私の婚約者をとった妹は婚約者に絶望する

さくらもち

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第一章 始まって仲直り

五話(テクディア視点)

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「テクディア様!聞いてください!!」

「どうしたんだ?」

 前から雇っているサキラ。体が弱いが、信用できる使用人だ。
 そんなサキラが喜びながら僕に言うなんて久しぶりかもしれない。

「あの、俺ひったくりにあって!けど、リリアナ様が助けてくれたんです!!」

「リリアナ……?リリアナって確かアークリンク家か?悪い噂が流れてた気がするが……」

 アークリンク家、会ったことはないがなぜか僕のことを敵対視している。

 そのリリアナという者は悪い噂がいっぱい流れているし、最近婚約破棄をされたのだとか。

「けど、その人なんです」

「……どうせ、一時の気まぐれだろ?惑わされるな」

「ですが………テクディア様も知っている通りあの噂は婚約破棄以外嘘ですし、それに………」

「家族と疎遠にされてる、だったか…?僕には関係ない事だ」

 アークリンク家は先程も言ったとおりなぜか敵対視されてるので、情報はまぁまぁ知っていた。
 浮気して出来た子供とか、妹を虐めてるとか、そんなのも全部嘘だ。

「……けれど、テクディア様。貴方も裏の皇帝、いえ、皇帝でしょう?悪い噂が流れているだけーー」

「何を言っている?僕は皇帝ではない。皇帝は兄の方だ」

 僕はその言葉を遮り、反論をした。

「……違います!仕事の管理をしているのはテクディア様でしょう?テクディア様のお兄様は貴方にばかり仕事を押し付けて…!挙げ句の果には、悪い噂も流し……そんなの、表だけの皇帝…」

「それがなんだ」

 冷たい瞳でサキラへと訴える。サキラは優しい。
 だからこそ、騙されやすいし、感情移入だってしやすいことがある。

「………」

 辺りに沈黙が流れる。サキラは俯きながらも、悲しい顔をしているのがわかる。

「すみませんでした」

 サキラはそれを言い残して去っていった。
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