上 下
9 / 61
1章

ヘビとタカ

しおりを挟む
銀貨がついに貯まった。100枚だ。
砂漠中を荒らしまわって、夜になる前に何とか集め終えることができた。これで、新しい魔物使いの杖を買うことができる。

「らっしゃい」

俺は魔道具屋にやってきた。

「この魔物使いの杖をください」

問題なく買うことができた。

「ふははははははははははは!!これで俺は最強の存在となったのだ!!!!」

まあ、拠点があれば元から5体以上仲間にできたんだけどさ。俺、浮浪者だからないんだよね、拠点。召喚した国が勇者の世話をするのが普通なんだけど、そんなこと全然してくれなかったし。ただ、アガスパーティーに聞いたところラグナロクはまだマシな方らしい。

「そら、ほとんどの国は魔物使いアンチやからなぁ。まだラグナロクはマシな方なんちゃう?」

「そうよ。そこらへんの国なら魔物使いだとわかった瞬間打ち首よ?」

「マジか」

このやり取りをしたことはまだ記憶に新しい。最近は情報をアガスパーティーに聞きにいっている。こうなるとアキラはもうお役御免だな。

「バイバイ。魔物杖をくれたことはそこそこ感謝するよ」

まあ彼ならたとえ悪魔とかエイリアンとかが来たとしても普通に生き残ってそうだけどな。


俺はまた魔物の出現区域に戻ってきた。虐殺をするため…ではなく、新しく仲間を増やすためだ。

「高レベルのファラクがいるから、多分そこら辺歩いてても大丈夫だとは思うけどね」

ここの砂漠に出現する魔物はティタノスコーピオン、マミー、ヘビタイショウ、カイリキホーク、砂漠鰐、オオトカゲ、サバクサイ、そしてグリフォンとワイバーン、デスワームだ。

「もっとも、グリフォンとワイバーンの個体数はかなり少ないみたいだけどな」

グリフォンとワイバーンはともかく、他の奴らはレベル100個体が出てきたりしない限り勝てるだろ。
で、この砂漠で仲間にしたい魔物は…

「カイリキホーク、グリフォン、ワイバーン、サバクサイ、オオトカゲかな」

カイリキホークはとても大きなタカである。普通のタカと違いカラダにトゲトゲがある。なので、キジクジャクのように乗ることはできない。だが、その強さは怪力にある。

「カイリキホークはマジックゴーレム程度なら容易く掴むことができるんだったか」

このタカ、とてつもない怪力なのである。そのおかげで物を持ち運ぶのにかなり役に立つだろう。そして攻撃力もそれなりに高いから戦闘にも使えるはずだ。まあ、キジクジャクより体力と移動速度が低いのだが…

まずはこいつとサバクサイを仲間にすることにしよう。ちなみに、サバクサイは白い毛の生えたフサフサのトリケラトプスとサイを合体したかのような魔物だ。サバクサイは主に戦闘と荷物の運搬で使えるだろう。ファラクが加わったとはいえ、それでもタンクをやれるのはファラクとメアリの2体だけ。ブライガーとオリオンは少し耐久力が足りないため、タンクを張らせるには難しい。

