私の婚約者をとった妹は婚約者に絶望する

さくらもち

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第三章 生き方

五十八話

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「お願い!あのクロードを…!!」

「待て待て待て待て、直球だし、歩きで往復よくできたな」

 いきなり現れたリーシャンにまずツッコミを入れた。
 だって、この屋敷とクロードの家までまぁまぁの距離だ。
 しかも、馬車を待たせている形跡はないし、歩いてきたのなら体力がありすぎる。

「それに、普通になんかやだ」

「な…!いいって言ってくれたじゃない!!」

「さらっと不法侵入すな」

「そ、それは……!」

「しょーがないなぁ……」

 私は切がないと悟り、自分のズボンのポケットを探った。
 手に当たる硬い感触の物を出し、リーシャンの、目の前へと差し出す。

「な、なにこれ……」

 少しだけ丸い形をしたビン。少しだけ灰色の中身を見て、後退った。
 先に言っとくが、みんなごく普通に持ってるものである。

「え、睡眠薬」

「………なんで持ってるの」

「この世には知っちゃいけないことがあるんだよね………」

「てか、これでどうしろと……」

「飲ませて、その間に殺す」

「物騒すぎるわよ!」

「そうですよ!やるならもっとちゃんとした爆弾とかにしてください!!」

「ごめん、爆弾は今は常備してないな………弾丸と銃ならあるよ」

「えぇ…………」

 私達の会話に少しだけ引いてるようだった。
 これが普通です。
 もし、友達に「いつも何常備してる?」と、言われたら私は睡眠薬をよく思っているので、「睡眠薬!」と、言ったら友達がいなくなるので注意です。
 気をつけましょう。

「ま、お前も成長したやん。前まで嫌味しか言わなかったのに」

「…………それ、は」

「あ、俺は許しませんよ」

「なんでお前が許さんねん。許せよ」

「そんなの絶対お母さんは許しません!!」

「おかぁさん!!」

「お母さんね、今までずっとリーちゃんリリアナの事見守ってきたんですもの。絶対に許しません!!」

「キャラ崩壊」

「怒られるわよ」

 そろそろあかん。サキラのキャラ崩壊しすぎて、見ている人が見分けつかなくなってくる。
声がないし、文字だけだとわけわかめ状態。

「………とにかく!お母さんは許しませんからね!!」

「サキラって綺麗だね」

「許します」

「ちょろ」

「と、とりあえず!契約書の事どうするのよ!!もしかしたら、複製されてるかもしれないのよ!?」

 焦ったようにそう言っていた。別にそこまで焦る必要はないのになぁ……と思ってしまう。

「いやいや、あいつに限ってない。馬鹿だよ?あの1+3もできない馬鹿だよ?」

「…………何も言えないわ」
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