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2章

水悉調査

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俺は新しい仲間の能力調査をするために、水棲生物たちの拠点である汽水湖に来ていた。
まずは彼、オニクラゲのコケコ。

「カプ」

オニクラゲ、またの名をアトゥイエタル。
昔はアトゥイエタルと呼ばれていたが今はオニクラゲと呼ばれることの方が多いらしい。

さて、このオニクラゲだが、基本的には温厚な生物である。だが…

「毒の威力がガチでやばいんだよな」

「カプ」

そう、オニクラゲの触手はオオトカゲの毒すらも凌駕する猛毒なのだ。なんと、あのスキュラですらも簡単に気絶させられる。

「まあ弱い相手にはとことん弱いとは思うが…」

実際、毒を無効化するアオには完封されていた。またドクカゲやマティスは毒を遠距離から放てるが、コケコは自分から近づかないといけないのもネック。

あとこれはただのわがままなんだけど、できれば陸上でも活動できてほしかった。
でも攻撃力に全振りしたみたいな仲間で個人的には結構好きである。ヤツメと同じくテクニック次第でいくらでも化けそうな仲間だ。

「そして次はこの子、ティル」

「捕まってしまいましたわー」

おどけながらそう言うのは、スキュラのティル。魔物って基本的には名前を持たないんだけど、こういう人語を理解し話すような魔物は名前を持っていることが多いらしい。
ところで…

「お前大丈夫?謀反とかしないよな?」

「当然ですわ。私を誰と心得てますの?」

「海中ストーカー?」

「少し語弊がありますわね」

いやまあ、今までの仲間を見る限り多分大丈夫なんだろうとは思うけどさ。それでも不安だよな。さて、

「お前って何ができるんだ?」

「戦闘、密偵。なんでもお任せあれですわ」

「ストーカーの才能があるってわけか」

「少し語弊がありますわね」

俺たちを散々苦しめてきた犬の首やタコの触手などで攻撃することができるらしい。しかもリーチがかなり長く、飛んでる鳥を捕まえたりとかもできるとか言ってた。
そして大事なのが、このストーカー力である。

「確か…一度犬の首に匂いを嗅がせたら誰がどこにいても特定することができるんだったよな、水中限定で」

「その通りですわ。我ながら素晴らしい能力でしょう?」

一度犬の首に匂いを嗅がせる必要があるとはいえ、種族の特定もできるそうだから心強い。アオは水中だとどこに何がいるかくらいしかわからないんだよな。

クラーケンや龍喰らいとかの匂いはすでに嗅いであるらしいし、これはかなり頼りになる。

あとは体温を自由自在に調節できる能力も健在らしいが…こちらはあまり実用性はなさそうだ。てか俺には思いつかなかった。ストーカーが安心してできるくらい?

「ちなみに、私は陸上でも活動できましてよ」

「ティルン、それは流石に嘘だよ」

本当らしい。触手をうねうねさせながら、匂いを嗅ぐ能力などは使えなくなるが陸上でも活動することは可能とか言っている。

ただし陸上では流石に戦闘能力はいくらか落ちるらしい。水中だとファラクにデバフがかかってしまうのとほぼ似たようなものなのだろう。

水中のティルはファラク以上のパフォーマンスを見せてつけていたが…陸上だと普通にファラクに劣るっぽい。

「何はともあれ、頼りになる水棲生物を仲間にできてよかった」

コケコは一発逆転の切り札、ティルは戦闘兼情報収集要因として役に立ってくれるだろう。
水中生物もだいぶ集まってきたしそろそろファラクを休ませてやってもいい頃かもしれない。

「ゴァー」

ファラクが目を輝かせ期待に満ちた顔をしながらこっちを見てくる。うぉ…

「よしファラク、お前は水中が嫌いなのに今までよく頑張ってくれた。もうあとは休んでも構わないぞ」

「ゴァー!!」

凄く嬉しそうな顔をした後、砂埃を上げながら一目散に去っていった。拠点近くにいるであろう陸上勢の元へと向かったようだ。そこまで水中嫌いだったんだ…

ま、まあしばらくはリゲル、サルヴァント、ヤツメ、コケコ、ティルの5人の仲間モンスターなちでなんとかするとしよう。アオも含めたら6人か。

「俺も拠点に戻るか。石版の方がどうなったかも知りたいし」

ちなみに、サフンは一足先に拠点へと帰っている。なんか用事があるとか言ってた。

「ファラク…はもう行っちゃった。じゃあキジクジャクたのむ」

「ツク!」

だが、よくよく考えたら拠点はこの汽水湖から徒歩3分もかからない場所にあるので、別にわざわざキジクジャクに乗る必要はなかったわ。
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