私の婚約者をとった妹は婚約者に絶望する

さくらもち

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第三章 生き方

五十七話

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「ぜっっっったい!次、来たら殺しますね!」

 リーシャンが帰ったあと、サキラも聞いていたのか、ナイフを持ってきた。
 この人達、結構ヤバいかもしれない。

「また来ると思うで」

「え、そうなんですか?」

「だって、さっきので自分が馬鹿って事に気がついたし、契約書見て絶望するだろうね」

「あんまりよく見てない契約書にサインするなんて馬鹿でしかないです。というか、リリアナ様もよくわかりますね……契約書の内容はなんでしょうか」

 呆れたような口調で穏やかにそう言っていた。まぁ、しょうがないのかもしれないが。

 私はほぼ勘で言っているので、根拠は?と言われると少しだけ困る。

「………ま、契約書の内容は借金背負うとかそんなんだろうけど。それに、あの子は馬鹿ってわけではないんよ、最初はいい子だったし、ただあの両親のせいだからなぁ……」

「その両親の中で一応軽蔑されていたはずのリリアナ様って結構図太いですよね……」

「いやマジそれな」

「自分で言うんですか」

 本気でよく自分生きれたなと思うし、自分を褒めてあげたいくらいだ。
 でも、リーシャンには絶対なりたくないけど。

「そーえばさ、唐突やけどサキラってどこ出身なん?」

「へ?」

「だって、私の育ちはあのクソ両親だけど、サキラって親の話とか聞いたことないもん」

 両親、という言葉を聞いて、ふとサキラの親はどうなのだろうと思ってしまった。
 けど、サキラは私の問にどう言えばいいのか戸惑っているようだ。

「…………俺の親は母は優しくて、父は厳しかったです。いつも両親は喧嘩していて、母はストレスで死んでしまいました。それで、その、言いづらいんですが、俺は捨てられてテクディア様に拾われ、この名前がつけられました」

 一つ、二つ、と、ゆっくり少しずつ話していってくれた。
 俯きながらもしっかり進もうとしているのがわかる。

「………そっか。それじゃあ、笑ってなよ」

「はい…!」

 はっきりとした声で返事をしていた。
 自分でも意味不明な事を言っていたのにも関わらずなんとなくわかったのだろう。

「お姉様!!」

 そして、くっそうぜぇやつが来た。

「殺るか……」
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