終業時間間近だというのに、偉い人は大変だ。
早苗たちはまた二人だけで電車に乗ることになった。
運行トラブルはもう解消したらしく、電車の中はすいていた。空いている席の方が多い。あともう少しすれば帰宅ラッシュが始まるだろう。
「疲れた」
ぐったりと座席に座る。
足を投げ出してしまいたい気分だったが、さすがに電車内でそれはできない。背中を丸くするだけで留めておいた。
「お疲れさまでした」
「桜木くんもお疲れ。フォローありがとう」
「いいえ。お役に立てたなら良かったです」
「ほんと助かったよ。頭真っ白になっちゃって危なかった」
「俺、頼りになりましたか?」
桜木が横からのぞき込むようにして聞いてくる。
「なったなった。めっちゃなった」
提案までの検討会といい、資料作りといい、今日のプレゼンといい、桜木には助けられてばかりだ。
「奥田さんよりも頼りになります?」
「奥田さん?」
どうしてここで奥田が出てくるのだろうか。
「比較なんてできないよ。奥田さんはチームメンバーだもん」
同じプロジェクトを担当しているとはいえ、桜木は営業部隊で、早苗の下についている奥田とは違う。
「奥田さんは私の右腕みたいな感じ」
「俺だって先輩の右腕になりたかったのに……」
「え? 何?」
桜木が顔を伏せて落とした呟きは、早苗には聞こえなかった。
「先輩、今日はもう上がっちゃいませんか?」
「直帰ってこと?」
「はい」
「まあ……できなくはないけど……」
頭の中で今日の予定を思い浮かべる。
定時後の打ち合わせは入っていなかったはずだし、ここの所の業務はすべて今日の日のためのもので、それを越えた今、急ぎの作業も特にない。
もしシステムトラブル等の緊急の用件があれば、すでにメールの一本でも入っているだろう。便りのないのはいい便りだ。
奥田に直帰する旨の連絡さえしてしまえば問題ないだろう。オフィスに残っているメンバーも、今日は早く帰るのではないだろうか。
「俺んち来ますよね?」
「あ……うん。そっか。今日金曜日……。でも、セット持ってきてないし……」
お泊まりセットはオフィスのロッカーの中だ。というか、今日が金曜日であり、桜木の家に行く日なのだという意識がなかった。別に約束しているわけでもない。
「買えばいいじゃないですか」
「それは、そうだけど……」
「俺、今日頑張りましたよね? 先輩からご褒美があってもいいと思いませんか」
確かに頑張ってくれたし、フォローは助かった。手を握ってくれたこともありがたかった。あれで緊張が解けたのだ。
疲れてはいたが、桜木が性欲処理がしたいというのであれば付き合おう、と思った。
「まあ、買い物してもいいなら」
「じゃあ、乗り換えの時に買いに行きましょう」
よしっ、と桜木は片手を握りしめてガッツポーズをした。
「じゃあ、奥田さんに連絡しちゃうね」
早苗はスマホを取り出した。
「チーム内の全員宛に連絡するんですよね?」
「そうだけど?」
「じゃあ、奥田さんに連絡する、って言わなくてもいいじゃないですか」
「それはそうだけど、私が不在の間にチームを見てくれてるのは奥田さんだから」
チームのメンバーはそれぞれ自分の担当する業務があるが、奥田はそれ以外に全体も見てくれている。サブリーダーというポストは置いていないが、実質そのようなものだった。
「……それも俺がやりたかった」
桜木が正面を向いて呟いた。
「買い物しに、いったん外に出ましょう」
乗り換えのために降りた駅で、桜木が提案してきた。早苗はそれに賛成する。
改札を出れば、出口の向こうでは雨が降っていたが、買い物は駅ビルの中でも十分足りる。下着を買うところは見られたくないから、適当に時間を潰していて欲しい、と伝えようとした。
「桜木くん、私買いに行ってくるから――」
「あ、ちょっと待ってもらえますか」
早苗の言葉をさえぎって、桜木はポケットからスマホを取り出した。表示を見て顔をしかめる。
仕事の電話だろうか。
急ぎの用なら今日は無しだな、と思った。
「すみません、ちょっと」
「うん」
桜木が早苗から離れて背を向ける。
「何」
ひどく不機嫌そうな声で桜木は電話に出た。
「……はぁ!?」
桜木の声が高くなった。相手の声は聞こえないが、桜木の声はよく聞こえてくる。
「今日!? てか今!? もうマンションの前って――」
マンションの前? 桜木の家の、ということだろうか。
「急に言われたって無理だって。いやこっちも――」
桜木はしばらく言い争いらしき物をした後、がっくりと肩を落として戻ってきた。
「すみません……急用ができてしまって。今日は無理になりました……」
「わかった」
「本当にすみません。金曜日なのに……」
「全然いいよ」
早苗は体の前で両手を振る。
「はぁ……」
桜木は手の甲を額にため息をついた。
「じゃあ、私、会社に戻るから。お疲れ」
「お疲れ様でした……」
手を軽く上げて桜木に別れの挨拶をすると、桜木は背を向けてとぼとぼと帰宅する方向の路線へと歩いて行った。
会社に向かう電車に揺られながら、早苗は先ほどの電話について考えていた。
桜木の家を知っている人物。
きっとセフレの一人なのだろう。
それも、予告なく突然訪問して桜木を振り回せる程の仲だ。
あの様子だと、恐らく桜木は、仕事が残っていたのだとしても、なんとかして帰宅したのだろう、と思う。
まさか、彼女ができたとか……?
