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2章

知っているか、知らないか。

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狙いを定めた無数の槍の流星群が俺たちを襲う…!

「ファラク!ファラク出てきてっ!!!」

「ゴァーッ!!!!」

サルヴァントと並ぶ水中最高戦力のファラクが杖から出てきてくれた!頼もしい!!

「ファー!!!」
「ゴァーッ!」

サルヴァントとファラクが2人がかりでデンキダツたちの猛攻を防いでくれているが、それもいつ崩壊するかわからない。彼らが時間を稼いでいる間になんとか打開策を閃かねば…!

「デンキダツの弱点って何かないのか!?」

「デンキダツは光に弱いの!光を当てれば散り散りになって逃げていくはずよ!」

俺も詳しくは知らないんだが、確かダツって光に刺激されて凶暴になる生き物なんじゃないのか!?だいぶ不安だが今はサフンの言葉を信じるしかない…!

「光だな、わかった!……あれ?」

光を出せと言われてもどうやって出せばいいのかわからんのだけど。

「ゴ…!ゴァー!」

まずい、鋼のような硬さの鱗を持つファラクですら苦痛に悶えている!それほどまでにこの槍の流星の威力が高すぎるのだ…!
こうなれば出す結論は一つ。

「撤退、撤退じゃあああああ!!!」

この地獄の海から緊急脱出を図るしかない!

「さっさと逃げるぞ!こりゃかなわん!」
「ゴシャー!!!」

「あの子たちはどうするの!?」
「杖にしまうのはどれだけ離れててもできる!サルヴァントとファラクは足止めを全力で頼む、本当に死ぬなよ!」

「ゴァー…!」 「ファー!」

幸いここは浅瀬、海面まで浮上すればキジクジャクとヴァイが出せるからそれで逃げれる!

「ザァー!」
「キジクジャクとヴァイ出てこいっ!」
トビウオのように勢いよく水面から飛び出たリゲルの上から俺はキジクジャクとヴァイを呼び出した!

「ツク!」「ガァー!」
「ファラクとサルヴァントはよくやった、もう戻れ!」

ファラクとサルヴァントを回収………うわ、両方ともボロボロだ。あと少し遅れてたら命はなかったかもしれない。

「ゴシャー!」
「待って、置いてかないでよ!」

アオたちが遅れて海面へと浮上してきた!
もう長居は不用だ、さっさとずらからなければ!

「ゴシャー!」

デンキダツの軍団が逃亡しようとする俺たちに気づいたみたいだ、だがもう遅い!!

「ガァー!!」
「あ、危なかったわね…」
デンキダツが俺たちに激突する寸前に何とかギリギリで空へと脱出することができた。
まさか海がここまで危険なものとは思ってなかった…!

「ちくしょー、いつか絶対復讐してやるからな!」
「ツクツク!」

そう捨て台詞を残しながら俺たちは陸地へと逃げ帰った。




「というわけで君たちの知恵を借りたいんだが」
「ッ!」
「あ、そもそもそんな生き物知らない?そうですか…」

仲間の魔物たちを集めて作戦会議をしている。その内容は、もちろんデンキダツについてだ。だが…

「グォ」
「?」
「「「シャー?」」」
「ニャン」
「ヒョロロー?」

よくよく考えたらほとんどが陸上生物だから海の生き物のデンキダツを知ってるわけないじゃん。

「どうしたものか…」

ベガに海の上から飛行生物で遠距離から攻撃するのはどうかと提案されたが、非効率だしそもそもデンキダツが逃げ出すと思うので却下した。

ドクカゲには海の上から毒をばら撒くのはどうかと提案されたがそれは倫理的にちょっと問題なので丁寧にお断りした。

あれやこれやと頭を捻っていたときだった。

「どうした貴様、海へと進出するのではなかったのか?」
「あ、ゼアトだ」
「ミナト殿どうした?何か問題でもあったのか?」
「ハリムも帰ってきたのね」

気づいたらゼアトたちが帰ってきていた。てか、なんか帰ってくるの早すぎないか?
俺が心の中に抱いている疑問を察したのか、アガスが苦笑いしながらこう説明する。

「そのことなんやけどな?信じてもらえへんと思うけど、この石板がクロツバサの元出現区域までなんかテレポートさせてくれたんよ」

???????
何だそのチートアイテム。くれよ。

「テレポートする直前に石板から魔力が漏れ出てましたし、多分この石板が原因なのは間違いないですね。でも、他にも機能はある可能性は高いかと」

アリサの言うことが本当なら、テレポートだけでなく他にも能力があるってことか。何なんだこれ、凄く便利で不気味だ。いや、今はそれよりもだな…

「話変わるけどさ、デンキダツの対処法ってどうしたらいいかな?」

まさかクラーケンとかそういうのではなく、ただの魚ごときに撤退に追い込まれるとは思ってなかった。そしてまさか、その魚ごときの対処法を他人に聞くことになるとは思ってなかった。

「すまないミナト殿、海の魔物は我々も詳しくは知らないのだ」

「名前とか能力とかは知ってますけど、詳しい対処法となるとわからないですねー…」

アガスの方も見たが、首を横に振られた。藁にもすがる思いでゼアトの方を見てみると…

「一つ、心当たりがある」

「えっ?」

「デンキダツの群れはチョウトリアンコウを避ける習性があるのだ。おそらく、チョウトリアンコウが放つ光に弱いのだろう。チョウトリアンコウは浅瀬を泳いでいることも珍しくはないため、まずはそれを仲間にしたらよいのではないか?」

なんと、いっぱしの魔物使いですら知らないような情報を、ゼアトは当然かのように知っていたのだ。

「すごいな、お前!」
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