上 下
7 / 33

騎士は聖女に対し忠誠を誓う

しおりを挟む




「お金!?いらないのよそんなものっ!」



私は勢いよく立ち上がり、ヴェルに向かってそう言う。

ヴェルはそんな私の反応にとてもびっくりした様子で、目を白黒させ私を見上げていた。


力では絶対勝てない男の人が私をキョトンと見つめている。


なんとも言い表すことのできない出来事に対して私の心は燃えていた。…いや、多分萌えていた。


私はヴェルに対してもう一度『私のことを妻にしてもいいと思う?』と、問いかけた。

この返答によっては私の心は暴走するだろうと予想しながら。




「そ…れは、嬉しい。だが、いや…はい。…俺はこんな見た目なんすよ。やっぱりなんで自分なんだろうって思うし、その理由が分かんないんで理解出来無いっつーか。」


私はそんな言葉を言うヴェルが可愛くて仕方なかった。



私の性格は少し歪んでいるのかもしれ無い。



『ヴェルがイケメンだと私だけが認識している』その状況が今の私にとって幸福だと思ってしまったからだ。




私はその言葉に対し返事はしなかった。


だって、前の世界で同じ状態になった私がイケメンに『顔が好きだからだよ』みたいなことを言われても、信じる事なんか出来ず…ただ悲しくなっただろう。

『何が目的なんだろう?』と疑心暗鬼になってしまって自分は苦しんでいただろうと想像したからだ。



だから私を見上げているヴェルに そっとキスを落とした。


眉を下げた表情で私を見上げていたヴェルの表情がゆっくりと驚愕に染まってゆく。



そんなヴェルを見て私の体はひどく疼いたのだった。





レイは空気を読んだのだろう。

気づけばこの部屋にいない様だった。





私はヴェルをソファーに押し倒して口づけを何度も落としてゆく。


私を見ているヴェルの瞳が小さく揺れている。


(多分、嬉しさとか驚きとか意味がわから無い状況に対して脳が追いついて無いんだろうな)


私はなんだか楽しくなってきてしまった。



『言葉ではなく行動で表せ』前世で誰かにそんなことを言われた気がする。


多分こう言った場合に使う言葉では絶対にないとは思うが。




状況が把握できてい無いだろうヴェルに対しゆっくり唇を舌でなぞる私。


その薄く開いたままの唇に私の舌を這わしてゆく。


ゆっくりと口内に侵入してゆく舌にヴェルが気づいた時、服の上からでもわかる程にヴェルの心臓が高鳴り出した。



「ハッ…はっぁ」



ヴェルの口から小さな吐息が漏れる。


きっと今やっと自分の置かれている状況を理解し出したのだろう。


その証拠に日に焼け褐色になってる肌が、見てわかる程に赤くなっている。




そして、イケメンの切なそうな表情に私の心は鷲掴みに。





私の右手が騎士服の中へと侵入してきていることにヴェルが気づいた時、突然ヴェルが勢いよく体を起こした。


ヴェルの体の上に馬乗りになっていた私は後ろへと倒れそうになったが、ヴェルが支えてくれたのでそのまま向き合う形になった。




「あのっ…俺、こーゆーこと初めてなんで。
多分このまましちゃったら貴方の事を忘れらんなくなるっつーか、いや、幸せな記憶として残るとは思うんすけど…飽きられた時にすげぇ悲しいっつーか、いや俺何言ってんだ?
あの、なんで、もし遊びで今回だけとかなら先に聞いときたいっつーか、はい…」



ヴェルの言葉が可愛すぎた。


(なんだこれは、可愛いの尊いの暴力なのか?もう私はKOしている。追撃してこないでください。)


