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第一章 始まって仲直り
十五話
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「お嬢様、おはようございます…!」
もふもふ、ふかふかなベッドで目が覚める。朝日がカーテンから漏れ出ている。
誰かがカーテンを開ける。だからか、日差しが一層に強くなった。
「もうちょっと……」
私は掛け布団で日差しを遮ろうとしたが、それを誰かの手で阻止される。
「駄目ですよ!お嬢様!!」
「ん……?はぁぁぁ!??」
起きて、目の前にいる人物にびっくり☆
メイドだ。昨日、ロボットみたいに冷たかったメイド達のなかの一人だ。
昨日なんて一回も声をかけに来てくれた事なんてなかったのに。
ツインテール姿のかわいいメイド。
「………ん???」
「おはようございます、お嬢様!朝食はどうしますか?軽めのにーーー」
「まっ、待って!昨日はさ、こんなに気軽に話しかけてくれなかったのになんで……」
急なことですぐに脳が対応しきれなかった。そのツインテールのメイドは少し苦笑いをしたあと微笑んだ。
「あぁ………あれは、お嬢様が信用できなかったからですよ。テクディア様が真の皇帝という事は私達使用人は知ってました。けど、何もすることができなかった。だから、唐突に婚約者になったリリアナ様が皆信用できなくて…悪い噂も流れてたし………」
「あーー、うん。まぁ、なるほど」
嫌だけど納得してしまう。だって、噂も流れてたし、確信的な証拠がいっぱいだ。
「けど、昨日の夜お嬢様がギクテッド様にガツンと言っていたのを見て、対応が変わったんです」
「え……見られてたん」
「はい、バッチリと!!」
ドヤ顔でそういう彼女になんて返答すれば良いかわからなくなってきてしまった。
しかも、ドヤ顔なのに可愛すぎて憎めない。
「さぁさぁ!お嬢様、支度をしましょう!!あ、私の名前はクーナですよ!」
私から布団を剥ぎ取った。やはり掛け布団がないと少しだけ寒い。
「驚いておりますよ。お嬢様、おはようございます。私の名前はイリンです」
ブーメランやめて
どこからかメイド達が次々と出てくる。というか、次々とメイド達がでてくる現象のほうが驚く。
イリンはそういえば昨日みたリーダーぽいメイドさんだ。
「私はティアラって言いますよ~!」
その横にはショートボブをした姿のメイドがいた。元気良さそうで人遣いも良さそうだ。
全員、可愛すぎかよ……
おじさんみたいなことを言っているが、断じておじさんではない。断じて!
「まずは服です。どうしますか?」
いきなり見せられるドレス達。けど、私はこういうのを好まない。
ピンクやグレーなど発色が良いドレスもあったり、落ち着いた色のドレスもあった。
なお、今自分が持ってる服装は、フードつきのローブと、真っ白な質素なワンピース。
それと、今着ている綺麗な寝間着だ。
「う~ん………あ、それなに?」
鮮やかなドレスが並ぶ中、一つだけ男ぽい服が混じっていた。
Tシャツ黒っぽい灰色で、結構シンプルだ。
「あ、これは…!間違えました!!すみません」
気づいたのか、すぐさま持ちさろうとした。
「…それがいい」
「へ?」
小さな声で呟く。全員はてなの顔をしていて、私の返事を待ってるようだ。
「それがいい」
言いづらそうにそう答えると、みんなして顔を合わせ、同時に「え」から始まった。
「え、えぇぇぇぇ!??」
「ま、待ってください!こんなのより可愛いものがもっとあるんですよ!?お嬢様可愛らしいのに!」
「そうですよ!メイドとしての腕が鳴るというのに!!」
大声でわちゃわちゃとなぜか騒いでいた。でもまぁ確かにそうかもしれない。
女が、しかも貴族の女性がこんな物は着ない。
「いえ……お嬢様の命令は絶対ですよ。けど、これをお召しになるというなら、下とかは……」
「あ、ズボンでいいよ~」
「は」
イリンにそう言うと、信じられないというようにぷるぷると震えだした。
や、なんで!?
