私の婚約者をとった妹は婚約者に絶望する

さくらもち

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第二章 心の霧

三十九話

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「待て待て待て待て」

 ふと、起きたらびっくり。

 どこねん

 よし、一旦落ち着こう。豪華なベッドで、見慣れない部屋で寝かされていることは忘れよう。
 お祭り行って多分、ストームに眠らされて、え、どういうこと。

 状況把握ができない悲しみ

 とりあえず、ベッドから出て、部屋のドアを開けようと試みた。
 まぁ案の定鍵がついており、無理だったが。ついでに窓もやったが無理だった。

 辺りを見回したところどうやら、お風呂とかトイレとかもここで全てできるらしい。

 ドレッサーとか、机の引き出しの中とか見てみたが、どれも日常生活で使いそうな物ばかり入っていた。

 それはさておき、ドアの前へ立ち、馬鹿な頭をフル回転させる。

「ふ…っ……こんなのドアを破壊するに決まってるだろう……甘かったな!」

 そして一瞬、厨二病モードが入った。

「ドア破壊かぁ……懐かし。昔、よくドア破壊してた覚えがあるなぁ……」

 懐かしながらも、どうやってドアを破壊するか考える。
 昔はたまにいじめで閉じ込められてたりもしたので、ドアをよく破壊していた。

 一番いいのが蹴る事なんだが、音がうるさいし普通ならこういう場では多分やめたほうがいい。

「まぁ、普通ならなんですけど?」

 普通じゃなかったらいいのだー

 と、思いドアを破壊しようと思ったが、本能が危険を察知した。

「あ、でもそっか。魔法とかあんのかな?」

 足を下ろし、ふたたび考える。ストーム魔法使えるし、こういうのは対策してそうだ。
アトゥムと協力してそう。

「え……めんど。窓も塞がれてるしなぁ……あ、てか、普通に窓割るほうがいいか」

 魔法を回避できないなら、できるだけバレない手口で逃げたい。

 ドア破壊したら周囲の人にバレそうだ。窓なら音が駆けつけそうだが、姿を見られることなんてあんまりないだろう。

「んー、でも武器かなんかないかな」

 そう思ってる内に遠くから足音が聞こえてきた。それも段々こちらに向かってくるようだ。

 私は警戒をし、ドアの前で待ち構えた。

 警戒という言葉の意味がちょっと間違っているが、気にしたら負けだ。

 そして、思っていたとおりに鍵をさしているのかガチャっという音がなり、その人が入ってきたので、蹴った。

 蹴った(二回目)

 ちょうどお腹付近を。
 お腹殴られたりしたらめっちゃ痛くて動けない覚えがあったので、攻撃力強いほうがいいかと。

「ぐ…ぅおっ……く…っぅ……た、たす……」

 もがきながらも、助けを乞うた。
 どうやら男の人の様だ。
 まぁ、足音からして大体性別はわかっていたが、間違ってなくてよかった。

「けません」

 まぁ、とりあえずドアを閉め、男性の腕と口を布で縛った。助けてと言われたら助けない。
 私みたいな大人になっちゃ駄目だぞ。

「やっぱ、ちょっとした武器は持ってるんかい……」

 男性の腰元を漁ると、腰から短剣、ナイフをぶら下げていた。
 確かにそこならよく見えないし、やばいなここ。

かいのしゅしゃいしゃまがおよびにゃぞ。こんにゃことちていいのしゃ!神の使い様がお呼びだぞ。こんなことしていいのか!

「は?あー、アトゥムか。やっぱ、あいつらつるんでるんね。情報提供さんくす!……まぁまぁ、ただ逃げるだけだし許してよ」

「ぬぅあ!」

 めっちゃ、かんどりますやん。

 もはや日本語になってない気がする。口を布で強く覆い過ぎたか。
 まぁいっか、と思い窓をその短剣で割った。

 ぱりーんっ!と漫画みたいに綺麗に割れる。
 細々としたのもあれば、大きく砕け散ったものもある。
 光に反射してガラスがとても綺麗だ。

「よーし!降りるぞ!!」

       *降り中*
 根性で降りました。

「うっわ………」

 降りた先には綺麗な庭。建物の作りもよく見てみると、めっちゃ綺麗に施されている。
 まぁまぁの広さだ。

「神殿、かな……?」

「せやな」

 あ、オワタ

 聞き覚えのある関西弁に、おまけでついてる殺気。
 わざわざ後ろを振り向かなくても、その人物が誰だかわかってしまう。

 さて、ここで問題です、私はどうするでしょう。
①逃げる
②飛び蹴り
③誤魔化す

 正解はーーー

 次回のお楽しみ!
(こういうのよくあるよね)
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