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11 居場所のない努力
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「それでは最終試合開始」
シーマは私達を見ると、広場に出てきていきなり突っかかってくる。
「一番弱えーと思ってたのに、決戦、魔法支援室かよ」
シーマの舐めた一言に、みんなの闘志に火がついた。
バチバチーーーズバァァン
パリン、パリンーーー
みんなシーマと全力で戦うが、やはり強いみたいだ。試合のために用意した魔石はかなりの数割れてしまい、半分以下になっていた。
どんどんと降参し交代する。
みんなが苦戦しているなか、視線を感じる方を確認すると、観客席からミハイルがこちらを見ていた。
(高みの見物ね・・・・・)
私は昔のことが蘇る。
******
『お互い恋に落ちる為にも、魅力的な人間にならなければいけない。君はそのままで結婚出来るとでも?』
応接室でミハイルに言われたことが、悔しかった。私が太っていることも、魔力が普通より少ないこともわかっていた。
どこかで『いつかありのままの私と恋に落ちて、結婚してくれる人が現れる』夢物語の幻想を抱いていた。
ミハイルにそんな自分を見透かされているようだった。
エソーで彼の評判がいいのは、彼が遊ぶ間もなく努力をしていることを私は知っている。
『魔力が強いものが生まれる土地で、たまたま魔力量が普通より少なく生まれただけで、自分の魔力は強いはず』
『近所の男子たちは私の体型をからかってくるけど、大人になったらきっと自然に痩せるはず』
言い訳をみつけて、自分が変わることからずっと目を逸らしていた。
ミハイルは最年少で王宮に招集され、エリートの魔法研究室で活躍しているらしい。
私をバカにしているリーダー格のシーマも王宮魔力塔を目指している。
悔しい、悔しい、悔しいーーー
でも、何も変わろうとしない自分に一番腹が立つ。
ーー待ってろ、私もそっちに行ってやる。
毎日心無い言葉に傷付き、魔力が少ないだけで周囲の人からは憐れに思われ、エソーでは居場所もない。
「変わってやる・・・」
そこからは血のにじむような努力をした。
私の魔力は確かに人並みでは無い。そこで、どうやったら強くなれるのか。
魔力が強い人はどんな風に強いのか、魔力持ちの父の書庫から必死に研究し、魔力で戦う力を、少ない魔力を最大限に操る力を習得することにした。
居場所がない私は、片道1時間かけてエソーのはずれの森まで歩き、魔力がギリギリ無くなるところまでフラフラになり練習する。
そのおかげで、みるみると痩せていき、この修行は一石二鳥だった。
アイツらに追いつくために、毎日、必死に修行にしがみついた。
心が折れそうになったら、アイツらに言われた言葉を思い出し、歯を食いしばって自分を奮い立たせる。
ここには誰も私を助けてくれる人はいない。だから私自身が強くなるしかないのだ、と言い聞かせて。
その努力もあってか、成人になった年に王宮試験に合格した。
両親はものすごく喜んでくれ、合格のご褒美として外食やお菓子で沢山祝ってもらい気の緩みまくった私は入職までにリバウンドし、ややぽっちゃりとなってしまった。
体型のことは諦め、王宮の魔力塔入職式に向かう。
入職式が終わり、王宮で私をバカにしていたリーダー格のシーマと偶然すれ違う。一瞬驚き、私に聞こえるようにひとりでに話し出した。
「王宮って、たまたまで入れる奴いるんだな」
私は聞こえなかったように、前を向いてそのまま歩く。
好きに言えばいい、いつかーー
シーマは私達を見ると、広場に出てきていきなり突っかかってくる。
「一番弱えーと思ってたのに、決戦、魔法支援室かよ」
シーマの舐めた一言に、みんなの闘志に火がついた。
バチバチーーーズバァァン
パリン、パリンーーー
みんなシーマと全力で戦うが、やはり強いみたいだ。試合のために用意した魔石はかなりの数割れてしまい、半分以下になっていた。
どんどんと降参し交代する。
みんなが苦戦しているなか、視線を感じる方を確認すると、観客席からミハイルがこちらを見ていた。
(高みの見物ね・・・・・)
私は昔のことが蘇る。
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『お互い恋に落ちる為にも、魅力的な人間にならなければいけない。君はそのままで結婚出来るとでも?』
応接室でミハイルに言われたことが、悔しかった。私が太っていることも、魔力が普通より少ないこともわかっていた。
どこかで『いつかありのままの私と恋に落ちて、結婚してくれる人が現れる』夢物語の幻想を抱いていた。
ミハイルにそんな自分を見透かされているようだった。
エソーで彼の評判がいいのは、彼が遊ぶ間もなく努力をしていることを私は知っている。
『魔力が強いものが生まれる土地で、たまたま魔力量が普通より少なく生まれただけで、自分の魔力は強いはず』
『近所の男子たちは私の体型をからかってくるけど、大人になったらきっと自然に痩せるはず』
言い訳をみつけて、自分が変わることからずっと目を逸らしていた。
ミハイルは最年少で王宮に招集され、エリートの魔法研究室で活躍しているらしい。
私をバカにしているリーダー格のシーマも王宮魔力塔を目指している。
悔しい、悔しい、悔しいーーー
でも、何も変わろうとしない自分に一番腹が立つ。
ーー待ってろ、私もそっちに行ってやる。
毎日心無い言葉に傷付き、魔力が少ないだけで周囲の人からは憐れに思われ、エソーでは居場所もない。
「変わってやる・・・」
そこからは血のにじむような努力をした。
私の魔力は確かに人並みでは無い。そこで、どうやったら強くなれるのか。
魔力が強い人はどんな風に強いのか、魔力持ちの父の書庫から必死に研究し、魔力で戦う力を、少ない魔力を最大限に操る力を習得することにした。
居場所がない私は、片道1時間かけてエソーのはずれの森まで歩き、魔力がギリギリ無くなるところまでフラフラになり練習する。
そのおかげで、みるみると痩せていき、この修行は一石二鳥だった。
アイツらに追いつくために、毎日、必死に修行にしがみついた。
心が折れそうになったら、アイツらに言われた言葉を思い出し、歯を食いしばって自分を奮い立たせる。
ここには誰も私を助けてくれる人はいない。だから私自身が強くなるしかないのだ、と言い聞かせて。
その努力もあってか、成人になった年に王宮試験に合格した。
両親はものすごく喜んでくれ、合格のご褒美として外食やお菓子で沢山祝ってもらい気の緩みまくった私は入職までにリバウンドし、ややぽっちゃりとなってしまった。
体型のことは諦め、王宮の魔力塔入職式に向かう。
入職式が終わり、王宮で私をバカにしていたリーダー格のシーマと偶然すれ違う。一瞬驚き、私に聞こえるようにひとりでに話し出した。
「王宮って、たまたまで入れる奴いるんだな」
私は聞こえなかったように、前を向いてそのまま歩く。
好きに言えばいい、いつかーー
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