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九話

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「戻った………」

 すぐさま、目の前の風景が変わり、少しだけ目眩がおこった。
 ふらふらと、目の前が落ち着けない。

「おい、大丈夫か?」

 それを心配に思ったツバサは、心配そうな顔で僕の事を支えた。
 どうしてだろうか。感情、いやいろんなモノが逆流している気がした。

「やはり、少しだけ耐えられんか………早いところ、見つけなくてはな」

「ツ、バサ……今、何日たっ…た……?」

 かすれたような声で、ツバサにといた。
 今、あそこにいた時間で、たったあの時間だけで、記憶を忘れてしまうのは嫌だ。

 それが例え、忘れたい記憶であろうが。

「わからない。ここは、生と死の狭間でもあり、亜空間でもある。時間なんてモノが存在しないんだ」

「そっ…か……」

「それより、お前は休んでろ。なんせ、記憶の中に入ったんだ。疲労がくるのも当たり前だろう」

 いつにもなく、せわしない様子で僕の事を持ち上げた。瞼が重い。開けるのすら、辛かった。

 けど、ここで眠ってしまったら、この夢が、セカイがなくなってしまうようで。
 そう思うと、怖くて怖くて眠れなかった。

「い……なく…なら、ない……で…」

「…っ………大丈夫だ。いなくならない………今は、な……」

 今は、という言葉が気になったが、その言葉に安心したのか次第に意識が遠くなっていった。
 ツバサは、いなくならないと言ってくれたのだ。
 けど、前にもそんなことがあった気がした。

  なんだっけ……前に……ずっとずっとずっと前に………

 まだ意識少し残ってるのか、ふわふわとした浮遊感がある。
 きっと、前にあったはずなのに思い出せない。

  僕の裏切り、モノ

 そこで、意識が途切れてしまった。
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