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第四章 終わらない
六十四話(リーシャン視点)
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結局、この家に帰ってきてしまった。
お姉様が助けてくれなかったから。けど、それはただのわがままな気もする。
家に帰ったら、きっと両親二人共私の事を怒鳴りつけてくるだろう。
それに私は耐えなくてはいけない。
「頑張るのよ………きっと、きっと、うまくいくわ」
そのような無駄な希望を抱きながら家に入っていった。
けど、そこは絶望だらけの世界だった。
「なによ……これ」
ゴミだらけ、壁も床も汚れまくってるのはもう慣れてしまっている。
けれど、一番驚いたのは
両親が死んでいることだ
真っ赤に全身赤く染まりながら、尖ったナイフが心臓を突き刺していた。
二人とも倒れて、白目を向いている。
「貴方はリリアナという子を知っていますか?」
絶望した世界を眺めながら、ふと後ろから声が聞こえてきたので急いで振り向く。
そこにいたのは、綺麗な顔立ちをした男性だった。
長髪の銀髪で黒と赤のオッドアイ、リリアナと似ている。奇妙なほどに。
そして、見たこともない人だった。
「リリアナ……?だ、誰よ!あんたが私の…かぞ…く?を殺したの!?」
はっきりと家族とは言えなかった。
思い返せば、あの人達は家族といえたものだったろうか。
「あぁ、そうですよ。彼らはリリアナの事を亡きものにしていましたし……貴方は何か知ってますか?」
「だ、だから、何を言っているの!?リリアナってお姉様の事?」
「お前なんかの姉ではない」
声が一気に低くなる。隠しきれない殺気も少しだけだが感じる。
思わず一歩後退ってしまった。
「っ……どういうことよ…お姉様はお姉様でしょ?てか、誰なの…誰なのよ…!」
「あぁ、僕の名前はメフィスト・エデンインフェルノ。リリアナの実の父です」
実の父?どういうことだろうか。
けど、その問はなぜだか、言ったら殺されて気がしてしまいそうで、言えなかった。
「さて、貴方は改心しそうですし、殺しはしないので安心してください」
「改心……?」
「僕、特別な者でして、人の心の汚さが見えるんですよ。まぁ、他にもありますが……やはり、皇帝の元に行きますか」
「皇帝って……お姉様のところに行くの?ま…っ待ってよ!お姉様を殺すの!?」
「はい?誰が殺すと言いましたか?僕はあの子を助けてあげるんですよ。そもそも、リリアナは特別なんですから、こんなところにいるなんて可哀想すぎます」
その言葉を聞いて、この人とお姉様は合わせてはいけないという危険を察知した。
きっと、お姉様は連れて行かれてしまうだろう。私達が行けないところまで。
そう思うと、いつもたってもいられず、帰ろうとしていたメフィストに自然とこう言っていた。
「は…っ……あんたの方が馬鹿よ!お姉様の気持ちを踏みにじってるだけじゃない!!お姉様は…!お姉様は…!あんたの側が一番幸せなわけないのよ!!」
「………貴方、面白いですね。言っていることは僕に対する嫌な言葉ばかりなのに、心の汚さはどんどん消えていく……」
怒らず、寧ろにやにやと笑いながらそう言ってきた。
怖い、本能が察知する。
「あぁ…!なんと面白いことか!けど、残念ですね。せっかく見逃そうとしているのに……まぁ、いいでしょう。人質としてよく使わせてもらいますよ」
「何を言って」
るの?、そう言葉を繋げる前に私はいつの間にか体全身が動かなくなってしまっていた。
違う、心臓にナイフが刺さっているんだ。
息が苦しくて、鼓動がどんどんと早くなっていく。
「一応言いますけど、半殺しですからね。いや、ほぼ死んでますか。それはどんな人でも治せない傷です。けれど、苦しいながらも生きれるというナイフの刺し方。僕に感謝してくださいね」
「…っ……お、…ねぇ…さまは……おね…ぇ…さ…ま、の、…元…には、いか、せな……い」
「恨むなら自分を恨んでください」
最後の反抗としてあいつの足を掴み、行かせないようにしたが、それを払いのけた。
なんで、私はお姉様のためにこんなにも必死になろうとしているのだろうか。
あぁ、そっか
お姉様の事が好きだからだ
