魔物と共にこの過酷な世界を生きる。

やまたのおろち

文字の大きさ
上 下
32 / 61
2章

予期せぬ遭遇、チハイザメ

しおりを挟む
「ええい、次から次へと鬱陶しい!!」

うちの仲間たちは強いから特に苦戦することなく処理はできてるんだけどいかんせん数が多すぎる。

「もう面倒だしいいや、ファルド任せた!」
「「「シャー」」」

めんどくさくなった俺はファルドを出した。木を薙ぎ倒しながら現れた超巨大なヒュドラがコカトリスや虐殺ゾウなどを容易く処理していく。

「明らかにこいつだけ味方になってヤケクソ強化されてるな…」

前に話した通り、その原因は再生能力にある。元々、魔物使いが仲間にした魔物には自然治療能力がつく。まあ、そんな大したもんではないけど…
ただこの自然治療能力、ヒュドラの持つ超再生と重複するらしい。それもかけ算みたいな感じで。

「敵が味方になったら弱体化するパターンはよく聞くけど強化されるのは珍しいな」

ちなみに攻撃力はファラクよりちょっと高いくらい。いやまあ……あの子レベル91とか行ってた気がするから妥当か。ファルドはレベル64だし。

でも、この森でファルドを出したのは完全に間違いだった。何故なら…

「シャ!」

「マジで?大軍が来てる?」

ファルドが超巨体すぎて野次馬モンスターがたくさん来てしまったためだ。あかん、ドラゴンとかも来た。

「確かにドラゴンはクロツバサ討伐のときは仲間にしたかったけどさ!!」

なんなら今でも仲間にしたいんだけどそれはできない。この大軍を捌きながら戦闘不能にする?ムリムリ。確かこいつら平気で共食いするくらい凶暴だし。


俺はアグネスからブライガーに乗り換えた。機動力とか考えるとなんだかんだブライガーが1番安定するんだよね。俺は杖から全勢力を出して魔物の大軍を相手する。

「クェエ!」
「キァァ!!」
「ヒョロロー!」
「ッ!」
「/:/」
「!」

やばい。一気に大混戦になってしまった。って

「うわ!?」
「ア」

サベージタイタンに踏み潰されそうになった。あぶねぇ。サベージタイタンは攻撃力体力共に高いが弱点がある。機動力がよわよわで転倒しやすいってことだ。

「ブライガー頼むぞ!」
「ウニャーン!」

「ア?」
高い機動力を持つブライガーでサベージタイタンの周りを走り回ってたらすぐ転ぶ。
あとは…

「こんなときのためのオオトカゲの毒とマタンゴの胞子だよなぁ!?」
「ニャン」

やつの目に毒物を塗りまくったらすぐ倒せる。ふん。

キジクジャクとかも奴の弱点んすぐ見抜いたらしく、旋回しまくって転ばせてる。あとはオリオンとかマティスとかが何とかしてくれる。

この調子で殲滅をしようとしていた頃だった。

「シャ?!」
「は?何か巨大なのが高速で来ている?」

巨大なやつといえばサベージタイタンだがあの巨人は高速では動けない。じゃあ何だ?いやまさか

「チハイザメってことはないよね」

あ、空が赤くなってきてる。これ、チハイザメだぁ。


「チハイザメだチハイザメ!!備えろ!」
「モヒィ!?」 「キュ!?」

備えろなんて理不尽な命令してすまん!!でもここで杖の中にしまうと魔物の処理が追いつかなくなる!!

「やべぇ!!すげぇ振動する!」

ガチでゴキブリ並みの速さだ!
空がどんどん紅に染まり、雲が暗くなっていく!!

「jpwgjmpgtqtwjdwgjhdpgmp!!!!」
「「「シャ!?」」」

ファルドの3分の2くらいの大きさの何かがファルドに体当たりした!!かなり威力高いな、ファルドとメアリ、ファラク、マレム、マティスの殴り合い四天王以外だと耐えるのかなりキツそう。

そしてファルドに体当たりをしかけた犯人はもちろんチハイザメなのだが…

「見た目キモすぎるだろこれ!やべぇ」

想像以上にチハイザメの見た目はやばかった。サメの頭にヒレ。そしてムカデみたいに長い体と大量の足。トカゲの足みたいな見た目の足が大量に生えてる。

そんな『怪物』チハイザメが『超蛇』ヒュドラと激闘を繰り広げている。すごい、大怪獣バトルだ!

ブライガーと共に襲いかかってくるブラッドドレイクの対応をしながらチハイザメの様子を伺う。

攻撃はさっきみたいな体当たりと噛みつき。あとなんかヒレからレーザーみたいなの出してる。生き物的にさ、それはどうなん?

こうして、チハイザメ討伐戦が予期せぬ形で始まってしまった…!!

別にキジクジャクとかに乗って逃げてもいいんだけど….