私は、そんなヴェルに対して一言だけ伝えることにした。


「私は夫を生涯かけて愛すことを誓うとだけ言っとくね」


ちょっと臭いセリフだとは思ったけど、ヴェルにはその言葉がいいんじゃないかなとなんか思った。



それを聞いたヴェルは『俺、夫になりたいっす…いいんでしょうか?』と真剣な顔をしつつ言ってきた。

私はそれに対して『第二夫でもいいなら、大歓迎よ』と返事をした。




ヴェルは私の言葉を聞いた後に、とろける様な顔をしてこういった。


『俺、この先何があっても優里様をぜってぇ守ります。』


そんなヴェルの言葉に対し、ヴェルの唇に私は優しく キスをした。




さぁ、美味しくいただきましょうか!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R-18】逃げた転生ヒロインは辺境伯に溺愛される

吉川一巳
恋愛
気が付いたら男性向けエロゲ『王宮淫虐物語~鬼畜王子の後宮ハーレム~』のヒロインに転生していた。このままでは山賊に輪姦された後に、主人公のハーレム皇太子の寵姫にされてしまう。自分に散々な未来が待っていることを知った男爵令嬢レスリーは、どうにかシナリオから逃げ出すことに成功する。しかし、逃げ出した先で次期辺境伯のお兄さんに捕まってしまい……、というお話。ヒーローは白い結婚ですがお話の中で一度別の女性と結婚しますのでご注意下さい。

気付いたら異世界の娼館に売られていたけど、なんだかんだ美男子に救われる話。

sorato
恋愛
20歳女、東京出身。親も彼氏もおらずブラック企業で働く日和は、ある日突然異世界へと転移していた。それも、気を失っている内に。 気付いたときには既に娼館に売られた後。娼館の店主にお薦め客候補の姿絵を見せられるが、どの客も生理的に受け付けない男ばかり。そんな中、日和が目をつけたのは絶世の美男子であるヨルクという男で――……。 ※男は太っていて脂ぎっている方がより素晴らしいとされ、女は細く印象の薄い方がより美しいとされる美醜逆転的な概念の異世界でのお話です。 !直接的な行為の描写はありませんが、そういうことを匂わす言葉はたくさん出てきますのでR15指定しています。苦手な方はバックしてください。 ※小説家になろうさんでも投稿しています。

美醜逆転の世界に間違って召喚されてしまいました!

エトカ
恋愛
続きを書くことを断念した供養ネタ作品です。 間違えて召喚されてしまった倉見舞は、美醜逆転の世界で最強の醜男(イケメン)を救うことができるのか……。よろしくお願いします。

男女比がおかしい世界にオタクが放り込まれました

かたつむり
恋愛
主人公の本条 まつりはある日目覚めたら男女比が40:1の世界に転生してしまっていた。 「日本」とは似てるようで違う世界。なんてったって私の推しキャラが存在してない。生きていけるのか????私。無理じゃね? 周りの溺愛具合にちょっぴり引きつつ、なんだかんだで楽しく過ごしたが、高校に入学するとそこには前世の推しキャラそっくりの男の子。まじかよやったぜ。 ※この作品の人物および設定は完全フィクションです ※特に内容に影響が無ければサイレント編集しています。 ※一応短編にはしていますがノープランなのでどうなるかわかりません。(2021/8/16 長編に変更しました。) ※処女作ですのでご指摘等頂けると幸いです。 ※作者の好みで出来ておりますのでご都合展開しかないと思われます。ご了承下さい。

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

異世界の美醜と私の認識について

佐藤 ちな
恋愛
 ある日気づくと、美玲は異世界に落ちた。  そこまでならラノベなら良くある話だが、更にその世界は女性が少ない上に、美醜感覚が美玲とは激しく異なるという不思議な世界だった。  そんな世界で稀人として特別扱いされる醜女(この世界では超美人)の美玲と、咎人として忌み嫌われる醜男(美玲がいた世界では超美青年)のルークが出会う。  不遇の扱いを受けるルークを、幸せにしてあげたい!そして出来ることなら、私も幸せに!  美醜逆転・一妻多夫の異世界で、美玲の迷走が始まる。 * 話の展開に伴い、あらすじを変更させて頂きました。

処理中です...