最後の記憶はあいつに自分が持ち上げられた記憶だけ。
お姉様が助けてくれなかったから。けど、それはただのわがままな気もする。
家に帰ったら、きっと両親二人共私の事を怒鳴りつけてくるだろう。
それに私は耐えなくてはいけない。
「頑張るのよ………きっと、きっと、うまくいくわ」
そのような無駄な希望を抱きながら家に入っていった。
けど、そこは絶望だらけの世界だった。
「なによ……これ」
ゴミだらけ、壁も床も汚れまくってるのはもう慣れてしまっている。
けれど、一番驚いたのは
両親が死んでいることだ
真っ赤に全身赤く染まりながら、尖ったナイフが心臓を突き刺していた。
二人とも倒れて、白目を向いている。
「貴方はリリアナという子を知っていますか?」
絶望した世界を眺めながら、ふと後ろから声が聞こえてきたので急いで振り向く。
そこにいたのは、綺麗な顔立ちをした男性だった。
長髪の銀髪で黒と赤のオッドアイ、リリアナと似ている。奇妙なほどに。
そして、見たこともない人だった。
「リリアナ……?だ、誰よ!あんたが私の…かぞ…く?を殺したの!?」
はっきりと家族とは言えなかった。
思い返せば、あの人達は家族といえたものだったろうか。
「あぁ、そうですよ。彼らはリリアナの事を亡きものにしていましたし……貴方は何か知ってますか?」
「だ、だから、何を言っているの!?リリアナってお姉様の事?」
「お前なんかの姉ではない」
声が一気に低くなる。隠しきれない殺気も少しだけだが感じる。
思わず一歩後退ってしまった。
「っ……どういうことよ…お姉様はお姉様でしょ?てか、誰なの…誰なのよ…!」
「あぁ、僕の名前はメフィスト・エデンインフェルノ。リリアナの実の父です」
実の父?どういうことだろうか。
けど、その問はなぜだか、言ったら殺されて気がしてしまいそうで、言えなかった。
「さて、貴方は改心しそうですし、殺しはしないので安心してください」
「改心……?」
「僕、特別な者でして、人の心の汚さが見えるんですよ。まぁ、他にもありますが……やはり、皇帝の元に行きますか」
「皇帝って……お姉様のところに行くの?ま…っ待ってよ!お姉様を殺すの!?」
「はい?誰が殺すと言いましたか?僕はあの子を助けてあげるんですよ。そもそも、リリアナは特別なんですから、こんなところにいるなんて可哀想すぎます」
その言葉を聞いて、この人とお姉様は合わせてはいけないという危険を察知した。
きっと、お姉様は連れて行かれてしまうだろう。私達が行けないところまで。
そう思うと、いつもたってもいられず、帰ろうとしていたメフィストに自然とこう言っていた。
「は…っ……あんたの方が馬鹿よ!お姉様の気持ちを踏みにじってるだけじゃない!!お姉様は…!お姉様は…!あんたの側が一番幸せなわけないのよ!!」
「………貴方、面白いですね。言っていることは僕に対する嫌な言葉ばかりなのに、心の汚さはどんどん消えていく……」
怒らず、寧ろにやにやと笑いながらそう言ってきた。
怖い、本能が察知する。
「あぁ…!なんと面白いことか!けど、残念ですね。せっかく見逃そうとしているのに……まぁ、いいでしょう。人質としてよく使わせてもらいますよ」
「何を言って」
るの?、そう言葉を繋げる前に私はいつの間にか体全身が動かなくなってしまっていた。
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息が苦しくて、鼓動がどんどんと早くなっていく。
「一応言いますけど、半殺しですからね。いや、ほぼ死んでますか。それはどんな人でも治せない傷です。けれど、苦しいながらも生きれるというナイフの刺し方。僕に感謝してくださいね」
「…っ……お、…ねぇ…さまは……おね…ぇ…さ…ま、の、…元…には、いか、せな……い」
「恨むなら自分を恨んでください」
最後の反抗としてあいつの足を掴み、行かせないようにしたが、それを払いのけた。
なんで、私はお姉様のためにこんなにも必死になろうとしているのだろうか。
あぁ、そっか
お姉様の事が好きだからだ
最後の記憶はあいつに自分が持ち上げられた記憶だけ。
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