47 / 83
47 アルノー・リダウト ②
しおりを挟む
高級そうなピアスの店に到着する。魔力が使われたピアス専門店なのか、店内には色んなオーラを感じた。
「いらっしゃいませ、リダウト様」
店員さんが出迎えてくれる。
「今日はこちらの彼女のピアスを見に来たんですが、オススメはありますか?」
店員さんは私を少し観察したあと
「お客様でしたら、こちら辺りがお似合いになられるかと」
ズラリと宝石からクリスタルまで、魔力の込められた可愛らしいデザインのピアスが並ぶ。
「どうぞお手に取って、ごゆっくりお試しください」
ゆっくり試させてくれるのだろう。店員さんは離れていった。
並べてくれたピアスを1つ1つ手に取り耳の前に持ってくる。用意してくれた鏡を見て似合うか確認していると、隣にいたアルノーも一緒に鏡を覗き込んでくる。
アルノーの顔が触れそうなぐらい近い。
「ちょっと、近くない?」
「一緒に見ちゃダメなんすか?」
「いいけど、鏡越しに見なくても、アルノーは直接見てくれたらいいじゃない」
「直接はちょっと、照れるんで」
鏡越しに目を逸らされ、アルノーの横顔が赤くなっているのが見えた。取り繕うように、アルノーは並べられたピアスの中から1つ選ぶ。
「先輩は、こっちのデザインの方が似合うと思いますよ」
アルノーがピアスを摘み、私の耳に当ててくれる。
「本当だ、小ぶりで可愛い」
ピアスを選ぶ楽しさに思わず笑顔になる。
「はい、可愛いですね」
「じゃあ、これにしようかな」
「決めるの早いっすね」
「なんでもいいから欲しかったの」
(ミハイルから貰ったピアスの代わりになるものなんて、ないもの・・・)
アルノーの苦しそうな表情が鏡に映される。
「それは、・・・キツいっすね」
先ほどの店員さんから、デザインにはめ込む宝石の案内を受ける。
「ここからは先輩が自分で選んだ方がいいっすね。全部俺が選んじゃうとアレなんで、自分用のピアス見てきます」
そう言うとアルノーは離れていった。
魔力持ちの間では、アクセサリーのプレゼントは恋人や夫婦がするものとされている。
(気を使わせちゃったな)
アルノーの心遣いに感謝しつつ、宝石の付与効果を選ぶ。
私はピンクの可愛らしい宝石を選ぶと仕上がるまでの間、店内を見て回る事にした。
今までアクセサリーに興味がなかったので、色々と目移りしてしまう。
(どれも素敵だな・・・アクセサリーの魅力にもっと早くに気付けば良かった)
アルノーが向こうで立っている姿を見つけたが、彼とは逆方向に足を向ける。
(アルノーも自分でゆっくり見たいよね)
ひとつ、目を惹かれるピアスの前に立ち止まると、背中から声をかけられた。
「先輩!決まったんなら、なんでこっちで一緒に見に来てくれなかったんすか」
「邪魔しちゃ悪いかなって、いいのは見つかった?」
アルノーはそっぽを向き不貞腐れている。
「もー拗ねないでよ。これなんかアルノーに似合いそうだよ」
私は先ほど目を惹かれたピアスを持ち上げ、アルノーの耳に当てると、むくれている顔を覗き込んだ。
「うん、すごく似合ってる。アルノーは顔立ちがいいから、こんな華やかなピアスも似合うね」
「先輩・・・」
耳に当てている手を掴まれ、そのまま壁にある大きな鏡で一緒に確認することになる。
2人の全身が写り鏡越しにじっと目が合う。
「・・・ほんとだ、じゃあこれにします」
「アルノーも即決じゃない」
「俺は先輩と違って代わりじゃくて、これがいいんすよ」
「そ、そう」
(ミハイルのピアスの代わりに選んだことを根に持たれてるな)
まだ手が離れないアルノーを見上げる。
「俺、先輩の泣きボクロ良いと思ってるんですよね」
私の泣きボクロに熱い視線を感じ、思わず鏡に目を移す。
「自分だって似たようなのあるじゃない」
アルノーにも同じように泣きボクロがある。
「そうなんすよ。お揃いみたいで嬉しいです」
私達は鏡を見つめ、同じ泣きボクロを見ていたら、顔を屈めて横に来る。
「ほら、場所も同じ」
近くなったアルノーの顔に驚いていると、さっと離れる。
固まっている私の手からピアスを受け取ると、気にせずアルノーは店員さんを呼ぶ。選んだピアスは宝石も付け替えず、そのまま梱包して貰っていた。
私のピアスもちょうど出来上がり、値段を交渉しているみたいで、先に店を出るように言われた。
「いらっしゃいませ、リダウト様」
