私の婚約者をとった妹は婚約者に絶望する

さくらもち

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第一章 始まって仲直り

八話

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「ただいま」

 苦悩したあと、自分の家へと帰る。帰りたくはない家だ。
 家出でもしてみたいものだ。

「あら、お姉様。薄汚い格好ね」

 帰ってきた私にスタンバってたのかふふっと笑いながら悪口を言ってきた。
 というか、よくそんなちょうど良いタイミングで私と出会ったな。

「貴方の部屋。日頃の行いで汚くなってるわよ」

 特大ブーメランやめろ

 妹の部屋はとにかくやばい。使用人がいなかったら、ゴミ部屋になっている。
 生活習慣がないというか、なんというか。

「なに?なんで、無言なのよ!というか、あんた私の婚約者をとろうとしてるんでしょ!?」

 精神科行ってください

 無言な私に嫌気が指したのか、いきなり怒声をあげた。
 情緒不安定多すぎるだろ。

「聞いたわよ。クロードにあんたの過ちを背負わせたらしいじゃない!」

「は?」

 逆なんですが。私があの元婚約者の借金を背負わせられようとされているのに、それは事実無根な事だ。
 あいつ、もしかしたら変えたのかもしれない。

 あとでしばく

「そうですか」

 私はその場を後にし、自分の部屋へと向かった。

 ドアを開けて、はい自分の部屋。
 けど、そこは自分の部屋とは言い難く酷く乱れた部屋だった。

 いや、正確には必要最低限なものしかない。
私が好きな本も、何もかもない。
 あるのは家具くらいだけ。

「あーー、なるほどね。この路線できたか」

 嫌がらせを超えてもう虐待だ。ぶっちゃけ言うと、妹はこういうのはやらない。

 妹がやるのは、暴言ばかり、あと少しだけ嫌がらせをする程度。
 これは、両親がやっている。
 両親は妹を溺愛してるため、よく私に嫌がらせをするし、だからといって私の目の前に出ない。

「本、頑張って溜めたんだけどなぁ………」

 はぁ…と腰が抜けたような間抜けな声を出してしまった。
 さすがに辛い。私が好きな本も、大切にしていたアクセサリーもなくなっている。

「……よし、大丈夫」

 無理矢理立ち直し、部屋から出ていく。ちょうどその時だった。
 近くにいた使用人が私のことを呼んだ。

「お嬢様、いえ、捨てられたリリアナ様?元両親が書斎で呼んでますよ」

 使用人にだってこの扱いだ。みんな私のことを嘲笑う。今に始まったことでは無いが。

 私は渋々両親の元へと向かった。というか、両親に呼ばれたのは初めてかもしれない。
 親の顔だって何年も見ていない。

 私は書斎の部屋へと入ると、両親が険しい顔をしながら、そこにいた。

「おい、ゴミ。聞け」

 ゴミ舐めんな

「実はね、あんたにあの皇帝の弟様から婚約の申し込みが来てるのよ」

「言いたいことは、強制、というわけだ。お前には、あのテクディア様と婚約を結んでもらう」

 は?

 一瞬、思考停止をしてしまった。急に宇宙の話をされたような気分だ。
 テクディア様、前も言ったがそれは皇帝の弟であり、悪い噂ばかりながれている。

 いや、今はそんなことどうでもいい。私が不思議なのは、あったことがないからだ。

 適当に選んだのか……?

 でも、こんな見た目な私と婚約を結ぶなんてよほどの好奇心か。

「は…っ…!まさか、お前なんかがテクディア様に選ばれるとはな!まぁ、いい。金は入るんだ。最後くらい家族の役に立て」

「そうよ。貴方は最後までゴミだったのだから」

 周りがべちゃくちゃ言ってる中、私一人だけまたもや苦悩していた。

 皇帝の弟は黒髪に赤い瞳……。

「いや、会ったことあったわ…」

 ぽつりとそう呟く。そういえば、その見た目な人にはあった。
 猫と戯れている記憶を消してほしいと言った人だと思う。

 けど、何の利益があってやるのか。

「というか、あんの美系!!何してるんだよ!」

 思わず、大きな声を出してしまい、両親共々ぽかーんと口を開けていた。
 私は気まずくなり、すぐにその部屋から去る。
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