上 下
29 / 61
2章

最高戦力

しおりを挟む
当初は第一陣と第二陣で交代しながら戦う予定だったんだが…実際やってみると休憩しても思ったより疲れが取れない。たまに野次馬モンスターも来るし。

「——!」

「あば!?」

なんせ俺も今、大型トラックくらいの大きさの恐竜…スワンプサウルスと交戦中だ。
スワンプサウルスの見た目は想像図のスピノサウルスによく似ている。ただ、帆の形は半円じゃなくて三角形だけど。

「ッ!」 「モヒィ!」

メアリオリオンの古参コンビにレベル52のスワンプサウルスの相手を任せた俺はヒュドラに対しての決定打がないか必死に考える。

「神話上のヒュドラはどうやって倒された?」

えーっと…へらくれすもめっちゃ苦戦してたよな。それがー…再生止めてて…あー…

「あ、火だ」


ヒュドラ討伐のカギをとうとう見つけた。
だが、火が使える人材か。あまりにも超火力すぎるとダメだ、仲間にしたあとに支障がでる。アリサって炎魔法は使えたっけ?なんか使えるけど火力調整は苦手とか言ってた覚えがある。他は…

「あ、ヴァイだ!!!!」

広範囲に被害を出した炎の射線を吹いたこともあれば、火球を乱射したこともある。火力調整もできるだろ。いや確信はないけどまあがんばれ!


「メアリ、ファラク、マレム、マティスは一人一つ首の猛攻を止めておいてくれ!それ以外はファルコさんが相手してる首に総攻撃!」


無理をさせるがヒュドラの攻撃を抑え切れるのはあの4人だけなんだ、がちで耐えてくれ!


「ファルコさん、あとのことは考えなくていいからとりあえずその真ん中の首だけ全力で斬り落とすんだ!」

「承知」

ファルコはそう答え、己の持つすべての力を振り絞り…

「断裂斬」

ヒュドラの首を斬り落とした。関係ないけど息子は龍王なんちゃらなのにこっちは結構シンプルな技名なんだな。技名…「スキル」は声に出さないと発動しないらしいから名前短い方が発動時間短くていいんだけどさ。てかスキルってどんな原理なんだろね、多分俺には一生縁のない話だろうな…


おっと、いらないことを考えてしまった。

「ヴァイ、やれ!炙りじゃ炙り!」
「ガァ!」

既に再生を始めている首の断面に飛龍が火炎弾をぶつけた。すると……再生の効果がかなり落ちた!!

「「「シャー!」」:

「チャンス、囲め囲めぃ!」
「ツクツク!」

絵面はアレだが、これも立派な攻略法だ。文句は言わさん。だが、他の4つの首は顕在なのだ。早く戦闘不能にしないとまずい。だがその心配は杞憂に終わった。なぜなら…

「「「シャ」」:

超蛇が先に倒れたからだ。
これにて、ヒュドラ討伐戦は終結したのだ。



「やっぱヒュドラが仲間になったらすんなり仲間になるんだ、君」

「」

これはさっき復活したカルキノスだ。なんか両手を広げてる。神話の通りだとヒュドラとカルキノスは友達らしいからな。まあ、この世界でもほぼそうなんだけど。

「」

あ、ちょっと違うらしい。友達というか、気心の知れた上司と部下的な感じだったのか。それでヒュドラが魔物使い判定になってたからあのときカルキノスは仲間にできなかったんだな。

「」

「「「シャ?」」」

カルキノスによるとここ最近ヒュドラの様子がおかしかったらしい。なんというか…

「『悪意が増幅されてる』って感じか?」

頷かれた。勘で言っただけなのに。
ブライガーやファラクも今では考えられないくらい昔は悪意に満ちてたっぽいからな。そりゃ肉食の生き物だから他者に危害を加えることも少なくないけど…なんというかそれとは違うドス黒いオーラがあった。他の仲間たちも同じだ。俺が仲間にしたらその悪意は綺麗さっぱりなくなったけど。それは魔物だけでなく人間にもそんな節はあ…

「ッ!」


おっと。そんなことよりも、まずは新しく増えた仲間の話だ。

「」

まずはこの銀色の巨大ガニ、カルキノス。名前は…

「君の名前はアクベスだ」

「」

両手あげて喜んでる。見た目はロボっぽくてカッコいいのに結構かわいい。ちなみに、名前はかに座を構成する主要な星の一つ、アクベンスからとった。そして次はお待ちかね


「ヒュドラのファルドやったか?デカすぎて小便ちびるわぁ」

「「「シャ!」」」

ファルドと名付けたヒュドラだ。この超蛇、流石にデカすぎる。強さもデカさと比例しており、洞窟とかでは絶対出せないだろうけど魔物杖から出せるほどの広さがあれば多分無双するレベル。多分三怪物相手でも余裕でタイマンできると思う。

