1 / 1
一話
しおりを挟む
「おねえちゃん…ごめんなさい。私ね、お姉ちゃんの婚約者が好きなの。もう付き合ってるの……お姉ちゃんの婚約者、くれない?」
いきなり部屋に呼び出され、なんだと思えば、妹が急にその話をしだした。
びっくり……とまではいかない。元々、私の婚約者クレイムが妹が付き合っているのは知っていたからだ。
「そもそもね…!お姉ちゃんにはクレイムと合わないと思うの!!ほら、お姉ちゃんは出来損ないでしょ?クレイムは優しくて、器用なのよ!」
「はぁ…?」
思わず不満と思われるため息が出た。
「お姉ちゃんより、私の方が絶対合うわ……クレイムだって了承してるもの…お姉ちゃんは格の違いってものを理解してないわ」
妹の私への嫌味はまだまだ止まらない。私は家族の中で「出来損ない」と言われている。
というか、平凡。
何もかも普通で、外見だって普通だ。一つだけ除けば、頭がいい事くらい。
妹は美形で手先が器用な方だと思う。
だから、世間的にも家族的にも溺愛されている。
「お母様が言ってたの、私とお姉ちゃんは天と地の差だって!お姉ちゃんは、出来損ないのただの道具なのよ!!」
「あの~、心臓ありますけど」
「お姉ちゃんは私の言うことだけ聞けばいいのよ!お姉ちゃんは私の陰なんだから…っ!!!」
妹、クレアの瞳はうるうると涙で滲んでいた。こういう時は大体大声で泣かれて、両親に見つかり、私が怒られるパターンだ。
クレアは子供の時から、嫌がらせばかりしてきた。それも、私と二人きりの時だけに。
「おかぁさまっっ!お姉ちゃんがいじめるぅ…」
などと戯言を吐く。多分、あれはストレスが溜まったとき、私をサンドバッグ代わりにされていたのだ。
そして、両親に怒られご飯なし。
というか、まぁ今も現在進行形で続いている。
「……じゃなくて、普通にいいよ。あげる、あげる」
「ほんと…っ……!持つべきものは、出来損ないのお姉ちゃんねっ!!」
嫌味か…?嫌味だろ…???
先程、涙を流していたのが嘘みたいに嬉しそうな顔をしながら、部屋から去っていった。
私は妹が去ったと思うと、呆れながらドレスの中を漁る。
手探りで探していると、手に感触があったのでそれを掴んで出した。
「馬鹿かな。こっちは証拠、掴んでるのに……」
私が持っていたのは、妹と婚約者の浮気写真、その情報達。
また、嫌がらせされた時の証拠写真などもろもろ集まっていた。
「さて……慰謝料、絞り取るか」
長年の恨みをはらすとき!!!
いきなり部屋に呼び出され、なんだと思えば、妹が急にその話をしだした。
びっくり……とまではいかない。元々、私の婚約者クレイムが妹が付き合っているのは知っていたからだ。
「そもそもね…!お姉ちゃんにはクレイムと合わないと思うの!!ほら、お姉ちゃんは出来損ないでしょ?クレイムは優しくて、器用なのよ!」
「はぁ…?」
思わず不満と思われるため息が出た。
「お姉ちゃんより、私の方が絶対合うわ……クレイムだって了承してるもの…お姉ちゃんは格の違いってものを理解してないわ」
妹の私への嫌味はまだまだ止まらない。私は家族の中で「出来損ない」と言われている。
というか、平凡。
何もかも普通で、外見だって普通だ。一つだけ除けば、頭がいい事くらい。
妹は美形で手先が器用な方だと思う。
だから、世間的にも家族的にも溺愛されている。
「お母様が言ってたの、私とお姉ちゃんは天と地の差だって!お姉ちゃんは、出来損ないのただの道具なのよ!!」
「あの~、心臓ありますけど」
「お姉ちゃんは私の言うことだけ聞けばいいのよ!お姉ちゃんは私の陰なんだから…っ!!!」
妹、クレアの瞳はうるうると涙で滲んでいた。こういう時は大体大声で泣かれて、両親に見つかり、私が怒られるパターンだ。
クレアは子供の時から、嫌がらせばかりしてきた。それも、私と二人きりの時だけに。
「おかぁさまっっ!お姉ちゃんがいじめるぅ…」
などと戯言を吐く。多分、あれはストレスが溜まったとき、私をサンドバッグ代わりにされていたのだ。
そして、両親に怒られご飯なし。
というか、まぁ今も現在進行形で続いている。
「……じゃなくて、普通にいいよ。あげる、あげる」
「ほんと…っ……!持つべきものは、出来損ないのお姉ちゃんねっ!!」
嫌味か…?嫌味だろ…???
先程、涙を流していたのが嘘みたいに嬉しそうな顔をしながら、部屋から去っていった。
私は妹が去ったと思うと、呆れながらドレスの中を漁る。
手探りで探していると、手に感触があったのでそれを掴んで出した。
「馬鹿かな。こっちは証拠、掴んでるのに……」
私が持っていたのは、妹と婚約者の浮気写真、その情報達。
また、嫌がらせされた時の証拠写真などもろもろ集まっていた。
「さて……慰謝料、絞り取るか」
長年の恨みをはらすとき!!!
0
お気に入りに追加
49
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
離婚した彼女は死ぬことにした
まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。
-----------------
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
-----------------
とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。
まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。
書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。
作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。

あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。

冤罪から逃れるために全てを捨てた。
四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。

もうすぐ、お別れの時間です
夕立悠理
恋愛
──期限つきの恋だった。そんなの、わかってた、はずだったのに。
親友の代わりに、王太子の婚約者となった、レオーネ。けれど、親友の病は治り、婚約は解消される。その翌日、なぜか目覚めると、王太子が親友を見初めるパーティーの日まで、時間が巻き戻っていた。けれど、そのパーティーで、親友ではなくレオーネが見初められ──。王太子のことを信じたいけれど、信じられない。そんな想いにゆれるレオーネにずっと幼なじみだと思っていたアルロが告白し──!?
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

婚約破棄と言うなら「時」と「場所」と「状況」を考えましょうか
ゆうぎり
恋愛
突然場所も弁えず婚約破棄を言い渡された。
確かに不仲ではあった。
お互い相性が良くないのは分かっていた。
しかし、婚約を望んできたのはそちらの家。
国の思惑も法も不文律も無視しての発言。
「慰謝料?」
貴方達が払う立場だと思うわ。
どれだけの貴族を敵に回した事か分かっているのかしら?
隣国で流行りだからといって考えなしな行動。
それとも考えての事だったのか?
とても不思議な事です。
※※※ゆるゆる設定です。
※※※オムニバス形式。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる