私の婚約者をとった妹は婚約者に絶望する

第二章 心の霧

二十九話

「んで、いつまでいるつもりなの？」

　朝起きても、まだいたので、冷たい目でストームを見た。
　猫、猫だが中身が人間となれば別だ。

「もちのろん、テクちゃんに見つかるまでずっとや」

「いや、テクディア来ねぇし」

　そもそも普通、婚約者というなら一日に一回はほぼ必ず会う。

　けど、それを私が拒否したので、自業自得だが。

　私は「え、遊びたい」と、言ったらテクディアは「お前はそういうやつだな」と、言われたまにしか会わない。

　気楽

「多分、テクちゃんの場合ここにいるとわかってて来ないと思うで」

「マジか」

「それより、ずっと引きこもってると体に悪くないん？」

「引きこもりこそ正義」

「謎理論」

　引きこもってなきゃ意味がない。

　いや、普通に木に登ってたりする人がそういうのは根拠がないが、引きこもりたい。

　強いて言うなら、好きな小説買いに行きたい。

「せや、外出てみへん？」

「ええよ」

「いいんかい」

　私があっさり了承するのに驚いたのか、目を見開いていた。

　先程も言ったとおり、好きな小説買いに行きたい。

　そして、言ってなかったが副業も今まで通りこそこそとやっていたので、久しぶりに背伸びしたかった。

「めんどいから、瞬間移動するな」

「ファンタジー」

「これでも魔塔の主やからな。それに、今日はお祭りやってるで」

「猫肉売る？」

「わいを食べ物として売ろうとすな」

　嫌だってお金あんま持ってないし………

　そう言おうとしたら、ストームが「せやせや、早く行くで」と、言葉を遮られてしまった。　
　ストームは私の近くまで寄り添いこうゆっくりと唱えた。

「Migrationマイグレーション・Promiseプロミス・endエンド」

　そう唱え終わった頃には、光をまとった魔法陣が地面に浮かび上がった。

　そして、数秒後には私達はその場にいなくなってしまった。




《英語説明》かんたんに言ってます。

マイグレーション（Migration）→移動、移行
プロミス（Promise）→約束など
エンド（end）→終わり

勝手に作ったものだったので、どういう意味かわからない人がいたら………と、いうお節介です。ご参考程度に。（この詠唱に意味があるので）