メイド全員ダメージを負っているような気がして、いたたまれない。
みんなして跪きながら、ぶつぶつと何か呟いているシュールさがこの世にあるだろうか。
私はとりあえず、その服たちを持ちこっそりと着替えだした。
いつまでも寝間着の姿はさすがにやばい気がしたからだ。
黒っぽい灰色のシャツに少し少し鮮やかな黒のカーディガン。
あと、黒のズボンだ。案外動きやすく自分的には結構好きである。
「って!お嬢様!!着替えたんですか!?一人で!??」
「いや、そうだけど!??」
着替えから出てくると、ふっと顔を上げなぜか驚いたような表情をしていた。
「あの、お嬢様が一人で着替えられるなんて………このイリン、感動しました」
お前はお母さんか?
涙片手にハンカチを持ちながら、目元を拭いていた。さすがに大げさだ。しかも、あんまり知らない人に。
そして、やっと気がついた気がする。
ここ、ツッコミ役いない!!
むしろ、今までなんで気づかなかったんだ。ということは、私が全部ツッコまないといけないのか。
私は、はぁと深いため息をついた。
すると、ティアラがいきなりお盆に温かいコーヒーを乗せたコップを持ってきてくれた。
「お嬢様、とりあえず寒いでしょうからコーヒー持ってきました!」
瞬間移動した?
あれ、いつ君この部屋から出たの。だって、着替えてても、近いから扉が開く音とか聞こえるはずだ。
なんとなく背筋がぞっとし、それ以上深入りするのをやめた、というか諦めた。
私は暖かく湯気が出ているコーヒーを片手にほっと一息をつく。
「お嬢様は絶対ドレスが似合うのに!!」
「そうですよね!」
「お嬢様の命令ですよ」
ん~、疲れる。
もふもふ、ふかふかなベッドで目が覚める。朝日がカーテンから漏れ出ている。
誰かがカーテンを開ける。だからか、日差しが一層に強くなった。
「もうちょっと……」
私は掛け布団で日差しを遮ろうとしたが、それを誰かの手で阻止される。
「駄目ですよ!お嬢様!!」
「ん……?はぁぁぁ!??」
起きて、目の前にいる人物にびっくり☆
メイドだ。昨日、ロボットみたいに冷たかったメイド達のなかの一人だ。
昨日なんて一回も声をかけに来てくれた事なんてなかったのに。
ツインテール姿のかわいいメイド。
「………ん???」
「おはようございます、お嬢様!朝食はどうしますか?軽めのにーーー」
「まっ、待って!昨日はさ、こんなに気軽に話しかけてくれなかったのになんで……」
急なことですぐに脳が対応しきれなかった。そのツインテールのメイドは少し苦笑いをしたあと微笑んだ。
「あぁ………あれは、お嬢様が信用できなかったからですよ。テクディア様が真の皇帝という事は私達使用人は知ってました。けど、何もすることができなかった。だから、唐突に婚約者になったリリアナ様が皆信用できなくて…悪い噂も流れてたし………」
「あーー、うん。まぁ、なるほど」
嫌だけど納得してしまう。だって、噂も流れてたし、確信的な証拠がいっぱいだ。
「けど、昨日の夜お嬢様がギクテッド様にガツンと言っていたのを見て、対応が変わったんです」
「え……見られてたん」
「はい、バッチリと!!」
ドヤ顔でそういう彼女になんて返答すれば良いかわからなくなってきてしまった。
しかも、ドヤ顔なのに可愛すぎて憎めない。
「さぁさぁ!お嬢様、支度をしましょう!!あ、私の名前はクーナですよ!」
私から布団を剥ぎ取った。やはり掛け布団がないと少しだけ寒い。
「驚いておりますよ。お嬢様、おはようございます。私の名前はイリンです」
ブーメランやめて
どこからかメイド達が次々と出てくる。というか、次々とメイド達がでてくる現象のほうが驚く。
イリンはそういえば昨日みたリーダーぽいメイドさんだ。
「私はティアラって言いますよ~!」
その横にはショートボブをした姿のメイドがいた。元気良さそうで人遣いも良さそうだ。
全員、可愛すぎかよ……
おじさんみたいなことを言っているが、断じておじさんではない。断じて!
