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第二章 心の霧
三十一話(ストーム視点)
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「なぁ、アトゥムいるんやろ?」
彼女が焼き鳥に気を取られている内に、わいはこっそりと兄に会いに行っていた。人の姿で、だ。
もちろん、混乱させぬようすぐ帰るつもりだが。
「おや、バレてしまいましたか………それで、どうしましたか?」
隅からひょこっと出てきた。わいとアトゥムは顔などは同じだが、趣味や性格、髪型などは全く違う。
髪質は似てしまうけれど、アトゥムはいつもきっちり髪型を揃えていて、わいはいつも髪がはねている。
「いやなぁ、リリアナが面白いねん」
「貴方のその方言どうにかならないんですか……………じゃなくて、リリアナ…?」
リリアナ、そう言った途端にアトゥムの表情が一気に変わった。
まさかな……そう少し呟いているのが聞こえてきた。
「どうしたん?」
「あの、リリアナ……?って人、今日の朝、神のお告げに出てきた者ですよ」
「へ……?」
「本当にその人かはわかりませんが、神の使いだとおっしゃってました。できれば大切に保護してほしいとも……」
それを聞いて、なんとなく辻褄が合うような気もする。
リリアナは珍しい容姿だし、察しがいいし。神の使いと言われれば納得はできなくもない。
アトゥムは、神殿で大切にされている。
だって、神の声が聞けるのだ。それをわいだって疑ったことがない。
神の声で、いろんな未来を皆に言い伝えたり。
いろんな功績を残している。
「保護、するん?」
「そうですね……どうしましょうか。神のお告げは絶対です。が、その貴方が知っているリリアナが神の使いかはわかりません」
「というか、待てや。難しくない?リリアナなんて名前この世界では沢山いるやろ?特徴とかないん?」
何のヒントもなしに、ただリリアナという名前の人を探せだなんていくらなんでも難しすぎる。
「あぁ、銀髪に灰色と黄色のオッドアイだとは伺ってますよ」
「いや、ピンポイントやな!それ絶対わいの知ってるリリアナやろ………」
「貴方も知ってる通り、神の使いというのは神の子というのと同じです。それが人間界に来ただけ。そして、私同様何か不思議な力も宿ってるはずですね」
アトゥムは神の使いだ。神の使いだから、神の声も聞ける。
神の使いは神の声を聞けると同じにもう一つ不思議な力を持って生まれてくる。
アトゥムの場合は傷を癒やす力だ。
「けど、問題はどうやって手に入れるかやろ?魔法はいいけどなぁ、テクちゃんに嫌われるし、テクちゃんも魔法わいと対等だから無理やろ」
「まぁ、そこですね…………あ、貴方の真名を利用すればいいじゃないですか」
はっと閃いたようにわいに提案をした。
魔塔の主が真名を言うと、その人に永遠の糸がはられてしまう。
糸、というのは、まぁ契約と同じことだ。
勝手に契約をされ、死んでも来世でもずっと一緒になるいわば呪いだ。
「ねぇ、✕✕いいでしょう?」
少し微笑んでいた。
今まで、わいの真名を知る人はアトゥムだけだ。
だから、わいはうんと言うように頷いた。
彼女が焼き鳥に気を取られている内に、わいはこっそりと兄に会いに行っていた。人の姿で、だ。
もちろん、混乱させぬようすぐ帰るつもりだが。
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髪質は似てしまうけれど、アトゥムはいつもきっちり髪型を揃えていて、わいはいつも髪がはねている。
「いやなぁ、リリアナが面白いねん」
「貴方のその方言どうにかならないんですか……………じゃなくて、リリアナ…?」
リリアナ、そう言った途端にアトゥムの表情が一気に変わった。
まさかな……そう少し呟いているのが聞こえてきた。
「どうしたん?」
「あの、リリアナ……?って人、今日の朝、神のお告げに出てきた者ですよ」
「へ……?」
「本当にその人かはわかりませんが、神の使いだとおっしゃってました。できれば大切に保護してほしいとも……」
それを聞いて、なんとなく辻褄が合うような気もする。
リリアナは珍しい容姿だし、察しがいいし。神の使いと言われれば納得はできなくもない。
アトゥムは、神殿で大切にされている。
だって、神の声が聞けるのだ。それをわいだって疑ったことがない。
神の声で、いろんな未来を皆に言い伝えたり。
いろんな功績を残している。
「保護、するん?」
「そうですね……どうしましょうか。神のお告げは絶対です。が、その貴方が知っているリリアナが神の使いかはわかりません」
「というか、待てや。難しくない?リリアナなんて名前この世界では沢山いるやろ?特徴とかないん?」
何のヒントもなしに、ただリリアナという名前の人を探せだなんていくらなんでも難しすぎる。
「あぁ、銀髪に灰色と黄色のオッドアイだとは伺ってますよ」
「いや、ピンポイントやな!それ絶対わいの知ってるリリアナやろ………」
「貴方も知ってる通り、神の使いというのは神の子というのと同じです。それが人間界に来ただけ。そして、私同様何か不思議な力も宿ってるはずですね」
アトゥムは神の使いだ。神の使いだから、神の声も聞ける。
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アトゥムの場合は傷を癒やす力だ。
「けど、問題はどうやって手に入れるかやろ?魔法はいいけどなぁ、テクちゃんに嫌われるし、テクちゃんも魔法わいと対等だから無理やろ」
「まぁ、そこですね…………あ、貴方の真名を利用すればいいじゃないですか」
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糸、というのは、まぁ契約と同じことだ。
勝手に契約をされ、死んでも来世でもずっと一緒になるいわば呪いだ。
「ねぇ、✕✕いいでしょう?」
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