私の婚約者をとった妹は婚約者に絶望する

さくらもち

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第三章 生き方

五十九話

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「ギクテッドいます~?」

 こんこんっと、ドアをノックする。
 リーシャンには強制的に帰らせ、私はギクテッドの元へと向かっていたのだ。
 どうやら、この屋敷にちょうどよくいたため、手間が省けた。

 けど、ノックしてから時間が経っても返事がない。

「爆弾」

「今すぐ開けるからやめろ!!」 

       *   *
「シカトしたらお母さん泣くよ?」

「誰がお母さんだ!」

 勢いよく扉が開かれ、中へと渋々入れてくれた。
 中はごちゃごちゃで、本とか紙とかが散らばっている。

「……仕事?」

「は?そうに決まってるだろ」

「え、熱でた?冷えピタはる?」

「おい!冷えピタもいらん!」

「んじゃあ、熱いピタは?」

「なんだその製品!?」

 いやだって前科あるやん

 そうツッコみたい。まぁ仕事をしているならしているでテクディアも楽だろうし、別に悪いことはない。
 けど、ゴミ屋敷になるほどまでやるのはやめてほしい欲がある。

「んで?どうしたんだ?」

「あ、そうそう。クロード・リリッシュクールって知っとる?」

「はぁ?知ってるが。借金持ってるらしいな」

「そう。そいつがね、うちの妹を拐かしたんよ」

「お前の妹なら別にいいきみじゃないか」

「そう!」

「普通に納得すんな」

 ギクテッドにツッコまれてしまった。
なんだか、ギクテッドに正論とか言われると変な気分になる。

「けどね、私も一応姉だから、妹を守ろうと思って。裏情報、ちょうだいよ。皇帝様なんだから、あるでしょ?」

「テクディアに頼めばいいじゃないか」

「え、やだ。だって、ギクテッドの方がずる賢いから裏情報とか秘密とか握ってそうなんやもん」

「おい、ずる賢いって…………」

「あー!疲れたな!!」

 大きな声を出し、思わずその言葉をなかったようにする。
 ギクテッドはくっ……とやられたような声をだし、諦めたのか話を戻した。

「まぁ、別に構わないが。リリッシュクール家の全ての情報をまとめた資料だ。やる」

 私の手のひらへ置かれたずっしりと重い資料たち。紙が集まるとめっちゃ重いことにやっと気がついた。

「これで焼き芋作っていいかな?」

「だめに決まってるだろ!」
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