そんな素振りも痕跡もなかったが、もしもそうだとしたら、今の関係は続けてはいけない。セフレというのも褒められたものではないが、浮気となればそれこそ問題だ。
でももしそうなら、桜木くんから何か言ってくるよね?
セフレが複数いたとしても、さすがに彼女ができれば関係を終わらせようとするのではないだろうか。
聞いた方がいいのかな?
早苗は少し考えたあと、桜木が言ってこない以上、相手は彼女はなくセフレなのだ、という結論に至り、わざわざ確かめることもない、と思った。
3
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説

拾った宰相閣下に溺愛されまして。~残念イケメンの執着が重すぎます!
枢 呂紅
恋愛
「わたしにだって、限界があるんですよ……」
そんな風に泣きながら、べろべろに酔いつぶれて行き倒れていたイケメンを拾ってしまったフィアナ。そのまま道端に放っておくのも忍びなくて、仏心をみせて拾ってやったのがすべての間違いの始まりだった――。
「天使で、女神で、マイスウィートハニーなフィアナさん。どうか私の愛を受け入れてください!」
「気持ち悪いし重いんで絶対嫌です」
外見だけは最強だが中身は残念なイケメン宰相と、そんな宰相に好かれてしまった庶民ムスメの、温度差しかない身分差×年の差溺愛ストーリー、ここに開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

それは、ホントに不可抗力で。
樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。
「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」
その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。
恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。
まさにいま、開始のゴングが鳴った。
まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。
地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!
めーぷる
恋愛
見た目はどこにでもいそうな地味系女子の小鳥風音(おどりかざね)が、ようやく就職した会社で何故か社長秘書に大抜擢されてしまう。
秘書検定も持っていない自分がどうしてそんなことに……。
呼び出された社長室では、明るいイケメンチャラ男な御曹司の社長と、ニコリともしない銀縁眼鏡の副社長が風音を待ち構えていた――
地味系女子が色々巻き込まれながら、イケメンと美形とぶつかって仲良くなっていく王道ラブコメなお話になっていく予定です。
ちょっとだけ三角関係もあるかも?
・表紙はかんたん表紙メーカーで作成しています。
・毎日11時に投稿予定です。
・勢いで書いてます。誤字脱字等チェックしてますが、不備があるかもしれません。
・公開済のお話も加筆訂正する場合があります。
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
憧れのあなたとの再会は私の運命を変えました~ハッピーウェディングは御曹司との偽装恋愛から始まる~
けいこ
恋愛
15歳のまだ子どもだった私を励まし続けてくれた家庭教師の「千隼先生」。
私は密かに先生に「憧れ」ていた。
でもこれは、恋心じゃなくただの「憧れ」。
そう思って生きてきたのに、10年の月日が過ぎ去って25歳になった私は、再び「千隼先生」に出会ってしまった。
久しぶりに会った先生は、男性なのにとんでもなく美しい顔立ちで、ありえない程の大人の魅力と色気をまとってた。
まるで人気モデルのような文句のつけようもないスタイルで、その姿は周りを魅了して止まない。
しかも、高級ホテルなどを世界展開する日本有数の大企業「晴月グループ」の御曹司だったなんて…
ウエディングプランナーとして働く私と、一緒に仕事をしている仲間達との関係、そして、家族の絆…
様々な人間関係の中で進んでいく新しい展開は、毎日何が起こってるのかわからないくらい目まぐるしくて。
『僕達の再会は…本当の奇跡だ。里桜ちゃんとの出会いを僕は大切にしたいと思ってる』
「憧れ」のままの存在だったはずの先生との再会。
気づけば「千隼先生」に偽装恋愛の相手を頼まれて…
ねえ、この出会いに何か意味はあるの?
本当に…「奇跡」なの?
それとも…
晴月グループ
LUNA BLUホテル東京ベイ 経営企画部長
晴月 千隼(はづき ちはや) 30歳
×
LUNA BLUホテル東京ベイ
ウエディングプランナー
優木 里桜(ゆうき りお) 25歳
うららかな春の到来と共に、今、2人の止まった時間がキラキラと鮮やかに動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる