私の婚約者をとった妹は婚約者に絶望する

さくらもち

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第二章 心の霧

三十話

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 光に包まれ、見えた先には青く澄んだ空、がやがやとしている屋台と人達。

 そして、今いるここは………

「なんで屋根の上なのかなぁ!??」

 屋根の上です(二回目)

 瞬間移動したことは驚きだが、というか、魔法使える人なんてこの世界に全くいない。

 だから、すごいとは思うけど、なぜ屋根の上。

「知らん。なんかな、わいこういうところ好きなんよ。術者の影響やな」

「そういう事、先に言え?」

「まぁええやん。屋根の上から降りて楽しもーや?」

「軽いな」

 とは、いえどここにずっといるのも気が引けるので、降りることにした。
 人目のつかぬ場所を狙って、飛んで着地。

 屋根の上から飛ぶなんて自殺行為とか言う人がいるが、ここファンタジーだし大丈夫。
 ファンタジー世界は自殺なんて言葉ないからね!

 着地する時、振動で足に痛みが走ったが全然大丈夫だ。
 ストームは猫だからか軽々といろんな場所に飛び移り、地面へ着地した。 

「お祭りかぁ……久しぶりだなぁ…」

「今日はわいの双子の兄さんが出るんやで」

「えぇ………仲悪いとかやめろよ?」

 テクディアとギクテッドの件があったので、兄弟喧嘩がくっそめんどい事がわかっていた。

 だから、そういうのはやめてほしい。

「大丈夫や、神殿にいるはずやで。いつも、遊びに行くと塩撒かれるけどな」

「それ嫌われてるって知ってる?」

 おい、塩。清めの塩やん。

「大丈夫や、いつも満面の笑みで「帰ってください」と言われるだけやもん」

「まずさ、魔塔の主の弟と神殿にいる兄の差よ!悪魔と天使やん。天と地の差よ?」

「まぁでも嫌われてはないんやない?結局、いつも「しょうがないですね……」って言ってくれるもん」

「仲睦まじい事で…………あ、あれめっちゃ美味そう……」

 目の前にあった焼き鳥。美味しそうな匂いと共に香るソースの甘じょっぱい匂い。

 別にそこまで高くないし、二個くらい買おうかなと思うくらいだ。

 まぁ、無駄遣いしたくないし一つだけだが。

 私はその屋台に近づき、ごつい顔のおじさんの店員に注文した。

「それ一つくれませんか?」

「おぉ、お前貴族か?美少年だなぁ……じゃなかったな!焼き鳥だっけか?」

「あ…………はい」

 美少年……少年じゃない!

 顔とは違い、明るく元気なおじさんだった。

 そういえば、いつもと同じ格好で来てたから、間違われるのも無理はないか。

 しかも、貴族が男の格好するなんて滅多にないし。というかないし。

「食え食え!育ち盛りなのにそんな細かったら駄目だぞ!!三つにしてやるよ」

 男じゃないねん……

 まぁ、断れないし、お腹が空いていたので、お金を渡してすぐさま去っていった。
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