私の婚約者をとった妹は婚約者に絶望する

さくらもち

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第二章 心の霧

二十八話(テクディア視点)

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 最近、仲直りをして、ギクテッドといろんな事を話して。
 それで、仕事は少し減った。

 けど、僕は仕事がしたい、ない

 暇すぎる

 と、いうのがさっきまでの自分だったが、ストームが屋敷内にいることが気がついた。

 ストーム、魔塔の主。本当の名前ではないが、仮の名前だという。

 ストームは厄介なことで、魔法で気配を消すので屋敷内にいるかもわかりにくいのだ。

「探しに行くか……」

 ストームがこの屋敷にいると絶対なんか起きる。
 前はお皿が宙に浮いたり、あった物がなくなったり、などといたずらをしてくるのだ。

 大体この屋敷には結界が張ってあるので、入ってこれないが、あいつは普通に入ってくる。

 まぁ、結構猫の姿でいることが多いが。

 僕が廊下を歩きながら、きょろきょろしているとサキラの背中姿を見つけた。

「ちょうどいいサキラ、猫、いやストームを見つけなかったか?」

「………あぁっ…テクディア様!また、ストーム様がお出でにならしたんですか?」

 僕に気がついたのか、振り向いた。サキラはすごく重そうなたくさんの書類を持っていた。

「困ったことにな」

「アハハ………あ、そんなお忙しい中、申し訳ないんですが、魔塔の契約書類など沢山ありまして…………」

 言いづらそうにサキラは言った。その重そうな書類は仕事分だったか。

「…まぁ、仕事が先だからな。見つけたら言ってくれ。というか、捕まえろ」

 サキラに渡された書類を受け取る。
 ずしっとしていて、背が小さいサキラなんて目の前が見えないだろう。

 サキラと別れ、自分の書斎へと戻る。

「仕事………まぁ、やるか」

 渋々……というより、ストームを見つけるほど大変なことはない。

 だから、仕事の方がマシだし、そもそも仕事がなくてストームを探していたから、これでいいと思う。

 うん、いいと思う

「変なことが起こってなければいいが………」

 そんな事を思った途端に「あ、絶対あいつリリアナのところにいる」と察してしまった。

 ストームはリリアナの事を知ってるし、いたずらするとか言いながら、ストームは魔塔の主だ。

 だから、仕事だってある。この屋敷に来ることだってたまにしかない。

 しかも、この時期だ。

「仕事………ストーム……仕事……ストーム…仕事ーーー」

 周りをぐるぐるしながら、悩んで悩みにまくった結果。

「仕事、だな」

 仕事本能が目覚めた。
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