「だから、サバクサイをテイムしよう!ってわけよ」

「ッ」

「これ舌打ちだよな?」

そんな感じで雑談しながら歩いていると。

「シャーッ!」

「あ、蛇だ」

散々蛇だ蛇だ言っているがこいつにも名前がある。

「ヘビタイショウ」

蛇大将。そのまんまかよ。
だが、こいつも何かの縁だ。仲間にしてみるとしよう。

「レベルは…50?まあまあ高いな」

まあ、ファラクほどではないか。俺はファラクに戦うよう頼んだ。

ファラクは蛇に飛びかかった!
蛇はファラクを自慢の長い体で締め殺そうとする…しかし、ファラクはデスロールでそれを振り払った。

「よく見たらヘビタイショウって額にちっちゃい角があるんだな」

ただ蛇が大きくなっただけだと思ってたけど、そんなところに差異が。ちなみに色は個体によって違うが、青みがかかった黒色の個体が多い。このヘビタイショウもそうだ。

「まあ、能力は普通の蛇とほとんど同じみたいだけどな」

普通の蛇と同じようにわずかな熱でも探知することができるらしい。それも結構な広範囲。戦闘には向いてなさそうだけど、結構有能かもな。

「とと、考えごとしてて気がつかなったけどもう終わってた」

戦闘不能になったヘビタイショウに「アオ」という名前をつけて仲間にした。

「さて、では気を取り直してカイリキホークを探そう」



やべぇ、アオが有能すぎる。
どうやら1度会ったことのある種族の体温の傾向は覚えているらしく、カイリキホークの元までいとも容易く案内してくれた。

「シュルシュル…」

褒めると照れる、可愛いやつだ。あのカメにも是非とも見習って欲しい。

「ッ?」 

あ、まずい

ま、まあそれはともかくだ。あのカイリキホークのレベルは34。こっちの唯一の対空戦力のキジクジャクはレベル37。勝てるとは思うが逃げられるかもしれないことを考えて俺はまたまた奇襲作戦を立てることにした。

「名付けて、ヘビボーラ作戦」

今は、カイリキホークは枯れ木の枝に止まって休んでいる。今が狙い目だ。

俺はキジクジャクにアオを乗せた。ちょっとアオが可哀想な気がするが、本人も結構ノリノリだったのでまあ大丈夫だろう。

作戦はこうだ。まずキジクジャクがカイリキホークに気づかれないように真上まで飛ぶ。そしてキジクジャクの上にいるアオが飛び降り、カイリキホークに巻き付いて動けなくする。あとは削るだけの簡単なお仕事だ。

「よし、やるぞ!」

「シュッ!」 「ヒョロロ!」


バレないようにキジクジャクが飛んでいる。今、カイリキホークはどこかに光る宝石がないか探すので夢中になっているみたいだ。まるでカラスのようにカイリキホークは輝く宝石が大好きなのだ。ただ、ほとんどのカイリキホークが水に濡れた石ころを宝石だと勘違いして持って行くのが玉に瑕…

「まあ、たまに本当に宝石を持ってるカイリキホークもいるみたいだけどな」

その宝石を狙ってカイリキホークを追う冒険者も一定数いるらしい。

「シャアアアア!!!」

おっと、アオがカイリキホークに向かって飛びかかった!

「ヒョ!?」

宝石を探していたカイリキホークは反応が遅れてしまった。
その一瞬の反応の遅れが、仇となった。
アオはカイリキホークに纏わりつき、枯れ木の枝から地面に叩き落とした!
カイリキホークはなんとか抜け出そうとするが悪戦苦闘しているようだ。

あとは、オリオンの出番だ!

「じゃあオリオン、あとは頼む」

「モヒ」

ファラクやメアリじゃ、攻撃の際うっかりアオまで巻き込んでしまう恐れがある。
なので、ここは細い剣を持つオリオンが適性だ。

オリオンとアオでいじめていたらすぐにカイリキホークは戦闘不能になった。そしてすんなり仲間になり、俺はアルタイルと名前をつけた。ただ…

「巣にある宝石だけとらせてほしい、とは」

どうせただの石ころだとは思うが、一応見ておこう。

「ヒョーロロ!」

アルタイルが自慢をするように俺たちに宝石を見せてきた。

「あ、これウルトラダイヤだ」

この世界で最も硬い鉱物であり、最高級の装備を作るのに必要な素材でもある。

そんな誇らしげなアルタイルに、俺は

「アルタイルって凄い宝石持ってるよな笑
普通にレアダイヤ集めるの凄いからもっとアピールした方がいいよ☆☆☆」

賞賛した。


さて、次はサバクサイの前にグリフォンを仲間にすることにした。グリフォンもグリフォンで危険だが、ワイバーンは炎のブレスを吹いて来るらしい。対空戦力がキジクジャクとアルタイルの2匹だけだとワイバーンは流石に無理そうなのでグリフォンを先に仲間にすることにしたのだ。

「まあもっとも、グリフォンもこの2体だけじゃ不安なんだが」

そう、グリフォンもとても強い生き物だ。万が一負けたら怖いので、俺は頼もしい助っ人を呼ぶことにした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

俺のギフト【草】は草を食うほど強くなるようです ~クズギフトの息子はいらないと追放された先が樹海で助かった~

草乃葉オウル
ファンタジー
★お気に入り登録お願いします!★ 男性向けHOTランキングトップ10入り感謝! 王国騎士団長の父に自慢の息子として育てられた少年ウォルト。 だが、彼は14歳の時に行われる儀式で【草】という謎のギフトを授かってしまう。 周囲の人間はウォルトを嘲笑し、強力なギフトを求めていた父は大激怒。 そんな父を「顔真っ赤で草」と煽った結果、ウォルトは最果ての樹海へ追放されてしまう。 しかし、【草】には草が持つ効能を増幅する力があった。 そこらへんの薬草でも、ウォルトが食べれば伝説級の薬草と同じ効果を発揮する。 しかも樹海には高額で取引される薬草や、絶滅したはずの幻の草もそこら中に生えていた。 あらゆる草を食べまくり最強の力を手に入れたウォルトが樹海を旅立つ時、王国は思い知ることになる。 自分たちがとんでもない人間を解き放ってしまったことを。

トップギルド職員の【鑑定士】、不当解雇されたので冒険者として成り上がります。

ファンタジー
国でトップの成績を残すギルドーー【守護者(ガーディアン)】。 【鑑定師】トビは、幼馴染と一緒にこのギルドを作り、ここまで大きくしてきた。 だけど突然、トビは幼馴染からそのギルドからの解雇を言い渡された。 ギルドの方針で鑑定アイテムに役割を奪われたのだ。 トップギルドを追い出されたトビは、当てもなく彷徨った。 そして、【鑑定師】を必要とするギルドがないことを知ったのだ。 そんな時に、トビに明暗が浮かぶ。 ギルドの職員ではなく、ギルドの冒険者になるという道。 新たに冒険者となったトビは【鑑定師】のスキルを大いに発揮し、解雇したトップギルドを見返していく。 そんな物語になっています。 ざまぁ要素ありの展開。

100倍スキルでスローライフは無理でした

ふれっく
ファンタジー
ある日、SNSで話題に上がっていた [ Liberty hope online ] 通称リバホプと呼ばれているMMORPGのオンラインゲームが正式にサービスを開始した。 そのプレイヤーの一人である月島裕斗は、誰も倒す事が出来なかった期間限定のボスモンスターに挑み続け、長期にわたる激戦の末に勝利する。しかしその直後、過度な疲労によって深い眠りへと落ちてしまった。 次に目を覚ますと、そこは見知らぬ世界。さらにはゲームで使っていたアバターの身体になっていたり、桁違いなステータスやらおかしなスキルまで……。 これは、 美少女として異世界に転生した彼(?)のほのぼのとした日常……ではなく、規格外な力によって様々な出来事に巻き込まれる物語である。 ※表紙イラストはテナ様より。使用、転載の許可は事前に得ています。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!

果 一
ファンタジー
二人の勇者を主人公に、ブルガス王国のアリクレース公国の大戦を描いた超大作ノベルゲーム『国家大戦・クライシス』。ブラック企業に勤務する久我哲也は、日々の疲労が溜まっている中、そのゲームをやり込んだことにより過労死してしまう。 次に目が覚めたとき、彼はゲーム世界のカイム=ローウェンという名の少年に生まれ変わっていた。ところが、彼が生まれ変わったのは、勇者でもラスボスでもなく、本編に名前すら登場しない悪役サイドのモブキャラだった! しかも、本編で配下達はラスボスに利用されたあげく、見限られて殺されるという運命で……? 「ちくしょう! 死んでたまるか!」 カイムは、殺されないために努力することを決める。 そんな努力の甲斐あってか、カイムは規格外の魔力と実力を手にすることとなり、さらには原作知識で次々と殺される運命だった者達を助け出して、一大勢力の頭へと駆け上る! これは、死ぬ運命だった悪役モブが、最凶へと成り上がる物語だ。    本作は小説家になろう、カクヨムでも公開しています 他サイトでのタイトルは、『いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!~チート魔法で無双してたら、一大勢力を築き上げてしまったんだが~』となります

処理中です...