「ここ森の入り口にそこそこ近いんだよな…!」
「ッ!」

これもし逃げたら最悪近くの街までカサカサしながら来るんじゃないか?それはまずい。しかも…

「どう考えても俺の責任だからなこれ!!」

どう考えてもめんどくさがって超巨体のファルドを出したせいで勘付かれたんだよな。
やらかした…!

「とりあえずまずは野次馬モンスターを殲滅しよう!!ファルドはその間時間稼ぎを…あれ?」

チハイザメがファルドに与えているダメージ、ファルドの超再生に追いつけてない気がする。

「あれ」
「jgmpamitpgmgwgj!!」

クロツバサと違ってチハイザメはそこまで賢くないのか、それに気づいても標的をファルドから変えるつもりはなさそうだ。クロツバサなら絶対俺を潰しにかかってた。

「あー…」

まあ…まあ、それは置いといてだね。こっちのやるべきことを優先しよう。

「ファラクは地中に潜って奇襲をメインに1体1体仕留めにかかれ!バサは突進で奴らを撹乱、アルタイルはマレムを掴んでマレムを敵に向かってぶん投げろ!」

最後だけ酷い気もするけどまあマレムに許可はもらってるから………


1時間半が経過した。ファルドは特に致命傷を負うことなくチハイザメを倒せた。弱すぎてつまらん…
まあもっともチハイザメは三怪物の中だとかなり弱い方みたいだから仕方ない。最強は海に潜む「ウネリツノ」だった気がする。

「まあとりあえず、チハイザメのヒレだけ剥ぎ取っておこう。あと歯もちょっと」

当然のように仲間にはできなかった。クロツバサのときと同じで、やはりこいつを従属させた「何か」がいるんだろうな。

「さ、帰るよ」

そう振り向いたときだった。

「シャ!?」
「アオ?」

野良バジリスクのブレスが、非戦闘要因のアオに当たったみたいだ。そして…
何故か、アオが発光しながら悶え苦しんでいた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

鋼なるドラーガ・ノート ~S級パーティーから超絶無能の烙印を押されて追放される賢者、今更やめてくれと言われてももう遅い~

月江堂
ファンタジー
― 後から俺の実力に気付いたところでもう遅い。絶対に辞めないからな ―  “賢者”ドラーガ・ノート。鋼の二つ名で知られる彼がSランク冒険者パーティー、メッツァトルに加入した時、誰もが彼の活躍を期待していた。  だが蓋を開けてみれば彼は無能の極致。強い魔法は使えず、運動神経は鈍くて小動物にすら勝てない。無能なだけならばまだしも味方の足を引っ張って仲間を危機に陥れる始末。  当然パーティーのリーダー“勇者”アルグスは彼に「無能」の烙印を押し、パーティーから追放する非情な決断をするのだが、しかしそこには彼を追い出すことのできない如何ともしがたい事情が存在するのだった。  ドラーガを追放できない理由とは一体何なのか!?  そしてこの賢者はなぜこんなにも無能なのに常に偉そうなのか!?  彼の秘められた実力とは一体何なのか? そもそもそんなもの実在するのか!?  力こそが全てであり、鋼の教えと闇を司る魔が支配する世界。ムカフ島と呼ばれる火山のダンジョンの攻略を通して彼らはやがて大きな陰謀に巻き込まれてゆく。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

旅人アルマは動かない

洞貝 渉
ファンタジー
引きこもりのアルマは保護者ルドベキアと共にヤドカリに乗って旅をする。

元勇者、魔王の娘を育てる~血の繋がらない父と娘が過ごす日々~

雪野湯
ファンタジー
勇者ジルドランは少年勇者に称号を奪われ、一介の戦士となり辺境へと飛ばされた。 新たな勤務地へ向かう途中、赤子を守り戦う女性と遭遇。 助けに入るのだが、女性は命を落としてしまう。 彼女の死の間際に、彼は赤子を託されて事情を知る。 『魔王は殺され、新たな魔王となった者が魔王の血筋を粛清している』と。 女性が守ろうとしていた赤子は魔王の血筋――魔王の娘。 この赤子に頼れるものはなく、守ってやれるのは元勇者のジルドランのみ。 だから彼は、赤子を守ると決めて娘として迎え入れた。 ジルドランは赤子を守るために、人間と魔族が共存する村があるという噂を頼ってそこへ向かう。 噂は本当であり両種族が共存する村はあったのだが――その村は村でありながら軍事力は一国家並みと異様。 その資金源も目的もわからない。 不審に思いつつも、頼る場所のない彼はこの村の一員となった。 その村で彼は子育てに苦労しながらも、それに楽しさを重ねて毎日を過ごす。 だが、ジルドランは人間。娘は魔族。 血が繋がっていないことは明白。 いずれ真実を娘に伝えなければならない、王族の血を引く魔王の娘であることを。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...