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2章
海の洗礼
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地球の海ですら人類が把握しているのは5%程度と言われている。では、この世界の海はどうなのだろうか。
ヴァイとベガの全力飛行によって俺とサフンは2時間もかからずカリヨネッタへと戻れた。そして…
「メアリみたいな陸上専用の仲間には留守番させて、レベル上げに徹させよう」
「」
水中で役に立たない仲間を杖に入れて連れ込むよりも、レベル上げをさせておいた方がいいと判断したのだ。俺には入らないけど、戦闘に参加してない他の仲間モンスターにも経験値が一部入るらしいし。
そして、サフンから俺にある注意をしてきた。
「いいこと?呼吸ができるようになるとはいえ私の魔法じゃ水圧まではどうにもならないの。ある程度は軽減できるけど当てにしないでね」
「ああ、なるほど。…あんまり深いところまで潜るなってことか」
正直、水の中でも呼吸できる魔法があるならなんとなりそうな気はするけどな。なんか泡とか使うらしいんだけど、複雑すぎてよくわからんかったわ。
「具体的にはどこまでなら潜っても大丈夫なんだ?100mとか?」
「えーっとね…魔法によるバフとかも含むならだいたい60mくらいなら100%大丈夫ね。100mも行けないことはないけどリスクは高くなるわね」
60mか、わかった。ちなみに…
「お前たちは水圧問題大丈夫なんだ?」
「ファ!」 「ザァザァ」
「まじか」
正確に言うと彼らも水圧の影響は受けるんだが、人間と比べると影響は少ないらしい。彼らは深いところに潜ってもとくに問題はなさそうだ。
「それでは、いっちょ海進出やってみますか!」
「ザァー!」
「ゴァ…」
連れて行く魔物たちはサルヴァント、リゲル、ヤツメ、ファラク。そして緊急離脱用に杖キジクジャクとヴァイ。あと毎度お馴染み熱探知レーダー係のアオ。だが…
「ゴァ!!」
「わかってるって。本当に危ないとき以外は出さないから」
海攻略メンバー最高戦力のファラクだが、何度も言うように水中がめちゃくちゃ嫌いなのである。なので、緊急事態のとき以外は杖から出さないと約束して、なんとか許してもらった。
俺はリゲルに、サフンはアオに騎乗して海を移動している。アオは水中呼吸はできないが泳ぎは得意だし、熱探知による生物の発見などいろいろ優秀なのだ。これのおかげで何か危険な生き物、それこそウネリツノが泳いできてもすぐに撤退が可能だ。
「まあ、サフンには負担かけるけど!」
水中呼吸の魔法は魔力の消費が大きいらしい。俺とサフン、アオの三人だから、休憩なしで活動できる時間はだいたい1時間くらいだとかなんとか。休憩は最低10分はいるらしい。
さて。サルヴァント、リゲル、アオの三人で海を探索してるのだが、さっきからあまり魔物と遭遇していない。いやそれよりも
「リゲルに騎乗してると酔うなこれ…」
ウネウネと泳いでるからちょっと酔ってきた。移動速度自体はかなり速いんだけどな…
「ゴシャー?」
おや?アオのレーダーに何かが引っかかったようだ。アオ曰く、魚の群れのようなものがこちらに近づいてきているんだとか。魚の群れか…どうせイワシとかだよ。
「ザァザァ!」 「ファー!!」
リゲルとサルヴァントがめちゃくちゃ警戒してるんだけど。なんかめちゃくちゃ怖くなってきた。シーサーペントの群れとかなら発狂するよ?
「!?」
「あば!?」
リゲルが急に突進してきた何かを避けた!なんだ、いったいなんだってんだ!
俺は後ろを振り返った。そこにいたのは…
「なんだあれ、槍?」
「ファ」「ザァー」
リゲルやサルヴァントたちによるとあの魚の付近に微弱な電流が流れているらしい。まあ、彼らもその魚の正体はわからなかったが…
だが、サフンは一目見ただけでその魚の正体がわかったらしい。そしてこう絶叫したのだ!
