私の婚約者をとった妹は婚約者に絶望する

さくらもち

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第二章 心の霧

三十四話

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「なぁ、どういうことなん?」

「いや私が聞きたいわ」

 急に出てきた元妹。お祭りでわーいと遊んでいたはずなのに、なんか出てきた。

 私達がこそこそと話している中、顔を真っ赤にさせながら激怒しているリーシャンがいる。

「えーと、誰?」

 よし、このまま誤魔化そうと知らないふりをしながら、首をかく。

「な…!!」

「このお方は誰なのですか?」

 まるで何もわかっていない箱入りが一人。
 大体、ストームと私はなんとな~く察してはいるが、アトゥムは全く知らぬようだ。

 まぁ、箱入りだししょうがない。

「いやいや、私に聞くんじゃぁない」

「ま、無視してええんやない?」

「ですが、貧しい人にも接するようにと神官が…………」

「だ、誰が貧しいですって!??この美しい私が貧しい訳ないじゃない!!」

 あれ、神と言ってるやつと同類かな?

 いやギクテッドの方が全然マシか。アトゥムの平然と言った言葉が火に油を注いだようだ。

「このクズお姉様!!なんでよ…っ!!なんであんたみたいな役立たずが………!!!」

「あ、アトゥム、焼き鳥買う?」

「はい!食べます!!」

 もう面倒くさくて、無視し、焼き鳥屋台へと目を向ける。
 アトゥムも別にどうでも良かったのか焼き鳥の方へとすぐ目を向いていた。

「わいも欲しいわ」

「しゃーないな……」

「じゃないわよ!この私を無視するなんて何事!??あんた助けなさいよ!私の姉でしょ!?」

「あー、お前もしかして借金の事知った?」

 「助けなさいよ!!」なんてあの姉がぶっきらぼうでもそんな事を言うなんて、ありえない。
 そして、やばい面倒くさい。

「な……!知ってたのね!??知ってて止めなかったの!?なら、助けなさいよ!あんたのせいで最悪よ!!!」

 大声で叫んだようにそう言っていた。いや、だって聞かれなかったし。

「ま、ドンマイ!そして、頑張れ!!」

 グッドのポーズをしながら、応援した。なお、煽ってはいない。
 多分。

「あんたなんて……クズよ!このクソ姉が!!」

「………待ってください。それは理にかなっていませんよね?クズとかクソとかそういうのは汚らわしい言葉です。私達人間が、神に背かう様な真似はやめたほうがいいと思います。さっきから聞いていれば、神に背かう様な真似を…………神官に言われました。そういうのはいけないことだと。なのに貴方はーーーー」

 べらべらべらとアトゥムは人が変わったように喋りだした。
 なんとなく怒っているようだが、ずっと喋っているせいか表情が読み取りにくい。

「あー、始まっちゃったなぁ。アトゥムは真面目やけど、いらついた時、顔とかには出さずこうやって言うことが多いんよね。これ結構続くで」

「マジか………でもやっぱりアトゥムは怒る……というより正論で返すんね」

「なお、一時間は続くなぁ」

 そして、その言葉の通り一時間半以上かかった。

 最初はリーシャンも何か言っていたが、途中から何も言えなくなってしまった。

 まぁ、なにか言ってもどれも正論で返されるので、何も言えなくなっただけだが。

 何をしても言葉を止めようとしなかったので、「焼き鳥!」と言ったら、子供の様に目を輝かせ我に返っていた。

 そういうことで、とりあえず、リーシャンの元から去っていった。
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