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二十話(オーベロン視点)

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『妖精王様!速報です。愛し子が…っ……!愛し子の力が暴走しました』

 会議が終わり、解散する寸前で妖精がいきなりあたふたしながら言ってきた。
 汗もかいていて、すぐに情報を伝えに来た感じだろう。

『愛し子が暴走なんて……』

『私達の愛し子はやっぱり外の世界じゃ危ないのよ』

 ざわざわと話し声が聞こえてくる。妖精達も心配なのはわかるが、愛し子だってこの国で過ごすのが幸せだと限らない。
 ティターニアだって実際帰りたいと言ったのだ。

「妖精界に一回戻さないとねぇ」

「そうだね。確かにそれがいい」

「俺は関係ない。だから、じゃあな」

 一人だけ、慌ただしい様子もなくそうそうと去っていった。

 ウェイルは急いでいるのか、考えている自分を通り抜け、耳元でこう囁いた。

「………愛し子は僕達の国が守るよねぇ」

 その言葉に我に帰り、後ろを振り向くともうその姿はなかった。

「くそ…っ………」
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