「あれって…デンキダツじゃないの!?」
デンキウナギの亜種みたいな名前だな。だが…
「デンキダツって何なんだ?そんな危険なの?」
「デンキダツは結構有名だと思うんだけど…」
一般常識かのように言ってくるけどさ、異世界人の俺に言われても困るんだよな。何も知らない俺のためにサフンは丁寧にこう説明してくれた。
「デンキダツは浅瀬にも現れることのある魔物で、海水浴場ではアメジストのフェンスがデンキダツ避けのためだけに張られているの。デンキダツは、アメジストを嫌う習性があるから。そして…」
デンキダツはその名の通り自分の周りに電流を発生させるんだとか。ただし、デンキウナギとは違って放つ電流はどれも弱い。デンキダツが体に突き刺さって、直接体に電流を流してくるなら別だけどな。
「ファー!」
「::!?」
さっきのデンキダツはサルヴァントが丸呑みして、おやつ代わりにバリバリ噛み砕いて倒した。だが…何故だろう。悪寒が止まらないんだけど。
「あのね、その…デンキダツってのはもう一つ厄介な習性があって…」
「やめてくれ、その先を聞きたくない!」
俺はその先の言葉を聞きたくがないあまり耳を塞いだのだが……聞こえてしまった。
「デンキダツってのはね。群れを作る習性があるのよ…」
そうサフンが言い終わるのと同時だった。
「ゴ、ゴシャー!!」
「ファーッ!!」
アオとサルヴァントが突然けたたましく吠えたのだ。俺は恐る恐る彼らが睨んでいる方向を見てみると…
「う、嘘だろ…」
絶望しすぎて笑えてきた。なんだこれは。
「やっぱり…」
自分の抱いていた疑惑が確信へと変わり、サフンも俺と同様に顔面蒼白になっていく。それもそのはず…
無数のデンキダツが俺たちに向かって猛スピードで迫ってきているからだ…!!
ヴァイとベガの全力飛行によって俺とサフンは2時間もかからずカリヨネッタへと戻れた。そして…
「メアリみたいな陸上専用の仲間には留守番させて、レベル上げに徹させよう」
「」
水中で役に立たない仲間を杖に入れて連れ込むよりも、レベル上げをさせておいた方がいいと判断したのだ。俺には入らないけど、戦闘に参加してない他の仲間モンスターにも経験値が一部入るらしいし。
そして、サフンから俺にある注意をしてきた。
「いいこと?呼吸ができるようになるとはいえ私の魔法じゃ水圧まではどうにもならないの。ある程度は軽減できるけど当てにしないでね」
「ああ、なるほど。…あんまり深いところまで潜るなってことか」
正直、水の中でも呼吸できる魔法があるならなんとなりそうな気はするけどな。なんか泡とか使うらしいんだけど、複雑すぎてよくわからんかったわ。
「具体的にはどこまでなら潜っても大丈夫なんだ?100mとか?」
「えーっとね…魔法によるバフとかも含むならだいたい60mくらいなら100%大丈夫ね。100mも行けないことはないけどリスクは高くなるわね」
60mか、わかった。ちなみに…
「お前たちは水圧問題大丈夫なんだ?」
「ファ!」 「ザァザァ」
「まじか」
正確に言うと彼らも水圧の影響は受けるんだが、人間と比べると影響は少ないらしい。彼らは深いところに潜ってもとくに問題はなさそうだ。
「それでは、いっちょ海進出やってみますか!」
「ザァー!」
「ゴァ…」
連れて行く魔物たちはサルヴァント、リゲル、ヤツメ、ファラク。そして緊急離脱用に杖キジクジャクとヴァイ。あと毎度お馴染み熱探知レーダー係のアオ。だが…
「ゴァ!!」
「わかってるって。本当に危ないとき以外は出さないから」
海攻略メンバー最高戦力のファラクだが、何度も言うように水中がめちゃくちゃ嫌いなのである。なので、緊急事態のとき以外は杖から出さないと約束して、なんとか許してもらった。