「まずは服です。どうしますか?」
いきなり見せられるドレス達。けど、私はこういうのを好まない。
ピンクやグレーなど発色が良いドレスもあったり、落ち着いた色のドレスもあった。
なお、今自分が持ってる服装は、フードつきのローブと、真っ白な質素なワンピース。
それと、今着ている綺麗な寝間着だ。
「う~ん………あ、それなに?」
鮮やかなドレスが並ぶ中、一つだけ男ぽい服が混じっていた。
Tシャツ黒っぽい灰色で、結構シンプルだ。
「あ、これは…!間違えました!!すみません」
気づいたのか、すぐさま持ちさろうとした。
「…それがいい」
「へ?」
小さな声で呟く。全員はてなの顔をしていて、私の返事を待ってるようだ。
「それがいい」
言いづらそうにそう答えると、みんなして顔を合わせ、同時に「え」から始まった。
「え、えぇぇぇぇ!??」
「ま、待ってください!こんなのより可愛いものがもっとあるんですよ!?お嬢様可愛らしいのに!」
「そうですよ!メイドとしての腕が鳴るというのに!!」
大声でわちゃわちゃとなぜか騒いでいた。でもまぁ確かにそうかもしれない。
女が、しかも貴族の女性がこんな物は着ない。
「いえ……お嬢様の命令は絶対ですよ。けど、これをお召しになるというなら、下とかは……」
「あ、ズボンでいいよ~」
「は」
イリンにそう言うと、信じられないというようにぷるぷると震えだした。
や、なんで!?
メイド全員ダメージを負っているような気がして、いたたまれない。
みんなして跪きながら、ぶつぶつと何か呟いているシュールさがこの世にあるだろうか。
私はとりあえず、その服たちを持ちこっそりと着替えだした。
いつまでも寝間着の姿はさすがにやばい気がしたからだ。
黒っぽい灰色のシャツに少し少し鮮やかな黒のカーディガン。
あと、黒のズボンだ。案外動きやすく自分的には結構好きである。
「って!お嬢様!!着替えたんですか!?一人で!??」
「いや、そうだけど!??」
着替えから出てくると、ふっと顔を上げなぜか驚いたような表情をしていた。
「あの、お嬢様が一人で着替えられるなんて………このイリン、感動しました」
お前はお母さんか?
涙片手にハンカチを持ちながら、目元を拭いていた。さすがに大げさだ。しかも、あんまり知らない人に。
そして、やっと気がついた気がする。
ここ、ツッコミ役いない!!
むしろ、今までなんで気づかなかったんだ。ということは、私が全部ツッコまないといけないのか。
私は、はぁと深いため息をついた。
すると、ティアラがいきなりお盆に温かいコーヒーを乗せたコップを持ってきてくれた。
「お嬢様、とりあえず寒いでしょうからコーヒー持ってきました!」
瞬間移動した?
あれ、いつ君この部屋から出たの。だって、着替えてても、近いから扉が開く音とか聞こえるはずだ。
なんとなく背筋がぞっとし、それ以上深入りするのをやめた、というか諦めた。
私は暖かく湯気が出ているコーヒーを片手にほっと一息をつく。
「お嬢様は絶対ドレスが似合うのに!!」
「そうですよね!」
「お嬢様の命令ですよ」
ん~、疲れる。
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