私の婚約者をとった妹は婚約者に絶望する

さくらもち

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おまけぇ……

別ルートのハッピーエンド(1)

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七十五話からです。


「誰…?」

 いきなりドアから出てきた人に驚きながらもぽつりと呟いた。
 汗をかいていて、私を見ると驚いていたがすぐに安心したような表情に変えた。

「リリアナ……!!」

「誰……!出てって!!」

 私に近づいてこようと一歩踏み出してきたが、私がそう声をあげるとぴたりと足を止めていた。

「出て、かない。ただ、リリアナはこれでいいのか?」

「え……」

 他人だと思いながらも、敵と思いながらも、その言葉に、声に体が反応して、どうしても叫んで誰かに助けを求められなかった。

「ここにいて、それで満足か?ギクテッドもアトゥムもストームも、ここには誰もいない」

「……け、けど、お父さんは……」

 ギクテッドって誰?
 アトゥムって誰?
 ストームって誰?

 あなたはだれ?

「そんなのただの血の繋がりにしかすぎない。そんな血の為だけに従って生きてて、楽しいか?」

「わた、し……苦しいの」

 心では知らないと言いながら、知らないとも思いながらも、なぜか言葉が出てきた。

「みんな、みんな、幸せそうにしていた。けど、私を見ると汚れて、いて……だから…っ、みんなの幸せを憎んでいたことだって……!」

「憎めばいい」

「…っ!憎んだって!何も良いことなんてない!!むしろ、自分を卑下するだけ…っ!」

 そんな無責任な言葉に少しだけいらついてしまい、思わず大声を出してしまった。

「リリアナ、お前は……僕達が嫌いか?」

「…………わからない」

 貴方はだれ?

「僕は、僕達はお前が好きだ」

「……う、そ」

「嘘だというなら、なんどでも言ってやる。僕はお前が好きだ」

 貴方は誰?

「わ、私ーーー」

 テクディアでしょ?

「汚れたものを見てはいけません」

 ふと、私の視界を真っ暗な闇が覆った。この感触は手だ。
 そして、この声はーー

「お前は……!!」

「手を出さないでいただけます?」

 指と指の隙間から少しだけだが前の風景が見えた。
 先程とは明らかに違う汗。怖ばんだ声。
けども、諦めず私を連れ出そうとする表情。

 そんな時、私ははっとした。

 現実というものを、関わった人達を思いだした。

 頭に記憶が流れ込んでくる。嫌というほどに、嫌な記憶まで。

「能力……いや、異能力」

「リリアナ…?」

 私の小さな呟き声。聞こえていたのか、メフィストは私を覆っていた手を離した。
 そして、私はメフィストの方へと向いてこう言った。

「神殺しのメシア』

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