俺はリゲルに、サフンはアオに騎乗して海を移動している。アオは水中呼吸はできないが泳ぎは得意だし、熱探知による生物の発見などいろいろ優秀なのだ。これのおかげで何か危険な生き物、それこそウネリツノが泳いできてもすぐに撤退が可能だ。
「まあ、サフンには負担かけるけど!」
水中呼吸の魔法は魔力の消費が大きいらしい。俺とサフン、アオの三人だから、休憩なしで活動できる時間はだいたい1時間くらいだとかなんとか。休憩は最低10分はいるらしい。
さて。サルヴァント、リゲル、アオの三人で海を探索してるのだが、さっきからあまり魔物と遭遇していない。いやそれよりも
「リゲルに騎乗してると酔うなこれ…」
ウネウネと泳いでるからちょっと酔ってきた。移動速度自体はかなり速いんだけどな…
「ゴシャー?」
おや?アオのレーダーに何かが引っかかったようだ。アオ曰く、魚の群れのようなものがこちらに近づいてきているんだとか。魚の群れか…どうせイワシとかだよ。
「ザァザァ!」 「ファー!!」
リゲルとサルヴァントがめちゃくちゃ警戒してるんだけど。なんかめちゃくちゃ怖くなってきた。シーサーペントの群れとかなら発狂するよ?
「!?」
「あば!?」
リゲルが急に突進してきた何かを避けた!なんだ、いったいなんだってんだ!
俺は後ろを振り返った。そこにいたのは…
「なんだあれ、槍?」
「ファ」「ザァー」
リゲルやサルヴァントたちによるとあの魚の付近に微弱な電流が流れているらしい。まあ、彼らもその魚の正体はわからなかったが…
だが、サフンは一目見ただけでその魚の正体がわかったらしい。そしてこう絶叫したのだ!
「あれって…デンキダツじゃないの!?」
デンキウナギの亜種みたいな名前だな。だが…
「デンキダツって何なんだ?そんな危険なの?」
「デンキダツは結構有名だと思うんだけど…」
一般常識かのように言ってくるけどさ、異世界人の俺に言われても困るんだよな。何も知らない俺のためにサフンは丁寧にこう説明してくれた。
「デンキダツは浅瀬にも現れることのある魔物で、海水浴場ではアメジストのフェンスがデンキダツ避けのためだけに張られているの。デンキダツは、アメジストを嫌う習性があるから。そして…」
デンキダツはその名の通り自分の周りに電流を発生させるんだとか。ただし、デンキウナギとは違って放つ電流はどれも弱い。デンキダツが体に突き刺さって、直接体に電流を流してくるなら別だけどな。
「ファー!」
「::!?」
さっきのデンキダツはサルヴァントが丸呑みして、おやつ代わりにバリバリ噛み砕いて倒した。だが…何故だろう。悪寒が止まらないんだけど。
「あのね、その…デンキダツってのはもう一つ厄介な習性があって…」
「やめてくれ、その先を聞きたくない!」
俺はその先の言葉を聞きたくがないあまり耳を塞いだのだが……聞こえてしまった。
「デンキダツってのはね。群れを作る習性があるのよ…」
そうサフンが言い終わるのと同時だった。
「ゴ、ゴシャー!!」
「ファーッ!!」
アオとサルヴァントが突然けたたましく吠えたのだ。俺は恐る恐る彼らが睨んでいる方向を見てみると…
「う、嘘だろ…」
絶望しすぎて笑えてきた。なんだこれは。
「やっぱり…」
自分の抱いていた疑惑が確信へと変わり、サフンも俺と同様に顔面蒼白になっていく。それもそのはず…
無数のデンキダツが俺たちに向かって猛スピードで迫ってきているからだ…!!
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