私の婚約者をとった妹は婚約者に絶望する

さくらもち

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おまけぇ……

笑って、笑って、疲れたね

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 そんな暗闇の中で一つの声が聞こえた

「「偽善者」」

 そう言われ、私は嘘つきの仮面を割られたような気分になった。

 いや、正確には心が壊れていった。



 あの後、私達は元の場所に帰れた。森の中、変わらぬ場所。

 どうやら、時間はさほどたっていないようだ。
 不幸中の幸いだというべきだろうか。

 でもきっと、みんなは知らない。

 私が苦しんでいたのも、人に好かれようと頑張っていたのも。
 みんなは知らないだろう。もし、知ってしまったら拒絶され、みんなが消えていく。

 暖かい居場所、きっと私には似合わない。

 みんなに迷惑をかけるにつれて、私という存在が真っ黒に染まっていく。
 嘘をつくたび、笑えなくなった。

 私のお母さんは言った「人から好かれている」と、けどもそれはまやかしだ。

 私が好かれているのは、嘘をはいてる偽物の自分であり、本来の私は好かれていない。

 これで、いい……はずだ。笑うのも疲れたし、嘘をつく自分が嫌になる。

 偽善者といわれたのは正論であり、真実だ。
なぜその言葉が聞こえたのかはわからないが、真実の事に反論するつもりはない。

      *テクディア視点*

「リリアナ、ここ最近仕事を手伝ってくれるのは助かるが、疲れてるぞ」

「え~、そうなん??大丈夫よ、私は元気だからな」

 にこっと軽く笑ってまた誤魔化す。この繰り返し。
 ここ最近、仕事を手伝ってくれるのは良いが、リリアナ自身相当なストレスと疲れが溜まっているのではないかと思う。

 また、気持ち悪い嘘の笑みを浮かべるようになった。

「リリアナ、僕は気づいてないかと思うか?」

「何を?頭打ったんか変人」

 少しだけくすりと笑いながら、また見たくもない笑みを浮かべた。
 気持ち悪い、その笑みをうかべないでくれ。普通に笑っていてくれ。

「違う、ここ最近のその笑みやめろ」

「………善処はしてるで?」

「してないだろ」

 してないのがまる見えだ。
 いや、しようとしてると言ったほうがいいのかもしれない。

「今日は休め」

「えぇ~、しゃーないなぁ……どっかの他の仕事手伝ってくる」

 残念そうにへらへらと笑っていた。
 その表情を見て、僕はとうとうキレてしまった。

「だから!!!」

「へ」

「休め!!心の方だ!!!確かに、あの家庭に生まれたからっていうのはあるとは思う…だから、言おうとはしなかった。でも、今のお前は苦しいと心が叫んでるように見えるんだ…っ!」

 それは本心。大声で、きっと耳がきーんっと響くような耳鳴りがするくらいの大声だっただろう。

「………人の役に立てればそれでえーよ」

「なら、死ねと言ったら?」

「死ぬさ」

「生きろと言ったら?」

「生きるさ」

「その笑顔が不快だと言ったら?」

「死ぬさ……ってもういい?」

 呆れたようにこちらを見てきた。

「……今のお前は偽善者だな」

 酷い言い方だといえば言えばいい。むしろ、怒ってくれ。リリアナは途端に俯き、言葉を発さなくなった。
 けども、長い沈黙の後、リリアナの泣きそうな声が部屋に響き渡る。

「なら、どう笑えと?」

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