私の婚約者をとった妹は婚約者に絶望する

さくらもち

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おまけぇ……

別ルートのハッピーエンド(6)

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 あぁ、遠くなる。
 お母さんがどんどん薄れていって、最終的には消えてしまうだろう。

 本当にこれでいいのか?

 後悔はない?

 自分が問いかけてきた。素直になって人に嫌われるのが怖い。
 でも、それで後悔するのはもっと怖い。

「おかあ、さん」

 手を伸ばした。涙がすっと溢れ出てくる。
 それにお母さんは気づいたのか、ぎゅっと薄れていく体の中で抱きついてきてくれた。

 透けていく。
 いなくなってしまう。

「大…好き……」

『私もだよ」

 そっと最後に耳元で囁いてくれた。
       *   *
「リリアナ…っ!どうしたんだ!!」

 テクディアの声が現実に引き戻される。どうやら、ぼーっとしていたらしく、その間にもう終わってたらしい。

「え、あ……っ」

 はっと思いつき、メフィストの顔色をうかがうと、顔色が落ち着いていて大丈夫そうだ。
 少し時間をおけば戻るだろう。

「リリアナ、泣いてるん?」

「泣いてはないんだが?」

「いや、泣いてますよね」

 どうやら無意識に涙が溢れ出ていたらしい。目元を触ると、涙で溢れていた。

「ま、大丈夫やろ。それじゃあ、帰ろー?」

「切り替え早いですね……」

「てか、わいも仕事まだ終わっとらんかったから、はよう帰らんと」

「お前らなぁ……」

「あれ?もう帰るのー?」

 ぱっと一瞬のうちに天井から、顔だけが出てきた。
 少しビビったが、なんとなくこういうものだと察して、ビビるのをやめた。

「あ、天井アイテールくん」

「そうだよ~!」

「え、待ってなんで通じてるん?天井アイテールっていいん??」

「だって、人生諦めが肝心じゃない?」

「リリアナと一緒にいる人は大概諦めてますよね」

「だな」

 確かに、と自分でも納得してしまうところがなんとなくやだ。

「そうそう、帰ってもいいけどたまに遊びにきてね~?」

「…………気が向いたら☆」

「それは行かない人の発言やなぁ」

 正解☆

 絶対、行きたくない。というか、行ってもめんどくさいことになりそうだし、やだ。
 今日みたいな事があるのは避けてたい。

「君達のせいでいろいろ後始末大変なんだよ?」

「特大ブーメラン」

「元はといえばそっちだからな…」

「まぁ、いいや。それじゃあ、ぐっぱい」

 アイテールがぱちんっと突然指を鳴らす。すると、地面が崩れて叫ぶ間もなく私達は落ちていった。

 どこまでも、どこまでも、永遠と続いているかのような闇だ。
 そもそも、落ちているのかもわからない。
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