上 下
20 / 61
1章

クロツバサ攻略戦、開幕

しおりを挟む
「ミナト殿、ここはこのリションで休憩を取りましょう。利用許可は既に取ってあるので、ご安心を」

ジャックがそう言ってきた。あ、言い忘れてたがジャックとはカリヨネッタの騎士団長である。もちろん、彼が直接戦うのではなく仲間である彼の魔物に戦わせるのだが。
断る理由もないため、俺はそれを了承した。
カリヨネッタから移動してきて結構時間もかかったので、このリションという村で一泊することになるだろう。

ちなみにこのリション、実は創造神ラジャムサの聖地であるとされている。近くには天界につながるとされている天の岩扉という洞窟があるらしい。

「天の岩戸みたいな名前してるんだなー…地味に、違うけど」

だが、入り口は巨大な硬王岩と呼ばれる岩で防がれており、中に入ることはできない。

この岩は俺の魔物たちですら砕くことはできなかった。凶悪な邪神とかそのレベルじゃないと壊すことはできないだろう。

ちなみに、何故かこの岩の前は俺の魔物たちだけでなく他の魔物使いたちの魔物ですらあまり通りたがらない。バサに聞いてみたら、なんかこの前にいるとそわそわするとかそんな感じのことを言ってた。やっぱり魔物だから神とか神聖なものが嫌いなんだろうか?

まあとにかく。明日のクロツバサ討伐作戦の打ち合わせをしながら、俺たちは眠りについた。


雲が黒くなり、空が赤い。間違いない。

クロツバサの出現区域だ。

イヤシムササビなどのヒーラーや滑空鯨などのタンクももいるっちゃいるが、俺たちの魔物はほとんどがアタッカーである。…クロツバサの情報が少なく、長期戦になればなるほど何をしてくるかわからないためだ。短期決戦にするためにアタッカーを大量に連れてきた。

さて。昨日魔物たちを含めて打ち合わせした作戦はこうだ。まず、滑空鯨などをクロツバサからの囮にしつつ、クロツバサの死角である側面に本命である魔物たちを送らせる。そこをつついて一気に倒してしまおうというわけだ。

そしてとうとうクロツバサを見つけたのだが…何あれ、きもちわる。
全長50mはあるだろうか。超巨体のでっかいコウモリの翼を生やした馬面の蛇である。しかも手もある。なお、足はない。

俺とジャックは仲間の魔物使いたちに合図を出す。クロツバサ討伐戦、ついに開始である。

滑空鯨やテイオウカブトムシなどの高体力の魔物たちがクロツバサに襲いかかった!クロツバサも気づいたらしく、その禍々しく、不気味で、鳥肌が立つ大きな災いの手で彼らを攻撃した。だが、あの程度の攻撃ならまだまだ耐えれそうだ。そして、魔物使いたちが本命であるキラービーやスカイシャーク、ソラヘビ、閃光獅子、ヒッポグリフ、ガーゴイルたちを出す。俺も負けじとアルタイルやサバル、ヴァイ、マティス、キジクジャク、ベガたちを出した!

意気揚々とデスビーやスカイシャークが彼の死角である側面を攻撃しようとした。しかし…目が、無数の目がクロツバサの体から浮き上がってきたのである。ガチで気持ち悪すぎる。

「gagsdcsshasdd!!」

彼らの姿を捉えたクロツバサは長い尻尾で彼等をはたき落とした。小さいがゆえにデスビーはなんとか避けれたが、スカイシャークはその攻撃を直で喰らってしまった。

「スカイシャークは他にもいるし、まだまだ戦力は残ってはいる。しかしもうこの段階で一人、戦線離脱してしまった。この戦い、どうなる」

過去最大級の強敵に俺は不安を覚えてしまった。しかし、戦いはまだまだこれからだ。
俺はこの不安が現実にならないことを強く祈りながら仲間たちの指揮をするのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

俺のギフト【草】は草を食うほど強くなるようです ~クズギフトの息子はいらないと追放された先が樹海で助かった~

草乃葉オウル
ファンタジー
★お気に入り登録お願いします!★ 男性向けHOTランキングトップ10入り感謝! 王国騎士団長の父に自慢の息子として育てられた少年ウォルト。 だが、彼は14歳の時に行われる儀式で【草】という謎のギフトを授かってしまう。 周囲の人間はウォルトを嘲笑し、強力なギフトを求めていた父は大激怒。 そんな父を「顔真っ赤で草」と煽った結果、ウォルトは最果ての樹海へ追放されてしまう。 しかし、【草】には草が持つ効能を増幅する力があった。 そこらへんの薬草でも、ウォルトが食べれば伝説級の薬草と同じ効果を発揮する。 しかも樹海には高額で取引される薬草や、絶滅したはずの幻の草もそこら中に生えていた。 あらゆる草を食べまくり最強の力を手に入れたウォルトが樹海を旅立つ時、王国は思い知ることになる。 自分たちがとんでもない人間を解き放ってしまったことを。

トップギルド職員の【鑑定士】、不当解雇されたので冒険者として成り上がります。

ファンタジー
国でトップの成績を残すギルドーー【守護者(ガーディアン)】。 【鑑定師】トビは、幼馴染と一緒にこのギルドを作り、ここまで大きくしてきた。 だけど突然、トビは幼馴染からそのギルドからの解雇を言い渡された。 ギルドの方針で鑑定アイテムに役割を奪われたのだ。 トップギルドを追い出されたトビは、当てもなく彷徨った。 そして、【鑑定師】を必要とするギルドがないことを知ったのだ。 そんな時に、トビに明暗が浮かぶ。 ギルドの職員ではなく、ギルドの冒険者になるという道。 新たに冒険者となったトビは【鑑定師】のスキルを大いに発揮し、解雇したトップギルドを見返していく。 そんな物語になっています。 ざまぁ要素ありの展開。

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~

hisa
ファンタジー
 受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。  自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。  戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?  教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!! ※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく! ※第5章に突入しました。 ※小説家になろう96万PV突破! ※カクヨム68万PV突破! ※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました

100倍スキルでスローライフは無理でした

ふれっく
ファンタジー
ある日、SNSで話題に上がっていた [ Liberty hope online ] 通称リバホプと呼ばれているMMORPGのオンラインゲームが正式にサービスを開始した。 そのプレイヤーの一人である月島裕斗は、誰も倒す事が出来なかった期間限定のボスモンスターに挑み続け、長期にわたる激戦の末に勝利する。しかしその直後、過度な疲労によって深い眠りへと落ちてしまった。 次に目を覚ますと、そこは見知らぬ世界。さらにはゲームで使っていたアバターの身体になっていたり、桁違いなステータスやらおかしなスキルまで……。 これは、 美少女として異世界に転生した彼(?)のほのぼのとした日常……ではなく、規格外な力によって様々な出来事に巻き込まれる物語である。 ※表紙イラストはテナ様より。使用、転載の許可は事前に得ています。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!

果 一
ファンタジー
二人の勇者を主人公に、ブルガス王国のアリクレース公国の大戦を描いた超大作ノベルゲーム『国家大戦・クライシス』。ブラック企業に勤務する久我哲也は、日々の疲労が溜まっている中、そのゲームをやり込んだことにより過労死してしまう。 次に目が覚めたとき、彼はゲーム世界のカイム=ローウェンという名の少年に生まれ変わっていた。ところが、彼が生まれ変わったのは、勇者でもラスボスでもなく、本編に名前すら登場しない悪役サイドのモブキャラだった! しかも、本編で配下達はラスボスに利用されたあげく、見限られて殺されるという運命で……? 「ちくしょう! 死んでたまるか!」 カイムは、殺されないために努力することを決める。 そんな努力の甲斐あってか、カイムは規格外の魔力と実力を手にすることとなり、さらには原作知識で次々と殺される運命だった者達を助け出して、一大勢力の頭へと駆け上る! これは、死ぬ運命だった悪役モブが、最凶へと成り上がる物語だ。    本作は小説家になろう、カクヨムでも公開しています 他サイトでのタイトルは、『いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!~チート魔法で無双してたら、一大勢力を築き上げてしまったんだが~』となります

処理中です...