魔物と共にこの過酷な世界を生きる。

やまたのおろち

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2章

沼地の脅威

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俺たちは今沼地を歩いている。ここに出現する魔物は確か………今襲いかかってきた血吸いアリゲーターとかがいるんだったか。あ、同じワニのファラクにおやつにされてる。他にも、獰猛ヒルとか屍蜘蛛やスワンプサウルス、そして…

「ブボボボボボボボ」

人の顔にクマの体、両手両足は猿のような…なんだこれ。まあそんな感じの魔物、「ポイズンフット」がいる。こいつは毒攻撃などを持っていない。では何故ポイズンの名を冠しているのかというと…

「鼻の曲がる匂いだ」

「ガァ…」


こいつの体からは酷い悪臭がするのである。なんというか……匂いの方向性としては、アンモニア臭と似てる。もちろん肉なども食えたものではなく、そのひどさは

「ニャン…」

血肉の専門家、ブラッドタイガーのブライガーですらも後退りするレベルである。匂いが酷すぎてベガの風の刃やアリサの岩石魔法で遠距離から処理している。だって、みんな近づきたくねぇもん。

「仲間にしたらある意味強そうだけどな…」

その悪臭に耐えれるならかなり有用な気はする。でも現実的ではないのでパスだパス。

「獰猛ヒルとか仲間にしてもいいんちゃう?ほら、あとはスワンプサウルスとか」

「獰猛ヒルは使いこなせたら強そうなんだけど流石に戦死するリスクが高いからやめとこうかなー…」

「ほな、スワンプサウルスは?」

スワンプサウルス。スピノサウルスみたいな格好をしてる魔物だ。だが、スピノサウルスと違いスワンプサウルスは魚食性ではなく、肉しか食べない。戦闘力もまあまあ高い方だと思う。まあ、確かに仲間にするのもアリだな。

「確かに、それはありかも」

「これからヒュドラを使い魔にしにいくというのに貴様はまだ使い魔の数に物足りないというのか?」


「だから使い魔やめろ、仲間だ。まあ、戦力はいくら増えても問題ないし…」

そんなことを言いながら沼地を進んでいると…

「この先、魔力の流れがおかしいわね」

ところで魔力ってなんです?異世界生活5か月目くらいで初めて聞いた単語なんだけど。

「私も、感じます。間違いない…この先に、ヒュドラがいますな」


とうとうか。ギルドの張り紙で存在だけは知っていた相手、それととうとう対面することになったのだ。各自、臨戦体制になりながら草木をかぎわけて進む。たどり着いた場所、そこは平坦な草原だった。奥にはヒュドラが巣にしているであろう崖、そして


「「「シャアアアアァ!!!」」」

40mほどの大きさを持つ水色の五つ首の大蛇…いや超蛇ヒュドラが待ち構えていた。


超蛇ヒュドラはギリシャ神話のように首を切っても首が2本に増えたりなどはしない。だが、超再生能力は別である。ヒュドラに傷を負わせてもたちまちすぐに回復してしまう。
なら、ヒュドラをどうやって倒すのだろうか。


「いや、倒す必要なんてない。ただ、奴を疲れさせて戦闘不能にさせるだけの話だ」

「キュー!」

そう、疲れさせて一歩も動けなくさせてしまえば仲間にすることができる。なのでハリムも普段使っている殺傷用の矢ではなく麻酔矢を使い、アリサも普段使ってる岩石魔法ではなく昏睡魔法を使っている。ヒュドラくらいになると効果も薄いが…ま、ないよりはマシ。

メアリ戦のときに使った誘導作戦、ブライガー戦のときに使った盾作戦、ファラク戦のときに使った傲慢やめようね作戦、クロツバサ戦のときに使った化学作戦など今までたくさんの作戦をたててきた。
しかし、今回は作戦らしい作戦など使わない。ゴリ押しだ。

「強いて言えば、第一部隊と第二部隊で分かれてるぐらいか?」

第一部隊が疲れてきたら後方に控えている第二部隊とバトンタッチして、第二部隊が疲れてきたらまた第一部隊とバトンタッチする。ただ、それだけだ。
第一部隊は俺とハリム、アガス、ゼアト。そしてメアリ、アルタイル、オリオン、ベガ、マティス、アオ、マレム。

第二部隊はサフン、アリサ、ファルコ。そしてブライガー、キジクジャク、ファラク、バサ、ヴァイ、ドクカゲ、サバルだ。

「「「シャアアアアァ!!」」」

まず第一部隊である俺たちが突撃すると、ヒュドラは毒のブレスを吐いてきた。俺たちは二手に分かれてそのブレスを避ける。

「これが、ヒュドラ。騎士団長から聞いてたのよりも、遥かに大きく、遥かに強い」

「おや?ここにきて怖気付いたか?元、剣聖」

「貴様、勝手に俺を過去の産物にするな。俺は、次期剣聖だ。——指揮は任せたぞ」

これがツンデレってやつ?だけど悪いな、今回は指揮そこまで重要じゃないのよ。でも…お前たちは、死なさない。

「「「シャアアアアァ!!」」」

三怪物と匹敵する化け物、ヒュドラ。その戦いの幕が今降ろされた!
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