毒のブレスなども吐けるが、やはり最大の強みは超再生能力だろう。仲間にした魔物にのみ付与される自然治療能力も合わさってとんでもない大怪獣と化していた。

「大きくて強い?ロマンの塊じゃないですか!」

「流石我が国を苦しめてきただけの怪物ではある」


剣聖すら本心で褒めるレベル。
ちなみに、ギルドに討伐は成功したと報告はせずそのままカリヨネッタに帰るつもりだ。今までの魔物たちはそうでもなかったが、彼らはあの沼地にかなりの思い入れがあるらしい。ここでギルドに報告してしまうとおそらくあの沼地は開拓されてしまう。あの付近はメガアメジストという鉱物がよく取れるからだ。だから、三怪物と匹敵する金額が掲示されていたのだ。金貨9000枚の元を余裕でとれるほどの価値が、あの土地にはあったのだ。


「あ、訂正する。カリヨネッタに帰る前に一つだけやることあるわ」

「ッ?」

メアリが怪訝そうな顔をしてこちらを見る。
多分だいたい察しはついてそう。

「せっかくラグナロクに来たんだ。—かつて俺を痛めつけたキラーウルフに復讐してやるわ」

クロム草原の外来種かつ食物連鎖トップとして未だ居座っているあの狼の討伐をすることにした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜

上村 俊貴
ファンタジー
【あらすじ】  普通に事務職で働いていた成人男性の如月真也(きさらぎしんや)は、ある朝目覚めたら異世界だった上に女になっていた。一緒に牢屋に閉じ込められていた謎のしゃべるうさぎと協力して脱出した真也改めマヤは、冒険者となって異世界を暮らしていくこととなる。帰る方法もわからないし特別帰りたいわけでもないマヤは、しゃべるうさぎ改めマッシュのさらわれた家族を救出すること当面の目標に、冒険を始めるのだった。 (しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます) 【キャラクター】 マヤ ・主人公(元は如月真也という名前の男) ・銀髪翠眼の少女 ・魔物使い マッシュ ・しゃべるうさぎ ・もふもふ ・高位の魔物らしい オリガ ・ダークエルフ ・黒髪金眼で褐色肌 ・魔力と魔法がすごい 【作者から】 毎日投稿を目指してがんばります。 わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも? それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。

キャンピングカーで異世界の旅

モルモット
ファンタジー
主人公と天女の二人がキャンピングカーで異世界を旅する物語。 紹介文 夢のキャンピングカーを手に入れた主人公でしたが 目が覚めると異世界に飛ばされていました。戻れるのでしょうか?そんなとき主人公の前に自分を天女だと名乗る使者が現れるのです。 彼女は内気な性格ですが実は神様から命を受けた刺客だったのです。

追放された美少女を助けた底辺おっさんが、実は元”特級冒険者”だった件について。

いちまる
ファンタジー
【毎週木曜日更新!】 採取クエストしか受けない地味なおっさん冒険者、ダンテ。 ある日彼は、ひょんなことからA級冒険者のパーティーを追放された猫耳族の少女、セレナとリンの面倒を見る羽目になってしまう。 最初は乗り気でなかったダンテだが、ふたりの夢を聞き、彼女達の力になると決意した。 ――そして、『特級冒険者』としての実力を隠すのをやめた。 おっさんの正体は戦闘と殺戮のプロ! しかも猫耳少女達も実は才能の塊だった!? モンスターと悪党を物理でぶちのめす、王道冒険譚が始まる――! ※本作はカクヨム、小説家になろうでも掲載しています。

異世界召喚に巻き込まれた一般人、馬鹿にされたので勇者より先に悪者を倒します

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、トラックの衝突事故に巻き込まれそうになる。すると偶然にも傍に居た四人の高校生の足元に「魔法陣」が誕生し、彼等と一緒に謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには五人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。話を聞くと現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「四人」のはずであり、召喚された状況から考えてレアは召喚に巻き込まれただけの一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追放された後にレアは勇者にも匹敵する能力があると発覚し、彼は異世界を自由気ままに暮らすことに決めた。

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!

夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!! 国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。 幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。 彼はもう限界だったのだ。 「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」 そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。 その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。 その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。 かのように思われた。 「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」 勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。 本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!! 基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。 異世界版の光源氏のようなストーリーです! ……やっぱりちょっと違います笑 また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

処理中です...