店員さんが出迎えてくれる。
「今日はこちらの彼女のピアスを見に来たんですが、オススメはありますか?」
店員さんは私を少し観察したあと
「お客様でしたら、こちら辺りがお似合いになられるかと」
ズラリと宝石からクリスタルまで、魔力の込められた可愛らしいデザインのピアスが並ぶ。
「どうぞお手に取って、ごゆっくりお試しください」
ゆっくり試させてくれるのだろう。店員さんは離れていった。
並べてくれたピアスを1つ1つ手に取り耳の前に持ってくる。用意してくれた鏡を見て似合うか確認していると、隣にいたアルノーも一緒に鏡を覗き込んでくる。
アルノーの顔が触れそうなぐらい近い。
「ちょっと、近くない?」
「一緒に見ちゃダメなんすか?」
「いいけど、鏡越しに見なくても、アルノーは直接見てくれたらいいじゃない」
「直接はちょっと、照れるんで」
鏡越しに目を逸らされ、アルノーの横顔が赤くなっているのが見えた。取り繕うように、アルノーは並べられたピアスの中から1つ選ぶ。
「先輩は、こっちのデザインの方が似合うと思いますよ」
アルノーがピアスを摘み、私の耳に当ててくれる。
「本当だ、小ぶりで可愛い」
ピアスを選ぶ楽しさに思わず笑顔になる。
「はい、可愛いですね」
「じゃあ、これにしようかな」
「決めるの早いっすね」
「なんでもいいから欲しかったの」
(ミハイルから貰ったピアスの代わりになるものなんて、ないもの・・・)
アルノーの苦しそうな表情が鏡に映される。
「それは、・・・キツいっすね」
先ほどの店員さんから、デザインにはめ込む宝石の案内を受ける。
「ここからは先輩が自分で選んだ方がいいっすね。全部俺が選んじゃうとアレなんで、自分用のピアス見てきます」
そう言うとアルノーは離れていった。
魔力持ちの間では、アクセサリーのプレゼントは恋人や夫婦がするものとされている。
(気を使わせちゃったな)
アルノーの心遣いに感謝しつつ、宝石の付与効果を選ぶ。
私はピンクの可愛らしい宝石を選ぶと仕上がるまでの間、店内を見て回る事にした。
今までアクセサリーに興味がなかったので、色々と目移りしてしまう。
(どれも素敵だな・・・アクセサリーの魅力にもっと早くに気付けば良かった)
アルノーが向こうで立っている姿を見つけたが、彼とは逆方向に足を向ける。
(アルノーも自分でゆっくり見たいよね)
ひとつ、目を惹かれるピアスの前に立ち止まると、背中から声をかけられた。
「先輩!決まったんなら、なんでこっちで一緒に見に来てくれなかったんすか」
「邪魔しちゃ悪いかなって、いいのは見つかった?」
アルノーはそっぽを向き不貞腐れている。
「もー拗ねないでよ。これなんかアルノーに似合いそうだよ」
私は先ほど目を惹かれたピアスを持ち上げ、アルノーの耳に当てると、むくれている顔を覗き込んだ。
「うん、すごく似合ってる。アルノーは顔立ちがいいから、こんな華やかなピアスも似合うね」
「先輩・・・」
耳に当てている手を掴まれ、そのまま壁にある大きな鏡で一緒に確認することになる。
2人の全身が写り鏡越しにじっと目が合う。
「・・・ほんとだ、じゃあこれにします」
「アルノーも即決じゃない」
「俺は先輩と違って代わりじゃくて、これがいいんすよ」
「そ、そう」
(ミハイルのピアスの代わりに選んだことを根に持たれてるな)
まだ手が離れないアルノーを見上げる。
「俺、先輩の泣きボクロ良いと思ってるんですよね」
私の泣きボクロに熱い視線を感じ、思わず鏡に目を移す。
「自分だって似たようなのあるじゃない」
アルノーにも同じように泣きボクロがある。
「そうなんすよ。お揃いみたいで嬉しいです」
私達は鏡を見つめ、同じ泣きボクロを見ていたら、顔を屈めて横に来る。
「ほら、場所も同じ」
近くなったアルノーの顔に驚いていると、さっと離れる。
固まっている私の手からピアスを受け取ると、気にせずアルノーは店員さんを呼ぶ。選んだピアスは宝石も付け替えず、そのまま梱包して貰っていた。
私のピアスもちょうど出来上がり、値段を交渉しているみたいで、先に店を出るように言われた。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
22
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる