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1章

あーあ、知らない方がよかったのに。

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次の日。
俺たちはカリヨネッタへ向けて行進を続けていた。何か、強そうな魔物がいないか探しながら。

「ここに生息する魔物は確か…ヘヴィバード、サーベルベア、デスワーム、フォレストドレイク、ブラッドタイガー、サマヨイグルマ、フレッシュイーターくらいだな。正直、そこまで強い魔物はいないと思うぞ?」

フレッシュイーターがめっちゃ気になるんだけどそれよりも俺が気になったのはサマヨイグルマだ。この世界にも馬車はあったりするから、もしかしたらそれみたいな見た目のミミック系のモンスターなのだろうか?

サーベルベアやフォレストドレイクなどをドクカゲやブライガーたちで蹴散らしながら進む。特に問題はない。

「出たわ、フレッシュイーターよ!」

なんだこれ。なんか、一頭身で単眼で牙があって手と足がある。不気味だなぁ…

ファラクが難なくフレッシュイーターを処理してどんどん先に進んでいく。

そこで、会ってしまった。

それは、今の自分たちにとっては何の脅威でもない。脅威では、ないサマヨイグルマ。だが、それは強いショックをもたらした。
アガスたちどころか、彼の魔物たちですら気が付かなかった。俺の動揺に。唯一メアリだけは気づいたようだが…


「お前…元いた世界で俺を轢き殺そうとしてきた、車じゃないか」

柄や模様こそ、確かに違う。だが、あれと同じメーカー…いや、同じ種類の魔物だ。

「なんで…なんでなんでな
「ッ!」

メアリの喝によって、俺は正気を取り戻した。どうやら、あのサマヨイグルマは俺の異変に気づいたメアリが速攻でぶち壊したらしい。

「しかし、何故元の世界にサマヨイグルマがいたんだ?」

俺は昔ライオンと戦ったときのことも思い出していた。そうだ。あの時は毎日生きるのに必死で疑問にすら思わなかったが、本来ライオンがこの世界にいるのはありえない、あってはならないことである。

そこで俺は一つの答えに辿り着いてしまった。

「もしかして、世界と世界がごっちゃになりつつあるのか?」

普通、生き物が世界を超えてやってくることはあり得ないことだ。これが、俺が召喚された直後に王様が言っていた"危機"だというのか?

「あの時だって、そうだった」

キジクジャクに乗って、アカタキを目指していたときにいた、あの変な3人組。あんな魔物、見たことも、聞いたこともない。

「これが、今この世界が陥っている危機だというのか?」
いや、この世界だけじゃない。俺が元いた世界も、別のあらゆる世界でも、この危機に陥っている。

サマヨイグルマは、弱かった。しかし、この邂逅によって…今までで最も俺に強いダメージを与えたのは…間違いなく、サマヨイグルマだった。
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