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田中海の死因は?
しおりを挟むこれは僕…田中海が16歳の5月に体験した出来事です。
まだ少し肌寒い春の日に僕は不思議な体験をしました。
今日はその話をしていこうと思います。
なぜ話そうと思ったかですか?うーん、なんででしょうね。
あの頃の僕は一言で言えば…愛に飢えていたのでしょうね。
前提として、僕って家庭環境があまり良くなかったんですよね。
ふふ、そんなふうに見えないですか?そりゃあ今と昔は違いますから。
あの頃の僕は毎日が退屈で、苦痛で…正直生きてることが辛かったんですよ。
幼い頃から両親には放置されていましたし、近所に住んでるおばさんがよく僕の世話をしてくれてたんですよ。
まぁ、毎日お風呂にも入ってましたし、ご飯も朝は食べないことが多かったけど昼は給食がありましたし、夜はおばさんと食べたり買い置きしてるお弁当を食べたりしていたので食にも困ってませんでした。
欲しいものはなんでも買ってもらえましたし、と言ってもお金だけ置いてある様な感じだったんですけどね。
だから、恵まれていた方なんですよ僕は。
愛情がもらえなかっただけで、不便なことはなかったんですから。
だけど子供ってわかんないじゃないですか、恵まれてるとかなんとかは。
漠然と寂しい気持ちを抱えたまま生活してたんですけど、それって性格や言動に現れちゃうんですよね。
なので僕って小学生の頃は問題児だと近所では少し有名なほどでした。
悪気はなかったんですけどね?
何時までには家に帰らないといけないとか、これをしたら危ないとか…当たり前すぎて学校では教えてくれないことを僕は知らなかったんですよ。
知ってます?学校では教えないことで、親が教えなきゃいけない事って案外沢山あるんですよ。
まぁ、そんなこんなで気付けば近所の悪い先輩とかと馬鹿みたいなことを繰り返してたんですよ。
寂しさを楽しさで紛らわしてた感じですかね?
しかも僕ってまぁまぁ綺麗な顔してたんでお姉さんたちに可愛がられたりして、それでまた色々とあったんですけど…あぁ、違う違う。
今回の話から大幅にズレた話してますね僕。
それで、本題なんですけど。
僕は5月に不思議な経験をしたんですよ。
怖い経験かと言われたらそうかもしれないし、寂しい経験と言われたらそうかも知れないって感じの不思議な経験だったんですよ。
僕は大体夕方まで寝てて、起きたらその日会いたいって連絡くれる友達と朝方まで呑んだりドライブしたりって生活してたんですけど、その日はみんななんか予定があって僕一人だったんですよ。
まぁ、3月でしたし色々と忙しい時期でもあったんで当然ていえば当然なんですけどね。その時の僕にはそんな事はわからないから、みんなノリ悪いなとか思ってたんですよ。
僕は暇だったんでそこら辺をぶらぶらしてたんですよ、いわゆる夜間徘徊ってやつですね。
そうしたらコンビニの前で一人ぽつんと携帯いじってる子がいたんです。
僕よりも少し年上っぽい女の人で…すごく綺麗な人でした。
まぁ、男として?僕は声をかけたんですよ。やっぱり綺麗な人には話しかけるじゃ無いですか。
そしたらすごく話が盛り上がっちゃって、最終的には二人でホテルに行ったんですよ。
あ、その日はしてませんよ?ずっと話したりDVD見たりしてました。
それから僕は彼女と何度も会って話して、2ヶ月ほどして僕と彼女はお付き合いすることになったんですよ。
まぁ、察しの通り彼女も家庭環境が良くなくて夜間徘徊してる子だったんですよね。
そして問題の5月、彼女と一切連絡が取れなくなったんですよ。
僕はその頃には彼女に完全に依存していたので、初めの頃は探し回りました。
でも誰も彼女のことを知らないって言うんですよ。
その頃に流行っていたブログとかSNS系をひたすら見回ったりもして必死に探したんです。
でも見つからなくって、僕は生きる気力無くしちゃったんですよ。
子供が何言ってんだって思うでしょ?
