10 / 30
十話
しおりを挟む
「あはは~、ごめんね。まず、愛し子の事はおいといて、この国の事を話したほうがいいかな?」
レンとの話を遮り、苦笑いを私に向けた。
「まず、この妖精が住んでいる国は三つあってね。ここは中央区と呼ばれている中心的な国アイチェラジェウィ。二つ目が冷酷の国と呼ばれるアンディーライト。三つ目が神の国と呼ばれるアナキュラ」
中指と人差し指と薬指を立て、三という数字を表しながら、話していった。
妖精が住んでいるところは、三つもあるのか、そんな事知らなかった。
『アンディーライト国は人間嫌いで有名なので、行かないことをおすすめします。アイキュラ国は神の血も入った妖精がいるらしいです。アイキュラ国は行ったら好かれると思いますよ』
「今、思ったんですけど、みんな最初にアがつくんですね」
アイチェラジェウィ、アンディーライト、アイキュラ、全てにアがついている事に気がついた。
『ア、という文字は五十音字の中で一番最初の文字です。そのため、使われたとされています』
「このセカイを最初に作ったのは神だからっていう理由で最初っていうのが好きなんだよ」
「なる、ほど……えっと、この流れって………」
こんなにこの世界の事を説明されるなんて、絶対もう流されている。
『諦めることをおすすめします』
知ってた。
「アイ……?さんと、同じ事言ってますね…」
「アイとレンは兄弟だからね」
「あ、だから、似てたんですね」
似てた、そう言うとなぜかレンは、ぱあっと顔が明るくなり、花がまっているようにとても嬉しそうにしていた。
「良かったね、レン」
『はい!』
「???」
?の顔になってしまう。兄弟だから似てると言っても、別に変ではないと思った。
予想外に嬉しそうにしていて、嬉しいのか何なのかわからなくなってきた。
「あ、そっか、ティターニアは知らないんだね?妖精はね、血が繋がっていないことが多いんだよ」
「へ?」
「そもそも妖精はモノに宿る的なモノだから血の繋がりなんてないし、両親もいない。僕の場合は稀。妖精同士が同じモノに宿った時、それを兄弟と言うから、妖精の兄弟にとって、似てるって言われるのはとても嬉しいことなんだよ」
「両親がいないんですか………」
両親があの日死んでしまった事を考えると今でも吐き気がした。
死んだという絶望感に打ちのめされた喪失感。
それが、妖精にとって普通だとしても、私は嫌だ。
『だから、すごく嬉しいです。アイはお節介だけど、たまに天然なところもあってーーー』
「あ、始まった。このモードになると、一時間以上話すよ。なお、止めようとしても無理、聞く耳を持たない」
はぁとため息をつきながら、私にいった。
その横でレンはべらべらとずっとアイの良さを語っていた。
そして、一時間以上待つことになったーー
レンとの話を遮り、苦笑いを私に向けた。
「まず、この妖精が住んでいる国は三つあってね。ここは中央区と呼ばれている中心的な国アイチェラジェウィ。二つ目が冷酷の国と呼ばれるアンディーライト。三つ目が神の国と呼ばれるアナキュラ」
中指と人差し指と薬指を立て、三という数字を表しながら、話していった。
妖精が住んでいるところは、三つもあるのか、そんな事知らなかった。
『アンディーライト国は人間嫌いで有名なので、行かないことをおすすめします。アイキュラ国は神の血も入った妖精がいるらしいです。アイキュラ国は行ったら好かれると思いますよ』
「今、思ったんですけど、みんな最初にアがつくんですね」
アイチェラジェウィ、アンディーライト、アイキュラ、全てにアがついている事に気がついた。
『ア、という文字は五十音字の中で一番最初の文字です。そのため、使われたとされています』
「このセカイを最初に作ったのは神だからっていう理由で最初っていうのが好きなんだよ」
「なる、ほど……えっと、この流れって………」
こんなにこの世界の事を説明されるなんて、絶対もう流されている。
『諦めることをおすすめします』
知ってた。
「アイ……?さんと、同じ事言ってますね…」
「アイとレンは兄弟だからね」
「あ、だから、似てたんですね」
似てた、そう言うとなぜかレンは、ぱあっと顔が明るくなり、花がまっているようにとても嬉しそうにしていた。
「良かったね、レン」
『はい!』
「???」
?の顔になってしまう。兄弟だから似てると言っても、別に変ではないと思った。
予想外に嬉しそうにしていて、嬉しいのか何なのかわからなくなってきた。
「あ、そっか、ティターニアは知らないんだね?妖精はね、血が繋がっていないことが多いんだよ」
「へ?」
「そもそも妖精はモノに宿る的なモノだから血の繋がりなんてないし、両親もいない。僕の場合は稀。妖精同士が同じモノに宿った時、それを兄弟と言うから、妖精の兄弟にとって、似てるって言われるのはとても嬉しいことなんだよ」
「両親がいないんですか………」
両親があの日死んでしまった事を考えると今でも吐き気がした。
死んだという絶望感に打ちのめされた喪失感。
それが、妖精にとって普通だとしても、私は嫌だ。
『だから、すごく嬉しいです。アイはお節介だけど、たまに天然なところもあってーーー』
「あ、始まった。このモードになると、一時間以上話すよ。なお、止めようとしても無理、聞く耳を持たない」
はぁとため息をつきながら、私にいった。
その横でレンはべらべらとずっとアイの良さを語っていた。
そして、一時間以上待つことになったーー
0
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
旦那様、離婚しましょう
榎夜
恋愛
私と旦那は、いわゆる『白い結婚』というやつだ。
手を繋いだどころか、夜を共にしたこともありません。
ですが、とある時に浮気相手が懐妊した、との報告がありました。
なので邪魔者は消えさせてもらいますね
*『旦那様、離婚しましょう~私は冒険者になるのでお構いなく!~』と登場人物は同じ
本当はこんな感じにしたかったのに主が詰め込みすぎて......
七年間の婚約は今日で終わりを迎えます
hana
恋愛
公爵令嬢エミリアが十歳の時、第三王子であるロイとの婚約が決まった。しかし婚約者としての生活に、エミリアは不満を覚える毎日を過ごしていた。そんな折、エミリアは夜会にて王子から婚約破棄を宣言される。
【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる