このセカイで僕が見つけた記憶

さくらもち

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十六話

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「ツーっバサ!」

「はあっ!??」 

 今まで聞いたことのないような大声で、目の前に現れた僕に言った。

 あぁ、ツバサだ、僕が知ってる。

「これから、一緒に永遠の時を過ごそうね」

「な、何を言って……というか、待て!お前まさか…っ……!!」

「そうだよ。死んだんだよ」

 平然とした顔でそういうと、ツバサは面食らった様な顔になった。
 やっぱり、ツバサがいい。ツバサといる方が面白い。

「お前なぁ……なんてことを……」

「別にいいでしょ?減るもんじゃないし」

「減るんだよ!!」

「それじゃあ、嫌なの?」

「嫌ってわけじゃ……」

「それじゃあ、いいよね。僕も祐希先生の事を待つよ。ずっと、ずうっーと!僕が来れたんだから、祐希先生も来るよ」

 手を広げて、自信満々にそう言うと、ツバサはとても深いため息をついた。
 けど、その後にはとても優しい微笑みを見せた。

「そうだな。待つか、二人で」

「うん、そうしよ。祐希先生の事を待とう、永遠の時を使って」

 そして、僕もにこっとツバサに微笑んだ。
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