でも、その頃の僕は本気でそう思ったんです。
依存先の彼女が居なくなった僕は…ちょっと精神が不安定になっちゃいましてね、自殺未遂を何度が繰り返したんですよ。
まぁ、心は本気で絶望してたと思います。
でも、理性は侮れないんですよね。ふふ。
何度も腕を切るんですけど、やっぱり深くは切れないんですよね。本気で死にたいって思ってたけど、死ぬのはやっぱり…怖かったんだと思います。
おじいちゃんの家に行って薬を勝手に持って帰って大量に呑んだ日もありました。
結局生きてるんですけどね!ふふふ。
それから僕は3年ほど薬を飲もうとすると体が拒否してたのか、飲み込めなかったんですよ。もー本当大変でしたね。
胃洗浄のホースが歯に当たる時のあの不快感…今でも覚えてます。
ODしてる人達の投稿をSNSで見る度に絶対やめたほうが良いって言いたくなります。ふふ。
そうそう。なんか、お医者さんが言うには痰を出す薬も飲んでたからよかったって言ってました。
何日も入院させられるわ右手以外は拘束されるわ散々な目に遭いましたよ。
排便はオムツと尿瓶で…おっと、これはもういいか。
まぁ、そんなこんなで全然死ねなかったんですよ。
退院してから数日後の事でした。
僕がぼうっとベランダで星を見ながらタバコを吸ってたら…いたんですよ彼女が。
彼女が下の道を歩いてたんです。
僕は驚くのも後回しにして走って追いかけました。ふふ、若いですよね。
どんどんどんどん彼女との距離が近づいて、最後は捕まえることができたんです。
そして彼女に何でいなくなったのかとか沢山沢山質問したんですよ。
ちょっと怒鳴り気味だったと思います、自分の気持ちが最優先だったんですよね、その時の僕って。
そんな僕に対して彼女は笑ってごめんねと言ってくれたんですよ。
何で笑ってるんだと僕はさらに怒りました、でも、そんな僕に対して寂しくさせてごめんねと言ってくれたんです。
僕はそんな彼女を見て、あぁ寂しかったんだ、孤独だったんだと改めて気付いたんですよ。
それから沢山話し縋りついて泣いちゃったりして…恥ずかしいですね~今思うと。
そして僕が落ち着いた頃を見計らってなのか、彼女がドライブに行こうって言うんですよ。
あ、免許は彼女が持ってました。僕じゃ無いですよ?
それで二人でドライブして、また楽しい時間を過ごしたんです。
その時に僕は彼女に対してプロポーズしちゃったりして…しかも彼女はOKしてくれたんですよね!
いやぁーあの時は最高だったなぁ。
そして家に帰ろうってなって、彼女が僕に言うんですよ。
「私と一緒に行く?」
勿論!っていつもなら言ってたと思うんですけど、その日だけは絶対に帰らなきゃいけなかったんですよ僕。
次の日に大切な用事があってね、だから、今日は無理なんだって言ったんです。
なら、彼女は悲しそうな顔をした後に僕に言ったんですよね。
「そうだよね、君はちゃんと家に帰るんだよ」
その言い方に少し違和感はあったんですけど、特に気にしないでその日は家に帰ったんです。
そしてそれからまた彼女とは連絡が取れなくなったんです。
連絡が取れなくなってから数日後、僕はいつものように夕方起きてテレビをつけたんです。
そうしたらニュースをやってまして、僕はタバコを吸いながらぼうっとそれを眺めていたんです。
いつもはニュースなんて見ないし、そもそもテレビもあまり見ないのになぜかその日は見てたんですよね。
だったら、僕の住んでる市内で殺人事件があったと言うんですよ。
僕の寝ぼけてた頭はそのニュースを見て完全に覚醒しました。
だって、その被害者は…彼女だったんですよ。
おかしいですよね、死後3ヶ月以上とか言ってるんですよ?
僕と彼女が出会った時にはもう彼女は死んでるってことじゃ無いですか。
でも、僕は彼女と一緒に話したし、彼女の車にも乗りましたし、沢山の思い出もメールも電話も沢山したんですよ。
僕は本当に驚きました。
そして僕は彼女の死因について沢山調べました。
そしてわかったのが、僕と彼女が出会ったコンビニ…あそこで彼女は犯人と出会ったらしいです。
そして、彼女とその日行ったホテルで彼女は殺されてしまったらしいんです。
しかも、彼女と行った最後のドライブの場所…あそこに彼女の死体があったと言うじゃ無いですか。
僕はびっくりしましたよ。本当に。…ふふ、そうですね。その時は鳥肌が立ちましたよ。
でも、僕はすごく悲しかったんですよ。
多分彼女はこの世に未練があったんでしょうね。
そして満足したから居なくなった…そう、僕は思ってます。
まぁ、全く違うかも知れませんが、そう思いたいじゃ無いですか。
あの日、僕は彼女と出会って愛を知りました。
彼女に沢山の常識や、感情表現の仕方、我儘の言い方や意見の言い方、怒り方に話し方、他人との付き合い方に、自分の守り方。
僕は沢山のことを教えてもらいました。
…それは僕にとってかけがえないものであり、今の僕を形作る原点なんですよね。
悲しいですよ、とっても。
寂しくもあります。
…また、会いたいとも思いますね。ふふふ…今度もし彼女にあったら僕は今度こそ言いたい言葉があるんです。
「僕も一緒に逝くよ」ってね。
「◯◯県◯◯にて男性が倒れているのが見つかり、死亡が確認されました。警察は男性が何か事件に巻き込まれた可能性もあるとして捜査を進めています。
外傷はなく駐車場で一人倒れていましたが、周辺には男性の移動手段となるものは一つもなかったことから、男性をここまで連れてきた何者かがいると考え、捜査を進めています。」
「ねぇ覚えてる?田中海。同じ小学校だった、あの問題児」
「あー…いたような?」
「亡くなったらしいよ?」
「えぇ?まだ21歳なのになんで?」
「それが、殺されたか自殺じゃないかって噂なの」
「えー?こわー」
「なんか中学上がった頃からやばい友達ばっかりと連んでたらしいんだけど、その中の一人がお兄ちゃんの知り合いで何度か名前を聞いたことあったから覚えてたんだよね」
「へーやばかったの?」
「私はよく知らないけどそうだったらしいよ?なんかやばいことめっちゃしてたらしいよ」
「そう…
これはフィクションです。
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